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里の香りが有(す)る人  作者: みつ


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第5話 里の香りが有(す)る人


修学旅行を終えてから数日が経って自我を取り戻した彼、岩地(いわち)(あき)は順調な学校生活を送っていた。

片重(かたおも)いをしている相手、(ゆう)里香(りか)との関係性を構築していくこと以外は。

秋は(ゆう)との接し方に迷いがあった。


1周目の時(ファーストタイム)、彼が侑のことを好きになってからの学校生活はとにかく大変だった。

急上昇、急旋回、急下降という感情の起伏を繰り返し、繰り返しさせられた。いや、してしまった。

ある種の自業自得だった。

どうしてか、それは1周目の時には気づけないことだった。

もしかすると、時間跳躍(タイムリープ)後の秋ですら気づけていないことすらあるかもしれないことだった。

順を追っていく。



まずは、この後すぐに起きるイベント。

‘‘2人きりでのマリーア’’だ。

マリーアはファストフード店の名前である。

その‘‘2人きりでのマリーア’’で1周目の時に2時間は話し込んでいた。

内容は恋愛相談からただの雑談まで様々だった。

そう。この恋愛相談がまずかった。

どちらからこの話題を始めたかは覚えていないが。

1周目の時、彼は気になる人の話をしてしまった。

つまり侑視点からしてみれば、秋は恋愛相談をしてくる相手という認識になってしまった。

そうとなれば、侑視点では当然の如く秋のことは恋愛対象外となってしまっていただろう。

さらには侑が、高校生活では彼氏は出来ないだろうと言う嘆きに対して『大丈夫。モテるよ』とフォローしてしまった。


この次にあまり起きるべきではないイベント。

‘‘告白’’だ。

そう。猪突猛進な彼は特に何も考えずに告白をした。いや、してしまった。

しかもこの告白はただの告白ではなかった。

スマホの連絡先を交換していた彼は‘‘縦読みの告白’’というまわりくど過ぎる告白をした。

しかも、これ自体のトリックを気付かれずに始めはスルーされてしまい痺れを切らした彼は『縦読みして』と促した。

そこで気付いた侑は驚いた雰囲気の返信をしてきた。

そしてその‘‘告白’’の返事を聞くことは無かった。

ただ、侑は心優しいからなのか普通にスマホでのやり取りでも返信が来ていたし、学校でも普通に喋っていた。

それこそ彼にとっては女子の中でも稀有(けう)な存在として、呼び捨てで且つ慣れた様子で接していた。

だが、そんな侑の行動を受けた秋は勘違いをしてしまっていった。


あまりやってはいけない次のイベント。

‘‘遅れた誕生日プレゼント’’だ。

侑の誕生日から2ヶ月以上過ぎている中。

彼はスマホでのやり取りで誕生日の話題が出た時に『もう過ぎちゃった』と言われて何か欲しいのかなと感じて、同じシャーペンを色違いで2本買って渡した。

どうして2本買ったか、それはどっちの色にすればいいか分からなくなったからだ。

侑には『どっちかは友達に渡して』と伝えたが『いわち、どっちか欲しいんでしょ?』と言ってきた。

その言動で勘違いが加速してしまった。


同じようなイベント。

‘‘旅行で買ったプレゼント’’だ。

夏休みに旅行をした彼は前回のに味をしめてしまい侑に対してプレゼントをまた同じものを色違いで、2つ買ってその内の1つを選んで無理やり渡した。

今回は実用性の無い、小さいぬいぐるみのストラップだった。


夏休みが明け次のイベント。

‘‘奇跡の席替え’’だ。

席替えが行われた時に、侑と前後の席順になった。

それだけでも舞い上がって人生の運を全部使い果たしたと思っていた彼は、その後まさかのことが発生しこんなに良いこと起きるのかとなっていた。


学校行事が盛んな時期に次のイベント。

‘‘帰宅拒否’’だ。

体育祭が行われて打ち上げも終わった時に、彼は帰宅をしたく無くなってしまった。

理由は、彼には分からなかった。

いつまで経っても帰ってこないことで岩地母は豊生母に連絡をしたりして、安否確認をして気付いたら大きな出来事に発展していた。

そんな時に、侑は心配をしたのか連絡を送ってくれていた。


冬休みが明け寒さの本格化が進む時期に次のイベント。

‘‘ 机上のルーズリーフ’’だ。

授業の合間にある休憩時間、彼の席に座っている侑を中心に侑の友達が集まっていた。

どんな話をしているのか全く聞こえもしない距離感にいた彼は、傍から状況を見る他無かった。

授業が始まるチャイムと同時に、侑を含めた全員が自分の席へと足早に戻った。

彼も足早に自分の席に戻って着席した。

その瞬間、温もりを感じた。

ノート代わりに使っているルーズリーフの束を用意すると、1枚にだけ明らかに彼の字体では無いが大きな文字で書かれているものが存在していた。

その文字を読んで少しやる気を起こした彼だった。


春が始まる時期に次のイベント。

‘‘勘違い’’だ。

侑が見覚えのある男と一緒に帰っていく姿を見てどうしても気になってしまった彼は、確認をするためにスマホでやり取りをした。

返事は少し焦った様子だったが嘘は無いとなぜか確信していた。


最後のイベント。

‘‘……退学’’だ。

色々合った天翔高校を成績不良という形で彼は退学することになってしまった。(いな)



1周目の時、彼がやらかしてきたことを考えながら学校帰りに指谷(さすがや)駅から電車で塾の最寄り駅である清正公(せいしょうこう)駅に向かっていた。

成績があまり良くなかったために、岩地母が地獄を見させようと秋を塾に通わせていた。

ただ、そこまで億劫(おっくう)には感じていなかった。

理由は、中学受験をする時にその塾でお世話になって行き慣れているし、講師の人は昔からの付き合いで秋の性格を理解していたからだ。


ただ学校帰りだとかなり早いから毎回、塾の最寄り駅である清正公駅の付近にあって常連化しているファストフード店マリーアで時間を潰している。

そんな時に、スマホで侑とやり取りをした中で何をしているかと聞かれて素直に暇をしていることを伝えた。

そこで場所を送ると、まるで示し合わせたかのような反応が返ってきた。

と言っても秋は、当然知っていた。

いつ、このやり取りをするかまでは覚えてはいなかったがマリーアで2人きりの時間を過ごすのは記憶にあったからだ。

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