4.家具
奏と話し合ってとりあえず欲しい物はカーペットかなという事になった。
ほんとはソファ欲しいけどそんなにお金無い…。それに新学期は何かとお金が要るだろうしおいそれと使えないのだ。
「そのうち服入れる物が欲しいかも、流石に備え付けのクローゼットだけじゃ2人分入らない…。」
奏がそう言っているのを聞きながらそういや奏はファッションとかに敏感で服もいっぱい持っていたなぁと思い出す。お洒落さんには全然スペースが足りないのだろう。
「綾愛、歯ブラシとかタオルとか持って来たよね?シャンプーとかは?」
「…あ。」
私は1人暮らしをした事もないので荷物の準備は旅行に行くときの事を思い出しながらした。確かタオルも持ってきてなければシャンプーなんてもちろん持ってきていない。
「まぁ、シャンプーは私もこっちで買える事期待してたから買おうか。綾愛さんはただ忘れてただけみたいですけど?」
うっ、言い返せない。奏は流石しっかりしてるなぁ。私、奏と同じ部屋で本当に良かった…。私1人だったらいざ使うってなってから無くて焦ってた。
「うーん、多分そのうちタオルも足りなくなるだろうしあって困る事は無いからタオルも買っておこう!!綾愛はタオルどのくらい持ってきた?」
「えっと…。ハンカチ5枚くらい…?」
「それタオルじゃなくてハンカチだから!!あぁもう!!ほんとに私がいて良かったね!?」
なんだか奏が思ってたタオルと私が思ってたタオルは違うらしい。
じゃあなんだろうタオルってって思いながらスタスタ歩く奏に着いて行ったらバスタオルの前で止まった。
あ…。
「完っ全に忘れてたでしょ!?」
はい、忘れてましたご迷惑をおかけします…。こういうのは本当に苦手なのだ。勘弁して欲しい…。
「もう良い、日用品とりあえず買っていくよ!!!!カーペットなんてあとあと!!」
そう言いながら奏は石鹸にシャンプーにタオルにまな板に包丁に…とどんどん籠に入れていく。
「とりあえず安物にするよ?いくら割り勘するって言っても数が多いから値段馬鹿にならない…。」
確かにこんなに買わなきゃいけないとは思ってなかった。必要な物を買わなきゃいけないのは分かっていたけれど、思ってた5倍くらいの量がある。始め配られたお金の額を見た時は有り余るくらいあるじゃんとか思ってたけど意外とそんな事ないかもしれないと今更ながらに気づいた。
きちんと管理しないと秒で無くなるぞこれ…。
「しばらくカーペットは買えないね。」
「えー!!!!!!」
「当たり前でしょ!?どこにそんな金があるのよ!?」
奏に怒鳴られたがこんな日常が続くならこの学校もそんなに悪くないかもしれないと思い始めていた。
就職とかの不安は確かにあるが仮にも母親である人がそのあたりを全く考えずに一方的に学校を決めたとは思えない。というか思いたくない…。
娘を心配するくらいの良心はあると信じてるからねお母さん。