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北原中学校吹奏楽部  作者: 星野 美織
アンサンブルコンテスト予選
107/423

棄権

「先生、あの、」

「なんだ?」

と、聖菜はバッと楽譜を小林に向けた。

「この楽譜、お返しします。私、棄権します」

「え!?」

凛奈は思わず声を上げた。

「私、フリューゲル吹けません」

その声は、震えていた。

だが、小林は受け取ろうとしない。

「間宮。今はそういう事はできない。お前が吹きたくない理由を俺が探るわけにもいかない。

それに何より、決めるのは俺だ。お前じゃない。

だから、その楽譜は持ってろ」

小林は優しい口調で言った。

「……はい」

と、聖菜は楽譜とともに手を下ろした。

「じゃあ、もう戻っていいぞ」

「「ありがとうございました」」

と言って、4人は戻った。

「ねぇ、なんの話をしてたの?」

と、早苗は尋ねた。

「またあとで話すよ」

と、杏は笑顔を見せた。

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