後悔したくない
その日の夜。
美鈴は1人部屋の中でずっと部活について考えていた。
「美鈴! あんた部活辞めるんだって?」
「す、鈴香姉ちゃん。勝手に開けないでよ」
美鈴の姉、鈴香は高2で元バスケ部だ。
「はいはい。で、どうなの?」
ずいっと顔を寄せた。
「……うん」
美鈴はそっぽを向いて応えた。
「へー。やっぱり。母さんの言う通りだな」
と、今度に顔を出したのは、美鈴の兄、鈴香の双子の弟の斗真だ。
美鈴は頬を膨らました。
「2人に関係ないでしょ。それに、斗真兄ちゃんは野球部だし、鈴香姉ちゃんも元だけどバスケ部なんだから吹部のことはわかんないでしょ」
「はいはい」
と、斗真は行ってしまった。
「ほんとに辞めるの? あたしは反対だな。あたしも女バスで揉めて辞めたけど、行動すればどうにかなることだったのに、逃げて辞めちゃったもん。後悔したよ。あんたも後悔するんじゃない?ま、あんたの好きにすれば?」
じゃーねー、と美鈴の部屋を出て行った。
「後悔、するかな」
思えば、自分がきちんと愛菜の話を聞いてなかったからだ。
だが、そんな自分に腹が立って恥ずかしくなり部活を無断欠席している。
「はぁー。バカらし」
と、ベッドに寝そべった。
〈ピロリン♪〉
LINEだ。
【明日、ミーティングがあるので帰りの会が終わったら教室で待っていてください。私が迎えに行きます】
凛奈からのLINEだった。
返事は……、なんて書けばいいかわからなかったから返信をやめた。
「明日、ちゃんとみんなに話そう。話してから辞めよう」
と、1人呟いた。
「逃げるな」
と、自分の頬をペチンと叩いた。




