十八戦目「問題児は仕掛けられる」
質が悪いけど・・・次回作でどうにかする!
ヤッホー馬鉄だよー。
ん?今何してるって?
「俺、何してるんだろう…」
「あら、どうかしたのかしら馬鉄?」
うん、前には乗馬する孟徳殿。
後ろには数人の護衛だろう兵士。
俺の後ろにも護衛として連れて来た兵士。
何で俺、孟徳殿とお話してるんだ?
思えばさぁ…
「孟徳殿から書簡?」
「は、はい…来ていますが…」
「後で読むよ」
「えぇ!?いいんですか!?」
「そりゃあさぁ…」
ぎゅう〜
うん、翡玉とイチャイチャ〜。
「はうぅ…」
翠や蒲公英もこうして抱きしめて、自分自身の士気を上げるためだ。
恥ずかしがるくせに、意外と嫌がらないんだよね。
まあ、俺としても嬉しいんだけどね!
鍛練後の彼女らが狙い時だ。
変態?はっ俺は紳士ですけどね。
まあ、隠れてムッツリ言われるより、堂々とするのが一番だ。
「どれどれ?」
翡翠さんが亡くなってからは一時的に無政府状態になってしまい、かなりの政務が溜まっていた。
だけど、どこかで翡翠さんに殴られた感じがしてさ…。
翠も蒲公英も翡玉も同じようなことがあったらしい。
…それからは反省して、頑張ったよ俺。
今では内政も軍事は安定している。
孟徳殿が宣戦布告してからは親しい異民族にお願いして、翠を長とした西涼連合を作った。
兵数は元より錬度もそこそこ。
蜀や呉に書簡を送って魏を牽制してもらっている。
だから兵や将を裂かせてもらったよ。
兵を分断させるのは基本だよねぇ。
ただ、こちらにも懸念がある。
「兵は多いんだけど、将が足りないんだよなぁ」
「確かにそうですね。…臨時で増やしますか?」
「んー、翠や翡玉は万単位で動かせる蒲公英は千単位で動かせる。程銀達は…ギリギリ千かなぁ」
最悪、将を纏めて兵士を統率するしかないなぁ。
はぁ…。
孟徳が羨ましいよ。
人材に関してはね〜。
「次に攻める道なんだけど…」
「ひゃあっ!」
翡玉の柔らかいお尻にタッチして、机の上の地図を取る俺。
え?セクハラ?
違うよ?スキンシップだ。
「この地図を見て俺の太ももの皮がちぎれるぅぅぅぅぅぅ!!」
「……ふんっ」
うぅ…。
いくらセクハラしたからって太ももを抓ることないじゃないか。
皮がちぎれかけたよ…。
「気を取り直して、地図見て」
「…こういうのは軍議でやるべきでは?」
「まあ、そうなんだけどさ。前もって翡玉に教えておいた方が後々楽だから」
翠に今言っても仕方ないしね〜。
「まず、今回、孟徳殿の本拠地は二カ所から攻められます。一つは洛陽経由。関がいくつかあるけど、真っすぐだし、制圧しながら進める」
正直、こっちがオススメかなぁ。
「もう一つが南下して、荊州北部を通る道。こっちは行軍が大変だけど、戦は少ないと思う」
ある意味遠回りで、補給路がきつくなるけど野原が主になるから騎兵の力を出しやすいんだよ。
一長一短かなぁ。
「どっちがいいかな?」
「うーん、私の意見だと長安から洛陽の道がいいと思います」
「やっぱり?俺もそう思ってる」
短期決戦。
今回はこれが重要だ。
兵数では圧倒的に勝っていても、残念ながら西涼にはそれを維持できるほど食料はない。
「とりあえず食料は辺り一帯を買い占めるか……」
「あの、木牛? 流馬でしたっけ? あれも今回使うんですか?」
「もちのロン。あれ使えば輸送部隊の人員も多少減らして、護衛や迎撃部隊に回せる」
俺はさらさら〜と、適当な竹管にメモして、とうとう魏からの書簡を手にする。
……あらあら
「何て書いてあるのですか?」
「要約すると【戦始まったら話せないし、少し世間話しない?】って感じ?」
「わ、罠に決まっています!」
ですよねー。
俺もそう思うけど、孟徳殿がそんな卑怯なことするはずはない。
さすがに呼び出して殺すはないだろう。
……つーか本音が分からんな。
何を考えているんだ孟徳殿は。
戦前に世間話をしよう?
意味が分からん。
何か策があるんだろうけど……。
「……まぁ、行ってもいいか。腹の中を探って来れればいいし」
「な、なら私を護衛に」
「いや、程銀と張横と兵士数人護衛に連れていく。翡玉は兵士の調錬とかやって欲しいことがある」
なんせ兵数が多いからね。少しでも錬度を上げておいてほしいのだよ。
「とりあえず簡単に軍議終わらせたらしたくするかなぁ」
うん、俺の意思で来たわけで。
「久しぶりね馬鉄」
「どもです孟徳殿、ちなみに自分は仲誠という字がありまして」
「なら仲誠とよばせてもらうわ」
「ええ、そうそてもらえれば。それで何の御用ですか?」
「いえ、これから戦が始まるじゃない? だからその前に貴方と話そうと思っただけよ」
「ふーん、それだけで? もしかしたら自分が貴女の首を取るように策を用いるかもしれませんよ」
だって元譲殿も、あのでっかい鉄球持ったちっちゃい子もいないんだもん。
「貴方がそんなことしないくらいわかるわ」
「そう言ってもらえれば幸いです。で、それだけですか?」
「そうね、ならば降伏勧告ぐらい出しておきましょう」
「お断りします」
「なぜ? これでも私は貴方達西涼軍を評価しているのよ?」
「お分かりだと思いますが、軍師としての自分は納得しますが、西涼男児としては否定しますから。それに、上が納得しても下は納得しませんしね」
「そう・・・、なら楽しみにしているわ」
それからというもの、本当に世間話だ。
元譲将軍が暴走したとか、袁紹との戦いはこーだったとか。
過去の話とかもしてましたしねぇ。
「はい、戦場で会いましょう」
「ええ」
なんだかんだで会談は終わった。
なにがしたかったのだろうか。
孟徳殿の腹のうちが分からないまま俺は武威に帰るのであった。
玉君がいることで変わってしまった順序。
完結は近いです。