ヒロインを愛した悪役令嬢
数週間後。全てが収束し、カタリナ様は名実ともに「王国の至宝」として君臨していた。
リリアは、王子の婚約者候補という地位を辞退していた。そして、今も変わらず、カタリナ様の私設秘書として彼女の傍にいた。
「リリア」
執務室で、書類を前にカタリナ様がリリアを呼んだ。
「貴様は、私を助けるために、ヒロインとしての地位も、王子との恋も全て捨てた。一体、私に何を求めている?」
リリアは微笑んで答えた。
「何も求めておりません。カタリナ様が、幸せであること。それだけです」
「......そうか」
カタリナ様は、リリアの目を見つめた。その冷たかった青い瞳には、今、深い愛情と独占欲が渦巻いていた。
「だが、私は貴様を離すつもりはない。貴様は私を救った。故に、貴様の人生は、私が全て面倒を見る」
カタリナ様は立ち上がり、リリアの顔を両手で包み込んだ。そして、リリアの耳元で囁いた。
「貴様は、私を「推し』と呼ぶのだろう。だが、私にとって貴様は『愛しい人』だ。これから先、誰にも貴様の優しさを見せるな。貴様の愛は、私だけのものだ」そして、カタリナ様は優雅に微笑んだ。
「さあ、リリア。私だけの最高の秘書よ。
今日、貴様が手配した地味な焼き菓子を、二人で食べよう」
リリアは、「推しの溺愛ルート」に突入したことを確信し、満面の笑みで頷いた。
(私の推しが、世界で一番、可愛い!)
-完ー




