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訳がわからない。俺は死んだはずだ。電車に轢かれて。
周りをよく観察する。よく見ると役所に似ているとな、と思う。
一番に目に入ったのが、天下上から吊るされているプレートだ。
プレートには太字で受付とだけ書かれている。
意味がわからない。
むだに清潔に保たれた空間の中には綺麗に列をなす椅子に座っている人達、それに向かい合うようにカウンターが設置されている。カウンターには数字が振られており、そこにも人がいるみたいだ。
それが果てしなく続いている。カウンターと椅子と人だけの空間には少しばかりの音しか聞こえない。
スピーカーなど見当たらないのにどこからともなく、声がきこえてきた。
『安西佳奈様、15番のカウンターまでお越しください』
ノイズのかかった女の声、いろんなところで聞いたことのあるようなアナウンスが静かな室内の中に響く。
それと同時に、椅子から男が立ち上がりカウンターの方に向かう。
取り敢えず、俺もあいている席に腰を下ろす。
やはり状況がよく分からない。
仕方ないから隣に座っている女性に話しかようと思うが少し緊張してしまう。
知らない人に話しかけるのは苦手なんだ。
「あの、ここはどこですか?」
「さあ、私にもよくわかりません。」
「ここはいったい何なんですか?俺はさっき死んだはずなのに」
「あなたも死んだんですか」
「え、あなたもってことはお姉さんも死んだんですか?」
「そうですね」
ここはどうやら死んだ人が集まっているようだ。
推測でしかないが。
「どうして死んでしまったんですか?」
これは単純な疑問
「……………車に跳ねられたんです」
不躾な質問だったが、少し間を開けて女性が答えてくれた。
「あなたは?」
「俺は電車に轢かれたんです」
女性は髪を後ろに束ねており、スーツを着ている。
目が悪いのか眼鏡をかけていた。
だがおかしい。
車に跳ねられたのに女性には、血が一滴もついていない。
そう付いていないのだ。
車に跳ねられたなら血が付くはずなのに。
「車に跳ねられたのにどうして血がついていないんですか?」
「あなただってついていないじゃ無いですか」
俺は咄嗟に視線を落とし、服に目線を向ける。
本当だ。
ない。
死ぬ時あんなに痛かったのだから、当然血が出ていて当たり前なのに。
血どころか怪我すらしていない。
まるで事故に遭う前のようだ。
不気味でならない。
いったい俺はどこにいて、何故生きているのか。
考えれば考えるほど頭が混乱する。
隣の女性にもう一度声をかけようと口を開きかけた時、あのアナウンスが聴こえた
「長居恵様、4番のカウンターまでお越し下さい」
そのアナウンスと同時に隣の女性は立ち上がり、カウンターの方に向かっていった。
彼女は俺に一瞥もくれず行ってしまった。
それからしばらく経った頃、またあのアナウンスが聴こえてきた。
「吉田翔様、6番のカウンターまでお越しください。」
俺は椅子から立ち上がり、先程の女性がしたようにカウンターに向かった。
6と書いてあるカウンターに行くと一人の男が向かい側に座っていた。
俺がその男に抱いた印象はただ一つ
…ほ…仏??




