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セーター
金曜日。
予選が終わり、11月になった。
帰る途中、ヒューっと冷たい風が通る。
「うぅっ、さむっ!」
と、セーラー服の袖を見た。
そろそろセーターが必要だ。
白のラインを目で追ってみた。
「あーもう、最近楽器冷えてあっためるの大変じゃん」
「あーそれね」
「うちらなんか屋上でセクションするんだよ?木管に教室取られるし」
金管楽器は外で練習することが多い。
木管楽器の日焼けが怖いので、教室は木管楽器優先である。
「あー、セーター、私持ってないや。小学校の時私服だったからさー」
「えー? 樹奈は小学校の時の使うよー」
「あ、私捨てちゃった。ヨレヨレだったからさ」
と、バスが来た。
「あ、今度の休み、一緒に買いに行く?」
「うん。いいよ」
「やったー! ありがと! 」
と、手をあげた。




