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この部活でよかった
「凛奈ー! 今日の予定聞きに行くよー」
茉莉花、ユリカ、奈津に呼び出され、凛奈は走って彼女たちの元へ行く。
平日は昼食の時間に、土日、祝日の練習は職員室へ小林に今日の予定を聞きにいくのだ。
「あれ、凛奈、スケッチブックは?」
するどい奈津は、凛奈が手ぶらであることに気付く。
少し笑って、凛奈は息を吸った。
「……! 凛奈!」
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「ミーティングしまーす!」
「「はい!」」
茉莉花の声で、全員が座る。
「今日はお昼から合奏です。基礎練の時間結構あるからいつもよりもじっくりしてください」
「「はい!」」
「それと、」
ユリカが凛奈を手招きする。
凛奈が前に出ると少々騒ついたが、
「ちょっと! 静かにー!」
と、奈津が指示を出すと、話し声はピタッととまった。
「……ぁ、みん、な……、私、声、でる…ようになっ、りました」
やっと言えたその言葉。
中には、泣いてるものもいた。
「とゆーことでー! みんな、凛奈の声が戻りましたー!」
と、茉莉花や部員たちが、拍手をしてくれた。
『本当に、吹部で、北吹で良かった』
と、凛奈も涙した。
凛奈にとって、最高の誕生日となった。




