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帆南の不満
6月中旬。そろそろコンクールメンバーを決めるオーディションだ。
凛奈は、4月に藍と、
『コンクールメンバーになって、お互い頑張ろう』
という約束をしたのだ。もうあれから2カ月もたったのだ。さらに、楽器を買ってもうすぐ1ヶ月だ。
あの嬉しさは、凛奈にとって忘れられないことだ。
とにかく、コンクールメンバーになるために頑張ろう。練習時間を無駄にせず、最終下校時間ギリギリまで練習する凛奈を見習おうと、皆も真剣に練習するようになった。ただ1人を除いては。帆南は、どうしても納得行かないようだ。いつも喋ってばっかりで、
帆南の話に巻き込まれると長くなって練習時間がすり減っていくので、みんなかかわろうとしなかった。
帆南は、後輩がコンクールメンバーになったのに、自分はサポートメンバー、そんなことは嫌だとワガママな気持ちでときたま練習することがあった。
だが、どんどんやる気になっていく皆を見るたびにイラついている。
だけど、帆南先輩はきっと変わってくれる。そう思いながら、今日もソロの練習をする。