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聞いてしまった
それから、3日が過ぎた。
トロンボーンの1年生2人は、未だに仲直りをしていない。
「ねぇ、あの2人、どうしたの?」
と、亜利沙が譜面台を立てながら百華に聞いた。
「あー、トロンボーンね」
「そうそう。どうしたの?」
と、百華が亜利沙の耳に手を当てた。
「なんでもね、あの2人───」
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「亜利沙ちゃん、あとで2人で合わせません?」
基礎練が終わった後、マリアが亜利沙に話しかけた。
ところが、亜利沙は返事をせずにどこかへ行ってしまった。
「え……」
「なにあれー」
樹奈は見ていたようだ。
「……」
「気にすることないよー!」
と、樹奈がマリアの肩を叩いた。




