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謎の少女
部活が終了し、帰宅する。
凛奈はマイと麻由、樹奈達と別れ、1人いつもの河川敷を歩く。
「はぁ……」
いつもよりも部活が終わるのが早く、河川敷で練習しようと楽器を持ってきたのだが、今日のパーカッション2年生の会話を聞いてから、フリューゲルに触れることができなかった。
気分転換に違う曲でも吹こう、と坂を降りた。
「あ、」
先客がいた。
クラリネットを持った少女の姿。
諦めて違う所を探そうと戻ろうとして、改めて気付いた。
「え!?」
よく見れば、北原中の制服だ。だが、クラリネットの和音、鈴音、百華、菜穂ではなさそうだった。凛奈の声を聞いて、振り返った。
───胸元のリボンは、2年生のカラーである黄色。
だが、和音でも鈴音でもなかった。
『え、ま、まさか……』
「こんにちは」
にこりと笑顔で挨拶される。
「柚子、先輩……?」




