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切り替え
昼休み。
1年生で弁当を食べているときも、ちらちらとパーカッション2人を気にして見る。
下を向いてばかり。
「すみませーん、聞いてくださーい!」
茉莉花の声で、全員が顔を向ける。
「アンコンメンバー、12時半から3の4でミーティングです」
「「はい!」」
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「ということで、いまから金管とパーカッションに別れて話するんで、先に金管から。パーカッションはパート練しといて」
「「はい!」」
教室を出て、4人は音楽室へ向かう。
「ねぇ、みんな」
沈黙の中、1番前にいた穂花が振り向く。
「切り替え、ちゃんとしよう。これからは、金管の応援、ちゃんとしなきゃ」
「はい」
「……はい」
1年生2人は、俯きながら返事する。
「……」
返事せずに手を握りしめる優香を見て、1年生に向かって言った。
「もう1度言うよ。切り替えて。2人は来年もあるんだから、来年絶対に関西行って」
穂花が少しきつい口調でいうと、目に涙をためながら顔を上げる。
「「……はい!」」




