中学校選び
「凛奈ー!」
コンビニへ行く途中、マイがこちらへ走ってくる。
「マイ! どうしたの?」
「今晩うちの親帰り遅いから、習い事の帰りに晩御飯買いに来たの!」
と、マイは小3から使っている自分のフルートのケースを見せる。
「マイって幼稚園の頃からやってて、今使っているフルートって2台目なんだよね。すごいなー」
思っていた事がぽつりと口にでてしまった。
まぁ、ね。と、マイは照れる。
「ねぇ、家で1人ならうちで食べない?」
「え、いいの?家の人とか……」
マイは遠慮がちだが、凛奈は
「全然いいよ! うちも親の帰り遅いし!」
マイは、友達の親がいないので安心したのか、
「じゃ、お邪魔しちゃおっかな?」
「うん! いいよー!」
凛奈は、笑顔でこたえる。
ガチャッ。ドアがあいている。朝緋が帰ってきているのだろう。
「おじゃましまーす」
「ばんわー」
朝緋が返事する。
「えっ、やばい! めっちゃイケメンじゃん!」
朝緋は、西野中でも人気がある。
「いいなー。私もこんな双子ほしーい!」
と、マイは興奮している。
マイは1人っ子なのだ。
「お邪魔しました! 朝緋君バイバーイ!」
「じゃーなー」
マイと朝緋はメアド交換をするほど仲良くなった。
凛奈は、マイと一緒に家を出る。
「いいよねー。凛奈と朝緋君が並んだら双子ってゆーかベストカップルみたい。美男美女で」
「マイだって美少女じゃーん」
と、凛奈は苦笑いする。
「…あのさ」
と凛奈は少し戸惑いながら話しかける。
「ん?」
「マイはどうして北中に来たの?東中
も校区に入ってるのに」
「……」
マイはうつむき、それに凛奈は動揺する。
「あ、無理に答えなくていいよ!私だってあんまり言えないし……」
と、マイは顔を上げ、
「ううん、言うよ」
と、決断した顔だった。
「ちょっと長くなるけど、聞いてくれるかな」