補遺3
管理番号 A-3174 に関する日報記録を照合したところ、
本件は分類変更の頻度や移動幅のみならず、
記録の連続性そのものにおいても、
標準的な事務処理の範囲では説明が困難な状態に至っているものと
考えられます。
■ 分類変更記録の連続性の欠落について
これまでの分類変更は、各日報において連続しており、
少なくとも記録の表面上は、
同一対象に対する逐次的な処理として追跡可能な状態にありました。
しかし、2005年6月21日の日報において、
管理番号 A-3174 の旧分類は「建築(建築史)」と記載され、
新分類は「美術(造形芸術論)」とされています。
直前に確認されている分類は「数学(基礎論)」であり、
数学分野から建築分野へ移行した旨を記す日報は、
現時点において確認されていません。
なお、日報自体の欠落は確認されておらず、本件は、
分類変更の連続性(旧分類が前回新分類と一致するという形式的整合)を
断ち切る事象であると考えられます。
■ 物理的記述の差異について
2005年6月21日の日報では、
当該書籍について、
・ソフトカバーであること
・本体の状態は概ね良好であること
・付属物として DVD が確認されたこと
・付属 DVD は陳列時には本体と分けて保管すること
が記載されています。
これらの記述は、直前の日報との比較において、
表現の揺れ(書き手の記述癖、省略、言い換え)として
説明できる範囲を超えているものと判断されます。
特に、付属物(DVD)の存在については、
単なる記載漏れとして扱うことが難しく、
物理的構成の差異として取り扱うほかない状況です。
さらに、同一管理番号に紐づく対象について、
函への言及、帯の取り外し、DVD の別途保管といった
措置が記されている点も踏まえると、物理的構成の変化は、
書籍本体にとどまらず付属品にまで及んでいる可能性が
高いものと考えられます。
■ 管理番号重複の可能性および照会について
上記の欠落および差異が確認される以上、最も単純な説明として、
管理番号 A-3174 が重複して付与されている可能性を
検討する必要があると考えられます。
この点について、
管理番号の重複、再利用、登録誤りの有無について照会を行いましたが、
管理番号 A-3174 に関して重複が発生している事実は確認されておらず、
登録上の扱いは一貫して単一対象として処理されています。
また、分類変更の指示に関する経路についても、補遺2で記したとおり、
発出手続き上の不備や特異な点は認められていません。
■ 日報における非言及について
最も留意すべき点として、上記のような欠落および差異が、
日報本文において特記されていないことが挙げられます。
当該日報は、書士による業務記録として平常の体裁を維持しており、
旧分類が建築であること、付属 DVD が存在すること、
付属物を別途保管すること等についても、
通常業務の一部として淡々と処理されています。
このことは、書士が当該変化を認識していない、
あるいは変化として把握し得ない状態に
置かれている可能性を示唆するものと考えられます。
■ 今後の確認について
現時点において、管理番号 A-3174 は貸し出し中とされており、
現物確認を行うことができません。
返却され次第、当該書籍の確認を実施する予定とされています。
本件は、かなり強力な認識阻害を伴う事象である可能性が高く、
その影響範囲が付属品にとどまるか否かについても、
現時点では判断できない状況です。
また、これまでに確認されている変化の内容および記録上の差異を踏まえると、
当該事象における変化量および影響範囲の双方が、今後さらに拡大する可能性を否定できないことから、
現時点での脅威度の評価については、慎重な対応が求められます。
以上を踏まえ、調査担当者においては、
当該書籍の取り扱いおよび確認に際し、
十分に注意を払う必要があるものと考えられます。




