表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。

この作品ページにはなろうチアーズプログラム参加に伴う広告が設置されています。詳細はこちら

PR

真実の愛ってなんですか?

掲載日:2026/07/23

運命の人ってなんですか?

https://ncode.syosetu.com/n9989ml/

のシリーズで書いています。

私、フランソワ・フォン・カルアテイアは王国建国時からの名門貴族です。

幼き頃から王太子妃となるべく、徹底的な教育を施され、微笑みを崩さず、感情を見せず、常に客観的に物事を見据える、完璧な令嬢へと育ちました。

私のことを好意的に見る人間は「完璧な令嬢」と呼び、悪意ある人間は「鉄の公女」と呼ぶそうです。


先日、王太子殿下との婚約が白紙となりましたが、12歳年上の王弟殿下との婚約が早々に決まりました。

後妻ですね。王弟殿下夫人の不貞により離縁となり、その息子さんも血の繋がりがないとのことで、席が空いたようです。


「次、同じようなことが起きたら、わかってるんだろうな」とお父様が国王陛下と王弟殿下に詰め寄っていたので、今度は無事結婚出来ると思います。


王弟殿下は気さくで朗らかな方で、お兄様として慕っていましたので、私としても異存ありません。



本日は、侯爵家主催の夜会があります。

王女殿下が嫁ぐので、そのお披露目であり、私と王弟殿下との婚約のお披露目にもなります。


本日は、しっかりと王弟殿下にエスコートされて会場に入りました。

次期侯爵子息と王女殿下に挨拶をし、お互いの婚約者を紹介します。まあ、お互い顔見知りではありますが、この辺りはマナーですわ。


招待客がすべて会場入りしてしばらくすると、突然大きな声で若い貴族が叫びました。


「リズベット! 君との婚約を破棄する」


まあ、と私は扇を開いて驚いた顔を隠します。チラリと王弟殿下を見ると、苦々しい表情です。


「何をおっしゃっているのですか」

「黙れ! 私は真実の愛に目覚めたのだ! このペルーナだ」

「そんな!」


あらあら、あらあらあら。なんでしょう? なんでしょう?

私は聞き慣れない言葉に興味津々です。王弟殿下が、私を見てクスリと笑いました。


指を口元に持っていき「しー」と、今は黙っているように伝えてきます。


「いつも苦言ばかりで可愛げのないお前より、私を認め、肯定して、癒してくれるペルーナこそ、私の真実の伴侶だ」

「私達は政略での……」

「だからだよ。家と家の繋がりでの婚約。ならば、妹のペルーナでも問題なかろう」


え? 妹? あの方は、姉君との婚約を妹君と入れ替えようとなさっているの? ご家族の了承は得られているかしら?

言われているリズベット嬢は、絶望の顔で声もあげられないようです。お立場が悪いのでしょうか?


そう思っていると、私を伴って王弟殿下が前に進みます。

私にチラリと視線を投げ、ついてくるよう促しています。


面白そうですわ。表情には出しませんが、私も王弟殿下も好奇心が強いのです。鉄の公女などと呼ばれてはおりますが、昔から王弟殿下には「君の瞳はよく喋るね」と言われていました。

知らないことを知るのがとても楽しい。


王弟殿下は人だかりを抜け、騒がしくしている令息の前に出ます。


「君、侯爵子息と王女殿下の婚約披露の夜会だと理解していないのか? 常識をわきまえたまえ」

「王弟殿下!!」


大声で婚約破棄を叫んでいた男が、驚愕に目をむいています。

彼は参加者に王女殿下と王弟殿下がいることを把握されていなかったのかしら?


叫んでいた男が頭を下げて恐縮しているのを見て、王弟殿下が言います。


「まあ良い。余興として見逃してやろう。私の婚約者の質問に答えられたらな」


とても楽しそうに王弟殿下が仰る。あら、質問させてくださるのね。

そして、私に視線が集まる。王太子殿下との婚約破棄の場にいた法務大臣のご子息が、慌てているのが見えました。


「王弟殿下の婚約者、カルアテイア公爵家のフランソワですわ。お見知りおきを」


カーテシーで挨拶をして、顔を上げて若い貴族をみる。


「……アダンテ子爵家の次男、レリックです」

「さて、レリック様。先ほどの宣言のなかで、私、知らない言葉があったので教えていただけませんか?」


レリック様は、私に向き合い頭を下げ「承知しました」と返答した。

なので、私は聞いた。


「真実の愛とはなんですか?」


レリック様は呆気にとられたように口をぽかんと開き、黙って私を見ています。


「レリック殿。私の婚約者が聞いている。聞こえなかったか? 真実の愛とはなんだ?」


レリック様は口を開きかけて、何かを言いかけて、でも声が出ていない。

質問が通じてないのかしら? 私は詳細な質問をした方が良いと思い、詳しく質問しました。


「『リズベット様より認めてくれて、肯定してくれて、癒してくれるペルーナ様が、私の真実の伴侶』とおっしゃられておりました。ですから『真実の……』が重要な言葉でしょうか。先ほどの話の、どの辺が『真実』となるのですか?」


会場の視線がレリック様に集まる。 レリック様は慌てたように視線を彷徨わせてから、モゴモゴと言います。


「あの、政略結婚より、ちゃんと好きな相手と結婚すると言うか……」


ようやくレリック様が答えてくださりました。しかし、よく判りません。


「政略結婚だと真実ではないと? では、もしペルーナ様がリズベット様のご姉妹ではなかったら、政略を取りやめて、ペルーナ様と真実の愛を貫かれるのですか?」


レリック様は「…はい、その通りです」と答えた。


「婚約という契約を破棄して、貴族間の契約を反故とするほどの現実的な姿とは思えませんが……」


レリック様からの返答がない。私は、どうも納得感がない。


「会場の中に他にも……」と言いかけたところで、法務大臣の子息が手でバツを作っています。

聞いてはいけないようです。 では、王弟殿下にお聞きしましょう。


「王弟殿下、私達は政略での婚約を結びましたが、真実ではないようなのですが、これはどういうことでしょう?」


この言葉に会場がざわめいた。


「あら、では私も真実ではないわね」


クスクスと笑いながら、王女殿下が話に入ってきた。


会場にひびが入るような緊張感が走った。よりにもよって、王弟殿下と王女殿下の婚約を真実ではないと言われていることになったのだ。

レリック様は蒼白となって、蚊の泣くような声で反論した。


「いえ、あくまで私の中での話でして……」

「あなたの中?ですか。では、何を基準としていますの? 真実とそうでないものの違いは?」

「それは、うまく言えないのですが……」


レリック様は泣きそうになりながら言うが、答えになっておりません。


「うまく言えないのに、真実なのですか? 貴族間の婚姻契約を反故にするほどなのに?」


私は、どうもこの手の話が理解できないようだ。 すると、王弟殿下は私の手を握り言った。


「彼には彼の価値観があり、それを真実というもっともらしい言葉で飾った。要は言い訳だね。単純に姉よりも妹の方が良い、というわけだ。だが、貴族の婚姻契約とは家と家の契約というだけでなく、信用の問題でもある。己の価値判断だけで物事の良し悪しを決める相手を信用できるか?という話になる」


王弟殿下の言葉は理解できる。でも……。


「では、これも個人的な感情なのですね? でも、何故そのような意味のない形容詞をお使いになるのかしら?」


王弟殿下は肩をすくめ、王女殿下が笑いながら私の質問に答えた。


「鳥が羽を広げて相手に求愛したり、虫や獣が鳴いて相手に求愛するように、人は詩的な会話で相手にアピールするのよ。どれだけ魅力的な表現ができ、相手がそれを受け入れるか、というお話だと思うわ」

「なるほど、今の説明はよく分かりましたわ。真実の愛とは、レリック様なりの求愛行動というわけですか……でも、何故みなさま夜会でやられるのかしら……?」


私の言葉に王弟殿下と王女殿下が笑い、それを呼び水として会場も爆笑に包まれた。

レリック様は、鳥や獣などの求愛行動と自分の行動を同一視されたことにショックを受けたようによろめいていた。


こうして、レリック様の婚約破棄は余興として、特に問題にならず終了した。


後に聞いた話では、レリック様とペルーナ様は結ばれはしたものの、王弟殿下と王女殿下の婚約に疑義を唱えるような発言をしたと貴族の籍を外され、リズベット様は新たな婚約者とお幸せに過ごしているそうです。



私はといえば。

王弟殿下との定期的なお茶会の終わりに、夜会での顛末を王弟殿下よりお聞きしたあと。


「では、私からも一つ、君に真実を伝えよう」


王弟殿下は静かに立ち上がると、私の目の前まで歩み寄ってきた。


「殿下……?」


いつもの微笑みを浮かべて見上げようとした瞬間、低く甘い声で名を呼ばれる。


「フランソワ」


逃げる隙すら与えられないまま手首を捕らえられた。

指先が触れているのは、私の手首——脈打つ熱い場所だ。 そのまま引き寄せられ、周囲には聞こえないような微かな囁き声で、私の耳元に唇を寄せられた。


「私の『真実』を君に伝えよう。完璧な私のお姫様……君のその好奇心に満ちた、キラキラと輝く美しくも雄弁な瞳を、私は心の底から愛おしいと感じている」


耳元をかすめる吐息の熱さと、肌越しに深く伝わってくる彼の体温。 今までどんな事象も客観的に分析し、完璧に対処してきたはずの私の頭の中が、突然真っ白に染まっていく。

手首を押さえる彼の指から、ドクドクと跳ね上がる私の脈拍が筒抜けになっているのがわかる。


(あ、あら……? 熱いですわ……顔が……っ)


立ち尽くす私を見て、王弟殿下は満足そうに目元を和ませ、くすりと楽しそうに笑った。


「ふふ、幼い頃から君の瞳は本当に嘘がつけないね。……どうだい? これが『真実の求愛』というものだよ」


大人の魅力で甘く迫られてしまい、私は生まれて初めて顔を真っ赤にして、ただただ立ち尽くすことしかできませんでした。


おしまい


評価・レビュー等は受け付けておりますが、返信できない場合が多いので、ご承知おきくださいmm


本作はAI(Gemini)を利用し、校正を行っています。

基本お話は完全に手作りですが、描写等のもサポートしてもらっています。

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
なるほどですね。 『真実の愛』とは『求愛行動』ですかぁ。 一つ賢くなりました!(賢さが1上がりました) 鳥の求愛行動派手ですものね…。 (鳥って種族関係無く“求愛の相手”と見做せるほどの『おバカさ…
イケメンにしか許されない所業をサラッとこなすとは流石です王弟閣下
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

↑ページトップへ