2.寮の施設
寮は5つに分かれているとの事だった。
女子寮男子寮で分かれている訳ではなく、1つの寮の中で階によって分かれているらしい。
私と親友が案内された寮は外見がクリーム色のシンプルな寮だった。
男子も同じ建物ということで可愛すぎる外見の建物は無いらしい。どこも色が違うだけで似たような建物らしい。
一応寮事に名前がついており、私と親友の寮はマリーゴールドというらしい。花の名前が付けられているなんてお洒落だなぁ。
「やほ~!!新入生かな?私生徒会の者だよ~!!」
声のした方をみると制服を着崩しており茶色のカーディガンの左胸の辺りにクマの模様があるいかにも学校に馴染んでますといった格好をした子がいた。
それにしてもめちゃくちゃ美人…。雰囲気はふわふわしてて可愛い感じの印象だ。生徒会のメンバーだというからおそらく年上なのだろう。可愛いと思うのは少し失礼かな…。
そんなことを考えていたら隣にいる親友が
「はい、そうなんです。これからよろしくお願いします。」
と返事をしていた。やべ、惚けてたかな。私も慌てて親友に倣いお辞儀をする。
「そんなかしこまらないで!!同い年だからさ、気軽に話してくれると!!」
え、同い年なの?
「新入生なのに生徒会のメンバーなんですか?」
気づいたら思わず口から出てしまっていた。失礼だったかなって思って親友の方をチラ見すると親友も気になっていたらしくうなづいていた。その姿が可愛くて思わずクスッと笑ってしまう。
「あ~、私は中学からの持ち上がりなの!!生徒会長以外は生徒会長の指名制だからさ、1年生でも生徒会のメンバーになれるんだよね。ちょっとずるみたいだよね。」
そうその人は笑いながら教えてくれた。なるほど、中学の時の繋がりって事か。
生徒会って言うと話しにくい固い人達ってイメージがあるけどこの人は話しやすそうだな。
寮の所にいた理由は生徒会は生徒のサポートもしているらしく、それぞれの寮の寮長にもなるんだとか。それだと仕事が大変すぎないか聞いたら寮長に関しては指名して変える事も出来るらしい。仮の寮長みたいな立ち位置なんだとか。なんだか大変だなぁ。
「じゃあマリーゴールドの寮長なの?」
「そゆこと!!まだ誰を寮長に指名したらいいかも考え中だからね、私が今のところは寮長だよ!!あ、自己紹介してなかったね、私月草 セレナっていうの。気軽にセレナって呼んで!」
「あ、菊池綾愛です。で、こっちが親友のー」
「松虫 奏です。」
「綾愛ちゃんに奏ちゃんだね!!これから1年間同じ寮生としてよろしくね!!」
それからセレナちゃんが寮の中の施設の紹介と部屋を案内してくれる事になった。
これも寮長の仕事の1つだからって笑いながら言ってるけど同じ新入生なのに他の新入生の世話をしなきゃいけないなんて大変だなほんと。
基本的に学生全員に仮想の通貨みたいな物が配られるらしい。と言っても学校から配布されたスマホの中にアプリをインストールすると勝手に今月使える残りの金額が表示されるとの事だ。学費として事前に払ってる中から毎月分配されて配られるとの事だった。なんだかお小遣い制度みたい。
食事や電気代等はそこから払う必要がなく、自由に使って良いとの事だから本当に学生のお小遣い制度みたいだなぁ。
「食費払わなくても良いのは有難いかも、」
ぼそっと奏が言ったのを聞いて思わず笑ってしまった。奏はご飯は安い物で済ませてしまう癖がある。なるべく趣味にお金を回したいからって理由でやってるらしいがたまにおにぎり1個で終わりとかの時は少し心配していたのだ。
「あ、食堂で出る以外の物が食べたくなったらコンビニとかもあるから買うって形にはなっちゃうけど自由に使って貰っていいからね!あくまで無料で食べれる施設があるよーってだけだから!!」
なるほど、けどせっかく無料の施設があるのに食事にあまりお金は使いたくないなぁ。
セレナちゃんが言うにはスーパーもあるみたいでそこで食材を買って共同のキッチンで料理をする人もいるんだとか。特にバレンタインとかは手作りお菓子を作りたい人でキッチンが激混みするらしい。
気持ちは分かるかも…。
なんでここまで施設が充実しているんだろうと思ったら在学期間中に校外に出る事は一切禁止されているらしい。というか物理的に出れないとの事だった。来るときは入れたのになんで…?
「商業施設みたいなところが学校の敷地内にあるからそこは時間がある時に行ってみたら良いと思う!!寮からも近いよ!!次は2人の部屋に案内するね!!」