合宿2日目 衝撃
「あー、次、ご飯か……もう移動するのもしんどいよ〜」
行こっか、と綾乃が立ち上がった。
「あ、先輩」
「ん? なぁに?」
聞いてもいいですか、と言うと、綾乃は布団の上に正座になって座った。
「どしたの?」
「あ、あの、いや、そんなに真剣な話じゃないんですけど、去年のアンサンブルって、パーカッション2人で出たんですか?」
もしかしたら管楽器のメンバーの誰かが人数調整のためにアンコンに出ていたかもしれない。それとも、2人で金賞獲得したのだろうか。そんな話で凛奈は興味が湧いていた。
「あー……」
綾乃は、頬をポリポリとかき、目を逸らした。
「あまり言ったらダメなんだけどね……、3人で出たの」
「3人……? 誰か管楽器の人が出たんですか?」
と言うと、綾乃は困り顔になった。
「うーん……、今年の3年生、パーカッションの先輩いなかったでしょ? 実はね、去年はいたんだよ」
「え……」
自分の考えの甘さと、衝撃の事実に固まってしまった。
「なんで辞めちゃったんですか?」
「うーん……詳しい事情はよく知らないなぁ。まぁ、そんなとこ! 早く行こう!」
綾乃は、立ち上がって凛奈よりも先に部屋を出た。
『やばいやばい……言ってしまった……』
真っ青になりながら、口元をおさえながら食堂に向かった。




