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柚子の考え
帰り、あの河川敷には柚子がいた。
「あ、凛奈ー!」
柚子は、この間と変わらず、クラリネットを手に持っていた。
元気に手を振る柚子を見て、ぺこっとお辞儀をした。
「こんにちは」
「こんにちは!」
元気に挨拶する柚子をみて、凛奈はまた柚子の隣に座る。
「あの、先輩」
「うん?」
「聞いてもらってもいいですか」
「……どうぞ」
彼女はにっこりと笑った。
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「あー……、確か去年もダメ金だったよね」
「はい……」
「それで、優香が辞めるんじゃないかってことね」
凛奈は、最近の部活のことを柚子に話した。
「うーん、辞めてほしくないんだよね?」
「はい!」
はっきりと返事する凛奈をみて、
「じゃあ私、協力してあげよっかな」
と呟いた。
「凛奈、今日用事とかないの? 結構暗くなってるけど」
「あッ!」
今日は、水曜日。塾の日だ。
「じゃあ、またね! 」
「あ、はい! さよなら!」
柚子に手を振られ、ぺこりとしながら走って家に帰った。




