王子たちの誤解と、カタリナへの嫉妬
今回は短かったので二つのエピソードです
ヒロインがカタリナ様と行動を共にし始めたことで、王子たちの間には新たな誤解が生まれていた。
エドワード殿下は、ロドリゴ殿下と二人きりの場で、苛立ちを隠せない。
「ロドリゴ、リリア嬢の行動はどう見る?あれは、カタリナ嬢の内偵をしているのか?」
ロドリゴ殿下は静かに笑った。
「内偵にしては、献身的すぎる。まるで、カタリナ嬢に恋をしているようではないか」
「バカな!リリア嬢は純粋な心を持っているはずだ!彼女がカタリナ令嬢を愛するはずがない!」
エドワード殿下は、ヒロインであるリリアが、自分ではなく「悪」であるカタリナ様を優先することに、初めて嫉妬に近い感情を抱き始めていた。
一方で、ロドリゴ殿下は興味津々だ。
「しかし、リリア嬢の言う通り、カタリナ嬢が『スイーツ好き』だったのは驚きだ。あれほど隙のない女が、甘い物に目を輝かせる姿.....フフ、面白い」
ロドリゴ殿下は、リリアを通じて、カタリナ様の知られざる**「裏の顔」**を知り始め、本来リリアに向かうはずだった興味が、カタリナ様へとシフトし始めていた。
推しに感謝される夜
その夜。リリアはカタリナ様の私邸を辞去する際、廊下の隅で呼び止められた。
「待て、リリア」
カタリナ様が、珍しく誰にも見咎められないよう、こっそりとリリアの前に立っていた。
「今日の仕事ぶりは....悪くはなかった」
「まぁ!カタリナ様!ありがとうございます!」リリアは感激のあまり涙目になった。推しからのこの上ない賛辞だ。
カタリナ様は小さく咳払いをした後、手に持っていた小さな包みをリリアに差し出した。
「これを受け取れ。私の雑用をこなした礼だ」
中には、リリアが今日献上した高級スイーツ店で最も人気のない、地味な焼き菓子が入っていた。
カタリナ様は顔を背けたまま、小声で付け加えた。
「....人気のあるものは、私が食べた。これは、貴様にも施しを与えてやるという、私なりの配慮だ」
(推しが.....!人気のないお菓子を私に渡してくれた......!これは、*「お前には人気のない私で十分だ』というメッセージ!?いいえ、『誰にも見せたくない私の素顔を、貴女にだけ見せる』**というサイン!?)
リリアの妄想と喜びは止まらない。
「ありがとうございます、カタリナ様!カタリナ様の施しなら、命よりも大切にします!」
カタリナ様は、リリアの熱烈な反応に、青い瞳をわずかに見開いた。そして、いつもの冷たい顔を保とうとしながらも、耳の先が少し赤くなっているのを、リリアは見逃さなかった。




