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悪口契約で僕が神様になった件  作者: 千波幸剣(せんばこうけん)
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悪口契約で僕が神様になった件⑳

「しかし、どうやって戻れば良いんだろう」


「人神、お前の活躍しかと見届けたぞ。そろそろ自分の器に戻るがいい」


「あなたは?」


「ここの祭神じゃ。争いは好かぬのでお前にこの社の守りを託して見守っておった。もちろんこの社を破壊させることはさせぬように準備はしておったがな」


「そうでしたか」


大神頭おおかみがしらさまの次の階級であるお前の神力、天晴れ天晴れ」


大神頭おおかみがしらさま?」


「神の世界を統べるものじゃ」


「そういう方もおられるんですね」


「お前はもう会っておるかもしれないな」


祭神は少し微笑んでいた。


「多分、あのおじいさんかな」


「よし、そろそろ自分の身体に戻るのじゃ」


「どうすれば戻れるか教えていただけますか?」


「教えるまでもない。目を閉じた感覚を創造してみなさい」


「はい」


勇人は普段自分がベッドで眠りについているような感覚をイメージしてみた。




勇人が神田明神の祭神の代神をしている頃の貴船神社の場面



「ここに貴船神社があったのか」


翔が辺り一面を覗き込むように見渡している。


「ここが」


舞子はそれ以上言葉が出なかった。


「それよりも勇人じゃ」


「御津羽ちゃんは勇人が一番なんだから」


「それもあるがあやつならこの貴船を元通りに直してくれるはずじゃ」


「そういうことか。さすが御津羽ちゃん、この光景見たら私は思考停止してたよ」


「でも、あいつの魂をどうやって戻すんだ。その前にどこに抜け出したんだ」


「そのことだが勇人はワシの代わりに神田明神の祭神をしておるようじゃ」


「将門さま、もう大丈夫なのですか?」


「先ほどまでの記憶がないのだ」


「将門よ、もうその事は良い」


「高龗神さま、お久しぶりです」


「舞子か、久しいのぅ。正治は元気にしておるか?」


「はい、まだまだ死にそうにありません」


「自分のじいちゃんを死にそうにありませんって・・・・さすが舞子というか、高龗神さまとも知り合いなのか」


「ところで大国主命さまもおられるんですよね?ご挨拶をしようと思っているんですが」


「すぐ目の前におるが舞子でも見えぬのだな」


「はい」


「あのじいちゃんの事か、まさかな。舞子に見えないのに俺に見えるわけがないし」


「お前に見えているじいちゃんがこの大国主命じゃ」


「いやいや、見えていません見えていません。舞子に見えていないのに俺に見えているわけがない」


「ちょっと翔、あんたには大国主さまが見えているということ」


「多分、そうかもしれないが確実に大国主さまとは言い切れないし」


「あんた将門さまのときも見えていたんだから見えているは確実に大国主さまだよ」


「そうなのか。お初にお目にかかります、真庭翔です」


「雷命を保持している人神か」


「はい、守っていただいております」


「お前も雷命の存在を守ったようだな」


「どういうことでしょうか?」


「お前はそのことも知らずにあんな事をしたのか?」


「あんな事?」


「まあ良いわ。これからも人神の仕事に励むのじゃ」


「はい」


翔は少し不思議そうな表情をしながら返事をした。


「翔に見えて私に見えない」


「神崎舞子よ、新木勇人が黒崎舞子と偶然に出会ってしまったようだ」


「黒崎家の人間がどうして表に」


「それほどに東都は切迫しておるようじゃな」


「勇人の御霊を勇人の身体に戻すにはどうすれば良いですか?」


「どうやら今回の難は逃れたようじゃ。この身体にそろそろ戻ってくる」


「良かった。勇人が消えるようなことがあったら私は生きていけないし」


「あいつが消えるわけないだろ。俺ならまだ分かるが」


「デルモンテが舞子を励ましておる」


「あ・・・あの、御津羽さま、デルモンテって俺のことですよね?」


「間違いない」


「俺のイケメン場面が御津羽さまの言葉にかき消された・・・ってRPGか!」


「ところでばあ様、勝手に貴船を抜け出て」


「まあそう言うな。ここに来るはずのものを東で止めておるのは分かっておろう」


「それは分かっておりますが」


「新木勇人に足りないものは私であることも知っておるのであろう」


「高龗神の入れ知恵ですかな?」


「私自身も感じたことなのじゃ」


闇御津羽神が大国主命に訴えるような視線を向ける。


「大国主、本当なら私が力を貸したいところじゃがこの都を守らねばならぬのでな」


高龗神が会話の間に入った。


「それがこの有様ですかな」


その時、舞子は勇人の身体が動き始めたことに気付いた。


「勇人、気が付いたの?」


「舞子か?」


「うん、そうだよ、舞子だよ」


「どうにか戻って来れたんだな」


「良かったぁ」


「俺は分かってたし」


そう言いながらも翔は珍しく涙ぐんでいる。


「デルモンテが泣いているようじゃな」


「御津羽さま、俺のイケメン像が壊れてゆくのでそういう突っ込みはやめて下さい」


「イケメン木綿とは像のことなのか?どこに建っているのじゃ?」


「はぁー、このメンバーが揃っていては俺の立場がどこにもない」


「立場も何もランク1」


「そうだった」


「ランク1ではないぞ。現在ランク10になっておるな」


翔が自分のネックレスを確認した。


「ホントだ」


翔が右拳を空に突き上げた。


「本当に戻ってこれたんだな」


勇人の意識がはっきりとしてきたようだ。


「そういえば貴船神社はどうなった?」


「ここが貴船神社なんだけど、辺り一面こんな状態で」


「新木勇人よ、またお前に助けられたようだ」


「祭神の代わりは出来ませんでしたが神様の気持ちが少し学べました」


「しかし、守神として残しておいた御霊がお前に助けを求めてくるとはな」


「将門さんの荒御霊だとは感じていたので鎮めなければと覚悟を決めてぶつかったんですが魂だけが神田明神に飛ばされるとは思ってもみませんでした」


「何か変わったことはあったか?」


「はい、天海さんが神田明神の破壊にやってきました」


「ワシがいない間にやはり狙ってきたか。あとの祭神は何をしておった」


「僕の行動を見守っていたようです^^;」


「見守るも何もここにいるはずだが」


「どういうことですか?」


「我国の神社の祭神、神田明神の祭神でもある大己貴命、大黒天は大国主の神仏習合での名であるが大国主命の分神のようなものだ」


「そうだった。大黒天は大暗黒天・・・・大国主さまに繋がるのか」


「翔、あんた勇人言っていること分かる?」


「さっぱり、あっさり、ばっさり、分からないな」


「私も覚えきれない。でも、神様に会うと思い出せる」


「いやいや、神様に会うと思い出せるって、お前の言葉も十分変だぞ」


「そういえば、貴船神社一帯を直さなくちゃ」


「勇人、貴船の景色は覚えているの?」


「おいしい空気を頂いたからね」


「いや、それと景色は繋がらないでしょ?」


「僕の中では繋がっている気がしてる」


「どういう風に?」


「あの息吹は特別な雰囲気があったからあの息吹を創造すればこの空間全体も元に戻ると思うんだ」


「何その発想・・・・そんなの神様でも考え付かないんじゃないの」


「私もそう思っておった」


「お前らしい発想じゃな、新木勇人」


「荒御霊が助けを請うわけだな」


「新たな神の誕生か」


4神四様の感想のようだ。


「俺もそう考えると思っていたし」


「木綿、調子に乗るな」


「イケメンもなくなったし」


「それにそのランクもいつまでその階級を保てるのか怪しいし」


「ランクは気にしてないからいいけど、木綿でもいいからせめてイケメンを付けてくれ」


「あんたのその感覚もよく分からないけど、その前に舞子に様を付けなかった回数はしっかりと数えているからね、フフフフフ」


「舞子様、もっと大切なことを覚えるべきかと思いますが」


「木綿もね」


「ついに生地素材に降格確定したのか」


「元から木綿だったし。あんたがイケメンと言ったから流れでしょうがなくイケメン木綿にしてあげただけだし」


「よし、これでどうだ」


二人の会話に混ざることなく勇人は貴船周辺を元通りに直すことが出来たみたいだ。


「すげーーーっ、これが貴船神社というところなのか」


「木綿、初めてなんだ」


「せめて、イケメンを付けていただけませんか?」


「しょうがないわね。微妙の微とかいて微少年でどう?響きがいいんじゃない?」


「その手には乗らん。微妙の微とかいてと絶対前置きをいうだろ」


「ばれたらしょうがない」


「二人とも神様方の視線が気にならないのか。笑っているから怒ってはいないんだろうけど」


「申し訳ありません」


「すいません」


「貴船の息吹を創造して直したつもりですがどうでしょうか?」


「少し変わってしまったがこれはこれで良しとするか」


「闇龗神が帰ってきたらきっと喜ぶと思うぞ」


「どの辺りが変わってしまったでしょうか?」


「変わったというよりも人が生まれる前の貴船周辺の景色に戻っておる」


「そうなんですか?息吹からこの景色を生み出しているので手直しは出来そうにないなあ」


「大多数の参りに来る人間たちは気付かぬであろうがな」


「たまに勇人のような老人タイプもいるんだろうけど」


「老人って・・・まだ成人式も迎えていませんが」


「私は老人タイプでも勇人なら許す」


「舞子様、今差別発言をされましたが・・・それから、会話の流れが成立しておりませんが」


「微のつく少年、そういう細かい所が男子力を下げている原因だと私は思いますわ、フフフフフ」


「高校生がフフフフフっておばさんがここにいますよ」


「この場所で誰かを呼んでも舞子様しか来ないし、微のつく少年は跡形も無く消されて証拠も残らないと分かっていて私に喧嘩を売ってくるし。お相手してもヨロシイデスワヨ、フフフフフ」


「こ、こ、こわ・・・・・・・ぃ。俺はもう死んでしまいました。復活の呪文を唱えるまで起き上がることはありません」


「なるほど、それなら復活の蹴り上げドーンでも試して見ようかな?」


「舞子、もうその辺でストップ!みなさん、社の中に入られたよ」


「やばっ」


「俺も自ら復活の呪文を唱えた」


「いつもの事ながら二人とも元気だな。僕はもう・・・・」


会話の途中で勇人は眠り始めた。


「またフニャったぬいぐるみになった。まあしょうがないか、魂になっても仕事していたみたいだし、この貴船の再建も1人でやってくれたんだし、ゆっくり休ませてあげないとだ」


「そうだな。消えずによく存在してるよな」


「私の婿だから当たり前」


「そのセリフ、口にしすぎるとあいつに嫌われるぞ」


「いや、寧ろ認識させて洗脳するのだ」


「まあ、どっちにしても、存在が消えてしまったら口にも出来なくなるということもあるのか」


「翔はそういうときだけは冷静に考えるから雷命さまが選んだのかもね」


「あいつとは違ってきっと頼りないからだろう」


「大国主命さまの言ってたあの事って何なの?」


「それは俺も分からない」


「今度高龗神さまに聞いてみようっと」


「それよりも今のお前の格好すごいな」


「何が?」


「頭に御津羽さま、勇人をお姫様だっこで勇者そのものだな」


「我しもべたちなのだ」


「いや、どう見ても子供をあやすお母さんだろ」


「このまま御津羽ちゃんを妹に勇人は既成事実を作り、子供を作れば、フフフフ」


「悪い考えを口にするときにフフフフが吹き出てしまう魔物と・・・・メモメモ」


「誰が魔物だ。どうしてもっていうならラスボス倒したと思ったら最後に出てくる倒せないラスボスというなら許す」


「倒せないラスボスって存在しないし」


「とにかく勇人を社務所の中で休ませてあげさせないとだ」


「舞子、翔、これからも勇人を助けてほしい」


闇御津羽神が舞子の頭から下りて、2人の正面に立ち、真剣な顔をしたまま頭を下げた。


「そういえば、勇人に足りないものが御津羽ちゃんってどういうことかまだ聞いてなかった」


「日本の古い話に人柱というものがあるが知っておるか?」


「人口池作ったり、橋を作ったり、神様に生贄として捧げていた風習みたいなものだよね」


「私は唯一勇人の神柱になれる存在なのだ」


「でも、人柱って、そういうことをした時代もあるかもしれないけど、そんなものに効力はないよね」


「人柱は神に捧げるとは限らないからな」


「神柱は人柱とは違ってな、その神の身代わりになることができる」


「でも御津羽ちゃんが消えてしまったらみんな悲しむよ。その前にその話を聞いて勇人が受け入れるとは思えない」


「大国主に頼めば私は復活できる。心配せんでも大丈夫じゃ」


「大丈夫じゃない、絶対に何かを隠してるでしょ!」


「復活は出来るが迎えがいる」


「舞子、お前、御津羽さまが消える前提で話を進めるな。俺だって少しは役に立つし守る」


「大国主さまの世界でも翔がいれば大丈夫かもしれない」


「それこそ、何のことだ?」


「霊界、霊感、霊媒師、その能力のある人神がここにいたんだった」


「だからそんなものは存在しない」


「とにかくこれからも勇人を守っていこう」


「いや、守られてばっかで格好悪いけど、フォローくらいは出来ると思う」


「そうだね、翔の言うとおりだ」


「お前達といると私もそう思えてくるから不思議じゃ。よし、舞子、社務所へ行くのじゃ」


「また乗られてる」


「可愛い妹に乗られると首の筋肉も歓喜しながらも同時に鍛え上げれるからいいのよ」


「その表現の意味を理解しがたいというか理解したくない俺がいる」


「よし行くよ」


「そうだな」


再建された貴船神社の社務所に着くと、先に眠りについていた勇人に加えて、舞子、翔、闇御津羽神はそれぞれに一時の休憩を取った。


大国主命は出雲へ帰り、高龗神は貴船周辺に飛び回り、勇人の再生してくれた息吹に自分の息吹も合わせて、結界の守りをより強くしていた。


将門は神田明神を伝い、大国主命の力を封じ込めてある勾玉を大国主命の分神である東都の神田明神の大己貴命に勾玉を渡す為に帰って行った。


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