1
いつものように満員電車に乗り、いつものように会社に行き、いつものように深夜に帰宅して倒れるように眠る。
それが俺の日常だった。
現状に不満を抱きながらも、この日常が明日も明後日もこれからも続くと思っていた。
でも今日、誰かに押されて、俺は駅のホームから落ちた、最後の記憶は、俺のために泣いてくれるような家族じゃなくて、悲鳴と人々の迷惑そうな顔だった。
頭の中に刻み込むように走馬灯なんていうものが流れ込んでくる。
将来は楽しいことしかないだなんて確信もなく思っていた学生時代。自分は何でもできるそんな全能感すらあった。本当はそんなこと全然なかったけど。
パッとしない高校に入って、第一志望の大学には落ちた。結局、滑り止めの大学に入った。
それでも、何とかなると思って現場から目を背けた。
自分の問題を先生や家族から指摘された事だってあった。そんなこと自分が一番よく分かってる。
でも何も変わらず、いや変えようとしなかった。
だからだろうか、就職活動だって上手くいかなかった。
やっと内定をもらって入ったのは、残業代も出ないし
深夜まで働かされても低賃金のブラックな会社だった。
上司のパワハラのせいか鬱にだってなりかけた。
毎日、こんな会社いつか辞めてやるなんて思いながら、実際に辞める勇気なんてなかった。
いつか行った高校の同窓会ではみんな充実した毎日を送っているようだった。
かつて一緒に馬鹿したことをやっていた友人たちは仕事にやりがいがあるだなんて、先輩が尊敬できるだと、上司は良い人だと、言っていた。
俺にはそんなもの感じたことすらない。
俺の先輩は仕事を押し付けてくる。自分が押し付けた仕事を俺がミスすると、
『どうしてミスなんかしたんだ、お前がミスしたせいで俺が部長から叱られたじゃないか。』
そう理不尽に俺を責め立てた。クソみたいな先輩だ。
上司に一度先輩について相談したことがあった。
でも上司は
『だからなんだ。別に問題になっていないんだ。もしそれが上層部の耳に入ったり、マスコミに騒ぎ立てられたら処罰が下るのは俺なんだ。だから騒ぎ立てるんじゃない。分かったか?』
俺はその時何も言い返せなかった。
俺は間違ってなんかいない。
その上司と先輩が横領しているのを知っていたのに証拠がないからと黙り込んだ。そう思い込んだ。
本当なら証拠がなくても上層部に告発するべきだった。でも勇気が出なかった。怖くて仕方なかったから、目を背けた。こんなんだから先輩や上司を尊敬するなんてできるわけがない。
同級生たちが毎日輝かしい日々を送っていることを聞いて、俺はむしょうに惨めになって、劣等感を感じ
た。それでも何ともないように胸に残ってる不快感を感じさせないように笑顔を貼り付けて、今の会社は楽しい、俺はお前たちみたいに楽しくやってる。そういうふうに自分の話をした。そうでもしなきゃ俺のプライドはボロボロになったはずだから、だから楽しいと嘘をついて見栄を張った。ものすごくしょうもない見栄だった。
突然、現実に戻されるように、今までに感じたことのない痛みを感じる。全身が焼けるように痛い
痛い痛い痛い痛い痛い痛い痛い痛い痛い痛い痛い痛い痛い痛い痛い痛い死にたくない死にたくない死にたくない、まだ親孝行もしてないんだ、迷惑かけたのに、嫌だ嫌だ、嘘だこんな、これはただの夢だ、痛い痛い痛い痛い痛い痛い痛い痛い痛い痛い痛い痛い、
父さん、母さんごめ…最……で迷…く……て
みれ……かない…んせ……った
こ……お……さい…か
そこで俺の記憶は途切れたはず だ
なのにここはどこなのだろうか?
全体的に白くて、綺麗に並べられた椅子には人が座り
静かに何かを待っている
ここは所謂〝天国〟というものなのだろうか?
想像していた天国のイメージとまるで違う。
全く意味がわからない




