リーダーとして。
「次、麻由か凛奈……、だけど、先に麻由の方がいいのかな……?」
と、マイが遠慮ぎみに言った。
麻由は、下を向きながら立ち上がった。
だが、話すことがまとまってないと、なにも喋らなかった。
「……ごめん、わからない。正直、どうすればいいか……」
と言うと、凛奈が黒板に書き始めた。
〈私が先に話すよ〉
凛奈は、だんだん体が熱くなってきた。緊張しているからだろうか。
〈私は、みんな確かに経験者、初心者って不公平な感じがする、それもそうだと思う。なんでこんな言葉が出来たのかも、なんでみんなそうやって言うのかもわからない。だけど、こんな喧嘩があるからこそ団結できるんだと思う。私は、笑顔で、ありがとうって、このメンバーで本当によかったって引退式にはみんな集まって言えるようにしたい。声が出なくなっても、みんな気遣ってくれた。みんな優しかった。悔しい時はみんなで泣いたり、楽しい時はみんなで笑ったり。そんな吹部に次第です。
私は、みんなのことが〉
ここまで書くと、目からポロポロと何かがこぼれ落ちてゆく。
久しぶりかもしれない。いままで溜めていた何かが、一気に溢れ出した。
〈だいすきで〉
最後の"す"を書き終える前に、泣き崩れてしまった。
部員たちも、一気に泣き始めた。
いつもは泣いたり笑ったり、そんなこと全然顔に出さない麻由も、泣き出したのだ。
いままで、私はなにをしていたのだろう。
この気持ちを忘れかけてた。絶対に忘れてはいけないことだったのに。
〈みんな、こんなリーダーだけど、私についてきてくれませんか?〉
そう書くと、皆泣きながらも
「「はい!」」
と、いつもの倍大きな声で返事した。
『みんな、ありがとう』
と、凛奈は、笑顔になった。




