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北原中学校吹奏楽部  作者: 星野 美織
退部した後の後悔
218/423

柚子を心配していた奈津

「あれ? 奈津はー?」

柚子が、奈津に英語の教科書を返しに来たとき、奈津はいなかった。

「藤森さんなら、保健室にいったよ」

「そうなんだ。じゃあ、これ奈津の机に置いといてほしい!」

と、友人に教科書を手渡した。

--------

放課後。柚子は奈津に教科書のお礼を言おうと音楽室の前に来た。

「あ、伊織!」

丁度伊織が通りかかった。

「奈津いる?」

「もう帰った」

なぜか伊織は冷たくそう言った。

「じゃあさ、奈津に」

「もう奈津に近づかないで」

いきなり言われたその言葉に、柚子は唖然とする。

「……は?」

「あの子の気持ちまで考えずに退部して、それなのにまた近づいて」

「……奈津が、私のこと心配してたっていうの?」

「そんなの自分で考えてよ」

涙声でそう言って、音楽室へと入っていった。

柚子は、いつも話をしている伊織にそんなことを言われて、なにが起こったのかわからなかった。

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