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合宿3日目 掃除
「「ありがとうございました!」」
最終確認が終わり、全ての練習が終了となった。
予定よりも早く終わり、3日間借りたホールを掃除することになった。
ロビーはすでに人が足りている。
凛奈はホールの舞台を掃除しに行こうと大ホールへ向かった。
舞台へ上がる。
なぜか手を握りしめた。
今年の夏のコンクールを経験して、先輩の、桜の涙をみて思った。
もっと、上に、もっと、もっと……。
天井の照明に、手を伸ばした。
「凛奈ー?」
「! す、すみません!すぐ掃除します」
慌ててしまった。
凛奈を呼んだのは、綾乃だった。
「なにしてたの?」
「えっと、その、関西、行きたいなぁって……」
少し照れながら話した。
すると、彼女はにっこりと笑って
「うん。私も!」
と頷いた。
そのキラキラと輝いた目に、吸い込まれてしまうかと思った。
「よし、掃除しよっか!」
「は、はい!」




