38人の音
次の日。今日は日曜日だ。
「「おはようございます!」」
3人はいつものように30分前に音楽室へ来た。
「おはよー」
「やっほー」
と、目を合わせることなくみんな言った。
「何? 私たち、嫌われてんの?」
マイがこそっと話した。
「ま、まぁ、みんな忙しいんだよ。早く練習しよ!」
と、3人は楽器庫へ向かった。
凛奈は自分の楽器を出し、すぐに音出しを始めた。
20分程したら、2年生が次々と来た。
集合時間。全員が揃ったが、54人だったバンドは、一気に38人へと減ってしまった。
一気に人数が少なくなったパートもあれば、
そうでもないパートもある。
小林が音楽室へ入ってきた。
「……やっぱり少ないですね。3年生が抜けると」
小林は部員たちをぐるりと見渡し、ぽつりと言った。
「3年生がいなくなったこの時期、1年生も2年生も1人が抜けたらもう合奏にはなれません。なので、しっかり音作りをしていきましょう」
「「はい!」」
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『うわぁ……』
午後の合奏1回目。
音程がなかなか合わない。
それに、聞こえてくるはずのメロディーが聞こえなかったり、伴奏がうるさいなど、いままでになかったことが起こっている。
合奏はバラバラだった。
「……まぁ、毎年こんな感じだし、なにより、3年生が抜けたばかりだからね。しっかりパートで合わせてきてください」
「「はい!」」




