推しの激昂と、愛の告白
カタリナ様の青い瞳は怒りで燃え、その冷たい美貌は鬼気迫るものに変わっていた。
「リリア・ヴェルジェに、何をしている?マティアス!」
マティアスは動揺した。
「カタリナ嬢!これは、貴方を救うためだ!この女は貴方の家の不正を暴こうとしている!私と共にこの女を始末すれば、全ては丸く収まる!」
カタリナ様は一歩、また一歩と、静かにマティアスに近づいていく。
彼女の手には、装飾用の短剣が握られていた。
「貴様のような卑劣な者が、私のリリアに触れるな」
カタリナ様の口から放たれた言葉に、リリアは目を見開いた。
(......『私の』リリア!?)
カタリナ様は、リリアが自分を愛するように、誰にも言わずに密かにリリアを「自分だけのもの」と認識していたのだ。
「私が断罪されようが、家が崩壊しようが、貴様がリリアに指一本でも触れることは許さない」
その瞬間、カタリナ様は短剣を投げ、マティアスの足元に突き刺した。マティアスがひるんだ隙に、カタリナ様はリリアに駆け寄り、拘束を解いた。
「リリア!貴様、怪我はないか!」
リリアの体を抱きしめるカタリナ様の腕には、普段のクールさなど微塵もなかった。それは、愛しいものを失う恐怖に震える、一人の少女の腕だった。
真の英雄
「カタリナ様.....私は、マティアスの裏帳簿の場所を突き止めました。ここに、場所が書いてあります!」
リリアはマティアスから奪い取ったメモを、カタリナ様に握らせた。
「貴様......一人でここまで」カタリナ様は絶句した
この裏帳簿の証拠と、カタリナ様がマティアスを捕らえたという事実は、エスペランサ公爵家の無実と、マティアスの背後にいる派閥の悪事を公にする十分な力を持っていた。
すぐに駆けつけた衛兵によってマティアスは連行され、彼の背後にいる黒幕たちも次々と逮捕されていった。
悪役令嬢カタリナ・エスペランサは、「不正を暴く英雄」として公衆の面前で称賛された。
そして、その陰で、公爵家を救った「知恵の女神」として、リリア・ヴェルジェの名が語り継がれることになる。
学園の生徒や教師たちは、口々にカタリナ様の無実と美しさを讃えた。断罪ルートは、完全に回避されたのだ。




