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北原中学校吹奏楽部  作者: 星野 美織
退部した後の後悔
225/423

お見舞い

関西大会まであと1週間半。

「蒼先輩、一昨日から学校これるんだったよね……」

「まだ完全に治りきってないみたいね」

美鈴と愛菜は、すでに復帰していた。

聖菜は、やはりインフルエンザで、高熱のままだと言う。

「関西大会、大丈夫かな」

「うん……」

と、屋上を見上げた。

バストロンボーンの音色が、空に浮かび上がった。


「え、私ですか」

部活が終了し、帰りに職員室に寄るように小林に言われた。

「そうだ。これ、蒼の家に届けてこい」

「はぁ……」

と、分厚い『北原中学校』と書かれた封筒を受け取った。

---------

「あれ、蒼先輩の家って……」

凛奈は、1度家に帰って、バスであの駄菓子屋まで来た。

おそらく道に迷った。

最後に訪れたのは夏だった。

駄菓子屋で待ち合わせして、そしてどうしたのだろう。

「この道……」

右か左か。

「思い出せ、凛奈……」

この2択が凛奈を悩ませた。

「あれ、凛奈?」

振り返ると、ユリカがいた。

「ユリカ先輩」

「蒼の家?だったら左だよー」

「あ、ありがとうございます!」

「じゃ、私塾だから」

と、彼女はすぐ去って行った。

「さよなら!」

ぺこっとお辞儀して、すぐに向かった。

---------

「あ、」

ここだ。

近隣よりも大きな家。『UMIUCHI』と書かれた表札。

おそるおそるインターホンを鳴らす。

《はーい!》

「あ、北原中学校の香坂です」

ガチャッ。

凛奈が挨拶した直後に出てきたのは、小学校高学年くらいの少女だった。

『わっ、い、妹さん? だよね、前、小6の妹がいるって言ってたから……』

「こんばんはー! もしかして、蒼兄ちゃん?」

元気な声に、可愛らしい笑顔で、蒼にそっくりだ。

「あ、うん。お兄ちゃん、大丈夫かな?」

「あ、もしかして、蒼兄ちゃんのカノジョ!?」

「え!? え、あ、うん……」

なぜ妹にまで知られているのだろう。

顔が熱くなっていった。

「私、妹の海内 乃愛(のあ)! コルネットやってます! 」

ぎゅっと手を握られた。

「今、お母さんいないけど、上がって!」

と、乃愛に手を引かれた。

「あっ、お邪魔します!」

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