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凛奈の異変
次の朝。
いつも通り朝緋の目覚まし時計で起こされ、1日がスタートしようとしていた。
「〜〜ッ!」
と、朝緋の目覚ましを止めて起こそうとした時、凛奈は異変に気付いた。
『声が……出ない……?』
なぜか声が出なかった。
喉に異常はないし、風邪のような症状も見られなかった。
「〜ッ!〜ッ!」
何度も声を出そうとするが、なかなか出ない。
凛奈は慌てて朝緋を叩き起こした。
「うわッ! いってーな!」
「〜〜ッ! 〜〜ッ!」
「は? 凛奈お前なにやってんの?」
必死に伝えようとするが、伝える手段の最も重要な声がでないのだ。
なんとか伝えようとする。
と、朝緋の机にあるノートとシャーペンを手に取った。
【声が出ないの! 助けて!】
「は? 風邪とかじゃねーの?」
【ちがう! 喉痛くないし、絶対風邪じゃない!】
「え……、どうすんだよ。父さんか母さん呼んでくるわ」
【お願い!】
と、部屋を出て行った。
「ふーっ。……」
と、ため息をついた。
『どうしちゃったんだろ』




