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推しからの脅しと、リリアの決意

その日の放課後。リリアはカタリナ様が一人で利用するはずの静かな図書室で、カタリナ様を待ち伏せした。

カタリナ様は、リリアを見て露骨に顔を顰めた。

「リリア・ヴェルジェ。私の名を公共の場で面白おかしく騒ぎ立てるな。貴様は私を愚弄しているのか?」

氷のような声が、リリアの心臓を貫く。美しい。高責。そして、冷たい。

「滅相もございません、カタリナ様!私はただ、貴女様の真の美しさを理解しているだけです!」

カタリナ様はテーブルを軽く叩いた。

「嘘をつけ。貴様は平民の出でありながら、侯爵家の養子となり、王子の婚約者候補にまでなった。そんな貴様が、私のような者を心から崇拝するはずがない。何か裏の目的があるのだろう?」

「目的はあります!」リリアは真剣な表情で、目を潤ませた。

「貴女様を断罪ルートから逃れさせることです!」カタリナ様は一瞬、言葉を失った。

「.....何?」

「この学園の影には、貴女様を陥れようとする邪悪な存在が潜んでいます。私はそれを全て知っています。

だから、私はこれから貴女様の影となり、貴女様の望むがままに行動します。どうか、私をお側に置いてください!」

カタリナ様は、じっとリリアを見つめた。その瞳には、混乱の奥に、ほんのわずかな好奇心が浮かんでいた。

「私の望むがまま、だと?.....ならば、明日から貴様は私の秘書として、私の全ての雑用をこなせ。気に入らなければ、すぐに侯爵家に手を回し、貴様を追放してやる」

カタリナ様は、リリアにとって最も嫌がるであろう仕事を押し付け、脅しをかけた。リリアが逃げ出すだろう、と確信していた。

しかし、リリアは目を輝かせた。

「はい!光栄です!カタリナ様の秘書!光栄すぎて光になって消えそうです!」

カタリナ様は、心底「本当に気味が悪い」という表情を浮かべたまま、静かに図書室を後にした。

(やった......!これで私は、推しの一番近くにいられる!断罪フラグを全てへし折ってやる!)

リリアは、紅茶で汚れたドレスのまま、カタリナ様が座っていた椅子にそっと触れ、至福の表情を浮かべた。

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