とある廃刊雑誌の記事。
『最近巷で話題の都市伝説、兎男に迫る!狂気的な怪物の正体とは!?』
本雑誌では、最近話題となっている都市伝説、「兎男」に迫ろうと思う。
兎男について何も知らない読者に説明しよう!
兎男とは、深夜突如として現れる黒いウサギの仮面をつけた大男のことである!うさぎの仮面と、人を超えた跳躍力、そして何よりもその行動の謎が話題を呼んでいる。
最初の情報は警察への一件の通報である。
20××年、都内某所に在住の42歳女性から通報が入った。
うさぎの仮面をつけた大男が深夜に家の前を彷徨っている、怖いためなんとかしてほしい、と。
警察官が現場に現着したところ、大男は道路の真ん中で月を見上げており、警察官が職質。
警察官との意思疎通が可能だったため、一旦最寄りの署へ連れていくことに。
なお、移動中何度も月を見ており、警察官に問いただされたところ、男は「天文学を学んでいて、天体に興味があるのです」と供述。
署での取り調べにも快く応じ、不自然なところがなかったので取り調べは終了、不審者として厳重注意への流れとなった。おくだけとなった。
なお、通報者宅前を彷徨っていた理由としては、「あの場所が天文学的に月が綺麗に見えるのでして」とのこと。
続いての情報もまた、警察への通報であった。
今回の通報者は都内在住の20代の女性である。
ここ数日、家の前にウサギの仮面が置かれている。不気味なので対処して欲しい。とのことだった。
警察官が防犯カメラの映像を確認したところ、大男が毎晩仮面を置きに来ていることを確認。
数名の警察官を警備にまわし、仮面を置きに来た男を現行犯逮捕。
取り調べを行ったところ、「通報者に好意があり、なんとかして近づきたかった。うさぎが好きだと言っていたので、ウサギの仮面を置いたら喜ばれると思った」と供述。
ストーカー規制法違反及び軽犯罪法違反とした。
なお、1件目の男とは別人であった。
ここまでは我が雑誌のとある記者が警察へ裏ルートで手に入れた情報である。
そして、三つ目のものは読者諸君もご存知なのではないだろうか。
ハロウィンの夜、渋谷にて火災が発生。消防が駆けつけ、2時間後に火は消し止められた。
状況から放火の可能性が高いと見て捜査が開始された。
また、同日、山梨県にて土砂崩れが発生。被害者はいないものの、家を5軒も潰す災害となった。
警察の調査として人為的な可能性は極めて低く、災害として処理された。
さて、ここまでは何も不思議ではないことである。
不思議なのはここから後のことである。
その火事、土砂崩れそれぞれ、現場にいた人々がネットに現場の写真を投稿する。
ネット上では土砂崩れにおいて死傷者がいなかったことについての安堵や、火事についての犯人の考察などが行われていた。
すると、一人のネット民が見つけてしまう。
『家事にも、土砂崩れにも、なんかうさぎのお面をつけた人いない?』
ネット民たちは最初は楽しんでいたものの、複数の人がそれぞれ撮った写真全てに写っていたため、うさぎ仮面犯人説などと言ったものが出た。
すると瞬く間に話題が拡散され、都市伝説化。今では兎男と呼ばれるようになった。




