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my楽器
「桜先輩、」
あの相談の次の日、パート練中に桜に伝えた。
「ん?」
首を傾げる桜の手には、ピカピカと桜のMy楽器が輝いていた。
「実は、楽器買ってもらうことになって、」
「まじで! おめでとー! んで、どこのメーカー買う予定なの?」
「えと、一応ティアラか、アグネーゼか、トリラーレです」
「お?なかなかセンスいいじゃん。どれも吹きやすいよ〜?」
と、紗江が桜に抱きつきながら話に入ってくる。更に、紗江の後ろを加奈子がついてくる。
帆南は、一切こちらを見ず、後輩の早苗と杏と無理矢理話していた。早苗は凛奈のたった3秒の視線に気付き、笑っていた。だが、2人とも帆南に迷惑そうな視線を送っていた。
昼休みに、小林の所へ行き、楽器の事を相談した。
すると、
「来週の火曜日、空き部屋でどの楽器にするか決めなさい。学校で買ったほうが安いから」
と言われた。ありがとうございますと礼をして、凛奈はそのまま2の1へ行った。