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西涼の鉄ちゃん  作者: 坂本 康弘
西涼問題児と反董卓連合
13/27

十二戦目「問題児は溜め息をつく」

とりあえず反董卓連合編終了。

次回からは西涼√攻略に玉君が奮闘します。

洛陽炎上の報告を受けた俺はすぐさま、救援部隊の騎兵一万を編成し、翠と蒲公英と洛陽に向かっている。


歩兵中心のほかの諸侯も遅れながらも追いかけているらしい。


さて、斥候の情報によると洛陽炎上の理由はまだ生き残っていたらしい十常待の片割れや董卓軍の中でも問題視されていた李カク達の身の不安からの錯乱からに放火を行ったらしい。


詳しいことは分からないが大方、そういうことだ。


洛陽の民は一応、長安に避難しているらしい。天子様もだ。


避難の手際がいいな董卓。


・・・・ま、ともかく今は洛陽に急行軍で向かっている。


翠が時折話しかけてくるが、俺にはそんな暇はない。


・・・洛陽救援後のことを考えなければならない。


確実に群雄割拠の時代が来ることが分かりきっている以上、翠を主君とするためどのように涼州から勢力を伸ばすか。


俺の予想だと長安に董卓軍残党は残るだろう。


そうするといかに天子様をお救いになるか。長安まで勢力を伸ばせそうだが、文官が足りなさ過ぎる。


俺が直接行くわけにはいかない。首都武威があるわけだし。


・・・やっぱり文武官足りないなぁ。


いっそ謀略をやろうかと思ったが翠に反感を買ってしまうかもしれない。


俺、という存在が嫌だが、下手に謀反の濡れ衣を着せられるのも嫌だ。


・・・まあ、どうにかするしかないな。


”俺”が生きている限りは、な。


「玉、見えてきた」


荒い息で翠が俺に言った。


蒲公英も疲れた様子を見せている。兵士達もだが。


視線の先には煙の上がる洛陽。


「・・・酷いな」


城壁を開けて、洛陽に入ると自然とその言葉が漏れてくる。


炎上する洛陽にあるのは燃え盛る家屋や血の湖に倒れる人々。


翠も顔をしかめている。


・・・董卓がやったのか?


いや、そんなはずはない。もしこんな悲惨なことをするならば、あんなに手際のいい避難はしないはずだ。


とにかく商人と合流し、洛水と呼ばれる川から兵士五千を使って洛陽の消火活動に当たらせる。ここでの指示は俺がやる。


蒲公英と翠には崩れた家屋からの民の救出作業だ。ここには三千の兵を。


残った二千の兵には商人から購入した食料や資源などを使って、炊き出しや簡易家屋の製作や宮殿の清掃をやらせる。


消火活動を終えた兵士は他にもやってもらうことがあるので指示を出す。


そういえば十常待の片割れがいたので殺しとく。


宮殿の奥に隠れてやがった。よくあんな火災生きてられたな。


後で火種になるのが分かっているので消しておいた。


・・・一応、消火作業でひと段落した時に連合軍がようやく辿りついた。


馬超軍は強行軍で疲労が溜まっているために休養を取るという名目で連合軍に後は任せた。


玄徳のところの一刀が張飛ちゃんと華雄将軍を連れて洛陽近郊の森に向かったので不思議に思い離れて尾行してみると、なんと董卓がいた。可愛かったなぁ。


大方やるであろうことは分かっていたので「董卓は洛陽炎上の際、死んだ」という噂を流しておいた。


「・・・はぁ、疲れたなぁ」


まだ何かが燃えている匂いや死体が焼かれた匂い、血の匂いが残る洛陽で呟く。


夜空は相変わらず星が輝いて綺麗だった。


「乱世、かぁ」


少々自分の考えが浅かったことに溜め息をつく。


もう少し速く気が着いていれば、国を起こせるぐらいの勢力や人材を集められたかもしれない。


「ま、過ぎたことだしなぁ・・・」


董卓軍はすでに四方八方に分裂してしまっている。董卓は世間上死んでいるし、呂布は消息不明、張遼は孟徳殿のところ、華雄将軍は玄徳のところ。


俺の負担が増えるかもしれないが諦めるしかない。


俺にどんなに負担が増えたっていいのだ。俺が大好きな人達が笑顔ならば。


「玉、こんなところにいたのか」


夜空を見て、溜め息をついていると翠が現れて俺の隣に座る。


「おお、翠か」


「なに夜空なんて見て感傷に浸ってんだ」


茶化すように翠が言う。


「まあ翠よりはマシだろうね」


「どういう意味だ?」


「翠が夜空を見て感傷に浸ってたら笑い話にしかならないさ」


「うるせっ」


「いてっ」


ポカッと頭を殴られる。


そしてしばらく二人で夜空を見る。


「・・・なぁ翠」


「・・・なんだ?」


俺は夜空の星に向けて指差す。


「あの緑色っぽく大きく輝く星があるじゃん」


「うん」


「あれが翠、馬超の将星なんだ」


「ふーん、そんなのがあるのか」


「上にあるのが翡翠さん、下に小さく黄色っぽく輝いているのが蒲公英ね。隣が翡玉。さらにその下にある薄い碧が俺なんだよ」


「それがどうしたんだ?」


「・・・まあ、翠に言っても仕方ないんだけどさ。とりあえず知っていてもらおうかなーと」


「まあ、星がどうだろうとあたしには関係ないしな」


「翠は戦いと飯があればいいもんなぁ」


「うるせっ」


「いたっ」


またポクッと叩かれる。


「・・・なぁ、翠」


「ん?」


「俺、疲れた」


「・・・仕方ないな、ほら、あたしの膝なら貸してやるよ」


顔を真っ赤にしながら言う翠。可愛い。


普段ならボケてるけど、俺はつかれたよパト○ッシュ・・・。


「ありがと・・・」


今は翠の健康的な生足の膝枕を楽しもう。


乱世という仕事の前の一眠りとして。

玉:

やぁ皆。

皆大好き鉄ちゃんだよ。


いやぁー疲れたねえ。

疲れたんだけど西涼に帰らないとね…。

洛陽はもう死体と壊れた家屋しかない。

宮殿もボロボロでさ…。

死体は全部燃やした。

崩れた家屋と一緒にね。

疫病が怖いからねぇ…。

うん…疲れた…。

また翠に膝枕してもらおっと。


んじゃ、次回もよろしくな。

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