おかしな税金 へんな税金
(* ̄∇ ̄)ノ 奇才ノマが極論を述べる。
なにやら増税の話が盛り上がっているような2023年の年の始まり。
改めて税金ってナンダ? と調べてみた。世の中にはおかしな税制度があるもんだ。
■渋滞税
イギリスのロンドンでは車の渋滞から税金が取られる。渋滞の緩和が目的、ということで、なるほど渋滞税を取られるのがイヤ、となれば自動車を使うのやめようとなるか。
自動車を使う人が減れば大気汚染の解消にもなる、などを目的に2003年から導入されているという。
この渋滞税が導入されてから車の渋滞が30%減少するなど効果が出ている。
■ポテトチップス税
まさかポテトチップスに専用の税金があるとは。
ハンガリーで2011年から導入されているのがポテトチップス税。ポテトチップスによる国民の肥満を防止することが目的というもの。
健康に悪そうなものに専用の税金をかけるということで、タバコ税や酒税と同じ扱いになるだろうか。
調べてみるとポテトチップス税という名称だが、課税の対象となるのはスナック菓子に清涼飲料水。糖分と塩分が高い割合で入る食品にポテトチップス税がかかるという。
いやそれポテトチップスが代表で悪名を被っているのでは? お菓子税では?
悪名被ったポテトチップスが追放されてざまあするのか?
■月餅税
食べ物にかかる税では中国の月餅税。月餅は中国で食べられているお菓子のこと。
中秋の名月の時期に、お世話になった人に月餅を贈る習慣が中国にあるという。
こちらはこの月餅の贈り物を受け取った人が払う税金になる。
バレンタインでチョコレートを受け取った人が税金を払わねばならない、という感じになるだろうか? 応用すると新しいコメディが誕生しそうだ。リア充許さん課税しろ、とか。
■ソーダ税
アメリカの各州で肥満対策に導入されたのがソーダ税。ソーダなどの清涼飲料水に税金がかかる。
ソーダ税は、2016年WHO(世界保健機構)が生活習慣病や子供の肥満を防ぐために、糖分を多く含む飲料水に課税するように各国に呼びかけたことから誕生した。
ソーダ税を導入した結果に子供の肥満防止に効果があるとなれば、導入する国が増えるのではなかろうか。
■肉税
肉税はヨーロッパを中心に導入が検討されている肉類への特別な税金のこと。検討段階であり今のところまだ導入はされてない。
肉の食べ過ぎによる肥満防止、また牛肉や豚肉の大量摂取による発ガン性リスクの低減を目的としている。
肉に含まれる発ガン性物質とガン化の仕組みは今のところ研究中で詳しいところはまだ不明。日本の研究では牛肉と豚肉をよく食べる人が大腸ガン、結腸ガンのリスクが高まることは分かってきている。
ガン発生の仕組みが詳しく判明すれば、もしかすると肉は酒やタバコのように課税対象となるかもしれない。
■脂肪税
脂肪税は、デンマークで約1年だけ導入され即廃止された税金。
一定割合以上の飽和脂肪酸を含む食品、チーズや牛乳を対象に課税し、健康に悪影響を及ぼす食品の消費を減らすことが目的だった。
しかし、脂肪税を導入したことで同じものを安く買うなら国内よりも国外で買おう、となり自国の製品が売れなくなってしまうことに。
他国で爆買いというのは、こういった税金による物価の違いから出てきたりする。
商取引から免税すれば商業が活発になるのは、安土桃山時代の楽市楽座が参考になる。
あれ? 爆買いって、時代が進んで退化した?
■ミネラルウォーター税
山梨県で導入を検討されているのがミネラルウォーター税。ミネラルウォーターの生産数量が全国1位の山梨県ならではのオリジナル。
山梨県では林業の不振に林業労働者の高齢化から、森林の管理に手が回らず荒廃が進んでいる。
森林を保護しなければ良質な地下水が得られない。財源と人材をどうにかして確保して、森林を保たねば山梨県のミネラルウォーター業界が終焉する。
これから先もミネラルウォーターで商売したいとなれば、なんとかして森林を保護し地下水の水質を保たないといけない。
さて未来の地下水は売り物になるだろうか?
■テレビ税
テレビ税はフランスで、テレビを所有している人が支払うもの。テレビ税というのは通称であり正式には公共放送の負担金、いわゆる受信料になる。
この公共放送の負担金が住居税の中に組み込まれているのがフランス。
日本で例えるとNHKの受信料が住民税の中に入っているような感じだろうか。
またフランスでは公共放送のテレビ税負担を減らす為に、公共放送でもコマーシャルがあるなどの工夫があるところがおもしろい。
フランスでは2023年から住居税が撤廃されるため、それに伴いテレビ税の廃止も決定された。
受信料で公共放送を運営する国はデジタル技術の進歩と共に、受信料の在り方を問われることになる。日本のNHKはどうなるだろうか?
■デジタルサービス税
デジタルサービス税は2020年、イギリスで導入された新しい税金。
デジタルサービスで収益を得た企業に対して課す税金になる。
現行の国際ルールでは国内に物理的な拠点がない外国企業には原則課税ができない。
経済のデジタル化から拠点を置かずに事業を展開する企業に対し、なんとか税金を取ろうと考え出されたのがデジタルサービス税になる。
キャッシュレス、仮想通貨などなど経済が新たな時代となれば、それに合わせた新たな税制度を作り出さないといけないようだ。
そのうちソシャゲのガチャ税など誕生するかもしれない。
■窓税
イギリスで1696年から導入されたのが窓税。富裕層の家は大きく窓が多い。なので窓がいっぱいある家は裕福だから税金とってよし。ということで窓が多い家に住む人は窓税を多く払うことになった。
窓が多くなるほどに税金が増える。
節税するためには窓を塞ごう。税金を払いたく無い人の為の家は窓を少なくしよう。
これが今もイギリスに残る古い家には、窓が少ない理由になる。
窓税の導入から換気が悪くなり、病人が増加。窓の少ない建物が増え街の景観は悪くなっていった。実にろくでもない税制度に思える。
1851年に窓税は廃止。
■暖炉税
窓税の前にあったものでは暖炉税。暖炉のある家に住む人は税金を払わねばならない。
節税の為に暖炉を無くせば、寒さで凍え死にするかも? 暖房器具に税金をかけるとなれば、現代であればストーブ税やコタツ税、ファンヒーター税になるだろうか。
凍死者の増加を回避するために貧しい家庭からは暖炉税が免税されることに。その際には貧困証明書が必要になる。
貧困証明書は当時の教会に発行してもらうのだが、脱税の為に偽装貧困証明書が作られるなどの問題も現れる。
1662年に導入されたが国民の不満の声を受けて1689年に廃止になる。
■結婚税
結婚税とは領外婚姻税のこと。中世ヨーロッパにおける婚姻に課せられた税金。
農奴が農奴以外の者と結婚するとき、または領主の領地以外に住む者と結婚するときに払わねばならない税金になる。
奴隷制廃止運動と共に領外婚姻税は無くなった。
ちなみに、小説家になろうにおいて『結婚税』で検索してみると、結婚税をネタにした小説は2つだけ(2023年2月)
中世ヨーロッパ風の世界観であれば結婚税をネタにしてみてはいかが?
■独身税
結婚税があるなら反対の独身に税金がかかるなどあるだろうか?
あった。独身税とはブルガリアでかつてあった税金。
少子化対策のため、国民が結婚して出生率を増やすために導入された税金になる。結婚適齢期になっても独身であれば、収入から一定の税金を取られることになる。
1968年から導入され1989年に廃止。
独身税については日本でも話題になる。2017年石川県かほく市にて、国の財務省担当者と市民ボランティア組織の意見交換会において。子育てする人たちへの支援として、
『独身者にもちょっと負担をお願いできないか?』
という発言が出る。財務省の主計官は、
『確かに独身税の議論はあるが、進んでいない』
と、述べる。
これが報道され、石川県かほく市は独身税を検討しているのか? と話題になった。
もしかしたら日本で独身税が復活するかもしれない。
■光るおもちゃ税
アメリカのウェストバージニア州では、光るおもちゃに税金がかかる。
激しく発光する、火花が出る銃のおもちゃや花火が課税対象。
子供の身近に銃が無い環境をつくることが目的であり、光るおもちゃ税の導入から犯罪率は下がったという。
光るおもちゃを子供から遠ざけると治安が良くなるらしい?
■げっぷ税
げっぷにまで税金をかけよう、という話が出たのはニュージーランド。
羊の畜産の盛んなニュージーランドは人より羊の方が7倍ほど数が多い。この羊のげっぷやおなら、体内から出るガスに課税するという法案が出された。
家畜の体内から出るメタンガスが温室効果に大きな影響を与える。ニュージーランド政府は家畜からのメタンガス削減研究費用のために羊のげっぷ税を考案した。
この羊のげっぷ税は国内世論の反対から不成立となる。
ニュージーランドだけでは無く、世界規模で家畜の増えすぎから土壌劣化、森林減少が進んでいるので、げっぷとおならの問題では無いと思うのだが。
■犬税
犬を飼うと払わねばならないのが犬税。ドイツ、オーストリア、オランダなどなど犬税を導入する国はいくつかある。
犬税によって徴収された税金は、道路に放置されるペットの犬の糞害の清掃費用に使われる。
日本でも犬税は明治から昭和50年代まで自治体の地方税としてあった。明治時代には東京府にウサギ税もある。犬やウサギを飼えばペット税を払う時代が日本にもあった。
ペットの飼い主がペットの糞の始末をしなければ、行政が公共道路の清掃をするためにペット税を導入しようとなる。
大阪府泉佐野市では、2014年まで犬税の導入が検討されていたので、ペットの飼い主のマナーが悪化すると自治体はペット税の導入を考えることになるようだ。
犬を飼えばワンワン税、猫を飼えばニャンニャン税、だろうか。
「うちなんてタヌキ飼ってるからポンポコ税まで取られる!」
(センゴクプー 劇団 TEAM 発砲・B・JIN)
■ワンルームマンション税
東京都豊島区で導入されているのがワンルームマンション税。
豊島区は単身世帯の割合が多く、住宅におけるワンルームマンションの割合が東京23区の中で最も多い。
なのでファミリー世帯向けの良質な住宅を増やす為にワンルームマンション税が導入されたという。これは建築業者に課税される。
2004年から導入され、正式名称は『狭小住戸集合住宅税』
建築業者からは、
「こんなの税金じゃなくて実質罰金だろ!」
という声も。罰金をかければワンルームマンションを抑制し、ファミリー向けの住宅が増え少子化対策に、なるのか?
■入湯税
入湯税は日本独自の税制度。ジャパンオリジナルの税金。
温泉や銭湯を使うときに払う税金になる。
この入湯税は、市町村の温泉施設などの整備、観光促進といった温泉に関わるものに使われる。
海外からの観光客に、日本は温泉に入るには税金を払わないといけない、と教えると驚かれるようだ。
■俳優税
日本で俳優として営業するために払わねばならないのが俳優税。
地方で俳優として営業するためにはその地方に俳優税を払わないと営業できない。
俳優税を納めることで営業許可証の鑑札が発行される。
江戸時代、役者は被差別階級の仕事であり、人間扱いされない代わりに納税の義務は無かった。
明治の近代化から役者も人として平等に扱うことになり、納税の義務も負うことになる。俳優税とはこれまで国民扱いしなかった人を国民とするために導入されたという。
劇場に関する地方税には、興行主が納める興行税、観客が納める観覧税などなど。
観覧税はのちに名称が入場税と変わり地方税から国税になる。1989年の消費税導入と共に廃止に。
■ポルノ税
イタリアにあるユニークな税金がポルノ税。
ポルノ雑誌やビデオ、映画に対して課せられる税金になる。2008年に導入されたときは世界でも話題に。
その税額が25%。
イタリアのポルノ業界の売り上げが約10億ユーロとされ、かなりの税収になる。
ポルノ税は当時のイタリアの財政赤字の対策のひとつになった。
日本でもイタリアの真似をしてポルノ税が導入されたらどうなるのだろうか?
以前にエロイ広告は見たくない、といったエッセイを見たことがある。エロイ広告ひとつにつき25%の課税をするとなれば抑制効果はあるだろうか?
となれば、AV新法は税収源をひとつ潰したことになるのかもしれない。
■営業税
ドイツでは日曜日に店舗を営業すれば営業税を払わねばならない。
長時間労働や休日出勤から労働者を守るために、国が企業を厳しく取り締まっている。
ドイツの閉店法では、飲食店以外の店舗は日曜日に営業をしてはならないと定められている。
ドイツでは監督官庁による労働時間の監視が厳しいという。企業が社員を組織的に長時間労働させていることが発覚した場合、企業に対して最高1万5000ユーロ、日本円で約200万円の罰金がある。
日本でもブラック企業を減らし労働環境を改善し働き方改革をしたいならば、残業税や休日出勤税、罰金刑など検討してみてはどうだろうか?
■学位税
学位税はオーストラリア。大学を卒業するときに授与される学位に税金が課せられる。
大学を卒業したら税金とられるってどういうことだ? と、調べてみた。
オーストラリアの大学はほとんどが国立であり、授業料は国の負担。貧富の差があっても平等に教育を受けられる機会がある。
大卒はエリートであり収入の良い仕事に就くことが多い。
大学卒業後に規定以上の収入が無ければ学位税は免税される。
なので大学を卒業して収入の良い仕事に就けたなら、学位税、卒業税として学費を納めてね、ということになる。
大学卒業者の就職率と初任給が高ければ、なかなか良い仕組みではないだろうか。
補足として、授業料が安いのは市民権を持っている現地学生になる。海外からの留学生は現地学生の4倍から5倍の費用がかかる。
■消費税
日本で消費税が導入されたのは1989年。3%からスタートした。
1997年、5%に。
2014年、8%に。
2019年には10%になり、消費税は順調に成長しているようだ。このまま増えていくとすると、2034年には15%。2049年には20%に増加するのだろうか。
一方で1997年の日本の平均年収は約467万円。
2019年の平均年収は約436万円と減少。
う、うん、キッツイと感じるのも当然か。
■税金の使われ方
世の中には様々な税金があるものだ。世論に合わずに消えたもの、本来の目的どおりに行かずに廃止されたもの、為政者が国民の人気を得る為に無くしたものなどなど。
イタリアのように財政危機から新たにできたポルノ税。温暖化防止のためにできた炭素税。世界遺産を守るための富士山の入山税。自治体の有料指定ゴミ袋もゴミ袋税と呼べるものだろう。
ここでひとつのインタビューを引用しよう。日本のとあるユーチューバーに海外のジャーナリストがインタビューしたものの翻訳になる。
『一般の日本人は公金の無駄遣いにあまり関心がないように思います。例えば、オリンピックの時も多くの無駄遣いがありましたが、このようなことが話題になることはありませんでした』
日本人は公金の無駄遣いを気にしない民族性だと思われているらしい。日本では皆が納めた税金の使い方は気にしないのが常識、ということだろうか。
■納税の義務
国民であれば国に税を納めるのが国民の義務、となる。だが民主主義国家では納税の義務とは、納めて終わりでは無い。
これは私が民主主義という思想が好きでは無いので批判的な言い方になってしまうのだが。
税金を納めた後、その税金がどのように使われるか監視する。
政府がその税金をもとに、一部の特権階級を利することに使う。国民を奴隷か家畜のような状態に置く。
このような悪政暴政に税金が使われるようならば、国民は武力でもって政府を打倒し新たな政府を作らなければならない。
ここまでやって民主主義国家の国民の納税の義務になる。
民主主義とは国民に主権があるという思想となる。なので政府による公金の使い方については、国民が監視し訂正する義務と権利があることになる。
■八次下請け
2011年に起きた福島第一原子力発電所事故。地震と津波から原子力発電所が爆発した、チェルノブイリ以来の原発爆発事故。
復興の為に公金が投入されることになる。
問題になるのは多重下請け構造だ。七次下請け、八次下請けと間にいくつもの下請けが入った。
結果として現場で働く末端の作業員の日給は1万円以下になった。
放射能汚染という危険のある現場で、それでも復興作業の為に人手を集めなければならない。それならせめて給料を良くしよう、と公金が投入されたはず。
2037年まで復興税はあり、復興税で集めた税金は復興の為に使われる予定のはず。
しかし公金の出るところにはその金目当てに中抜き業者や仕事の転売ヤーが群がり、その末端の現場で苦労する作業員にまで満足に届かないことになってしまった。
結果として復興作業現場では、安い給料で危険なことをしたがる物好きか、愛国心と自己犠牲心溢れる人が来てくれることを祈ることになる。
公金のピンハネが抑えられるなら危険手当てを増やすことで現場作業員の収入を増やし、人手不足は解消し、復興作業は早く進んだことだろう。
また、復興予算からは復興以外のものに予算が使われている。
第180回国会提出資料における『東日本大震災復興特別会計歳入歳出予定額各目明細書』より。
沖縄教育振興事業費 31億円
北海道開発事業費 118億円
小笠原諸島の振興開発に必要な経費 6億円
その他には、
南極でのシーシェパード対策費
クールジャパンの推進
検察運営費
東京スカイツリー開業プレイイベント
航空機購入費
米国での戦闘機訓練費
原子力推進事業
防衛省の武器購入費用
などなど。
目的以外のものに予算が流用され付け替えられる。その結果に目的達成のためには予算が足りないとなる。目的以外のものに予算を使い続ければ当然のことだろう。
今では復興予算が足りないので復興税の期間を延長する、ということが検討される。
予算の付け替えを黙認すれば、被災地に必要なものが届かない。どれだけ増税しても、災害で困窮する人に支援の手が届かないままになってしまう。
こういったことも公金の使われ方を監視する分野が弱いことが原因になる。
■選挙で変わるのか?
こういう話というのは、それなら選挙に行こう、という締めになることが多いのだろう。
選挙で信頼できる政治家を国会に送ろう。そして公金の無駄遣いを減らす制度や法律を作ってもらおう、と。
しかし私は選挙では増税は止まらないと考える。
日本の政府はずっと金が無い金が無いと言っている。もはや日本の政治システムは増税ありきで成り立っている。公金の無駄遣いの分も増税で賄おうとしているのではないだろうか。
選挙で政治システムに組み込まれる人をどれだけ入れ替えたところで、もはやシステム自体を中からは変えようが無いように思える。
解散総選挙をしたところで、増税の一時延期がやっとというところだろう。
■政府が武力革命を止めるには?
政府としては国民に気軽に武力による政府打倒を起こしてもらいたくは無い。
そのために政府は国民の理解を得るべく情報を公開し、また国民には政府が何をしているのか調べる権利がある。
法律第四十二号
◎行政機関の保有する情報の公開に関する法律
『第一条
この法律は、国民主権の理念にのっとり、行政文書の開示を請求する権利につき定めること等により、行政機関の保有する情報の一層の公開を図り、もって政府の有するその諸活動を国民に説明する責務が全うされるようにするとともに、国民の的確な理解と批判の下にある公正で民主的な行政の推進に資することを目的とする』
国民は行政に対し行政文書の開示を求める権利、行政の監査を求める権利がある。例として住民監査請求がある。
■住民監査請求とは
『住民監査請求は、知事等執行機関や職員による違法もしくは不当な公金の支出、財産の取得、管理等が認められるとして、住民から監査の請求がなされた場合、当該事項について行う監査です』
(地方自治法第242条)
東京都監査事務局のサイトより引用。その地域に住む住民ならば誰もができるのがこの住民監査請求になる。住民ならば誰もが持つ権利。
ところがこの権利、行ったことのある人はどれだけいるのだろうか? ちょっとやってみようかな、と考えても身近にやってみた経験者が見つからない。誰に相談すればいいかもわからない。
そんな権利がある、ということも知らないという人が多い。
誰もが持つ権利でありながら、使ったことのある人も少なく、使い方も知らない人が多い、というのが現状。
これは極論になるが、国民がひとりにつき1回は住民監査請求を行えば、税金の本来の目的以外に使われる分を洗い出せる。
公金のおかしな使い方を監視して許さない、と主権者たる国民が義務と権利として行う。
そうなれば無駄遣いしていた分が洗い出され、増税しなくとも防衛費は足りるかもしれない。スウェーデンやノルウェーのように学校教育の無償化も可能かもしれない。
■民主主義という思想
ただ民主主義という思想は理想が高過ぎるように思える。実現するには主権者たる国民が変化し続ける最新の政治と経済について、常に勉強し続けることが要求される。
なので民主主義に対し信仰のような情熱を持つ北欧では、生涯学習に力を入れる政策になる。
これが生活の為に年間で2000時間働く日本では成人の学習率は低い。
経済協力開発機構(OECD)が2012年に実施した『国際成人力調査(PIAAC 2012)』では、日本の生涯学習率は下位。日本では学習とは未成年のすること、となっている。
なかなか自分達の持つ権利とその使い方を学ぶというのが難しいのではないだろうか。
■ユーチューバー、調べてみた
ここでユーチューバーが今、おもしろい。
YouTubeに歌ってみた、や、踊ってみた、といった動画を投稿するユーチューバー。
私が最近見ているものは『調べてみた』ものを投稿する監査系ユーチューバーだ。
公金の不正な利用を行うところを調べ、分かりやすく説明して教えてくれる監査系ユーチューバー。
そこから更に住民訴訟を行うとなれば、訴訟系ユーチューバーとなるかもしれない。
その活動で信頼を得た監査系ユーチューバーは、投げ銭や寄付で活動資金や訴訟費用を得る。
これは新聞やテレビといったオールドメディアではできなかった、新しい個人ジャーナリズムだ。自ら行政や疑わしい団体に監査を請求し、訴訟も行う攻性のジャーナリスト。
監査系ユーチューバーの活躍が人気となれば、マスコミュニケーション(大衆伝達)の形態が変化していくのだろう。
歌い手、踊り手、その次に来たのは、調べ手、訴え手、かもしれない。
■終わりに
義務とか権利とか制度とか、ややこしい話になってしまったが、乱暴にまとめてしまえば税金の使われ方の問題とは、親子の問題と例えることができる。
母親が娘にお使いを頼むわけだ。
「ちょっとお使いに行ってきて。大根1本買ってきてちょうだい。はい千円」
「ママ、千円じゃ大根は買えないわ」
「どこのデパートのどんな大根を買ってくるつもり? 千円あれば足りるでしょ」
「ぜんぜん足りないわ、ママ。人件費に交通費、接待費、その他もろもろ経費を合わせて1万円は必要よ」
「わけの分からないこと言ってないで、大根買ってきてちょうだい。ちゃんとお釣りとレシートを持って来るのよ」
「買い物のレシートなんて見せられないわ、ママ。プライバシーの侵害よ。個人情報保護法に抵触するわ」
「小難しいこと言い出したわね。反抗期かしら?」
母親が税金を納める国民で、政府がお使いを頼まれる娘。
これで母親が、娘の屁理屈に付き合うのが面倒だからと、ハイ1万円と渡していたらどうなるか?
その子は、理屈さえこじつけておけばいくらでもお金がもらえる、という小賢しいワガママな育ち方をするだろう。
ちゃんとした大人が、ちゃんと子供を叱ることができなければどうなるか?
やがて皆が増税に苦しむことになる。
2022年度の税収は68兆円を超え過去最大になる見込み。国の税収は増え続けている。
一方で2021年10月の日本の総人口は約1億2550万人。2020年10月から2021年9月までの1年間で約64万人の人口減少となっている。
人の数は少なくなりながらも税金が増えていくのは、根本のところで大きな計算間違いをしているように思えるのだが。
BGM
『枳』
天野月子