097_エレメンタルピンク
前回変身した百香の戦闘回です。
今回、残酷な描写が多分に含まれております。
苦手な方はご注意ください。
一応、あとがきに今回の顛末を書いておきますので、どうしてもダメな方はそこまで飛ばしてください。
097_エレメンタルピンク
「???あれは一体なんじゃ?姿が変わった?言葉がさっぱりわからん?」
ツァオガウが驚愕の表情を浮かべながら百香の様子を伺う。
(あれは魔人化か?モニカは人間だったはず。それに魔王様の力ではない。わからない事だらけじゃ。)
『ミストルティン』
思考の坩堝に囚われているツァオガウに対して百香は容赦なく攻撃を行う。
不死の神を殺したとされるヤドリギの槍がツァオガウに飛来する。
「むぅ!『アブソリュートシェル』」
バキバキーーーーーーーーーー!!
先ほど亜美の風の矢を防いだツァオガウ最強の防御魔法が紙の様にあっさりと貫かれ、ヤドリギの槍がツァオガウの腹部に突き刺さる。
『オークパイル』×8
「グヌゥ!!!」
百香は樫の木の杭を8本精製、それをツァオガウの両手、両肩、両膝、両足の甲に突き刺す。
地面に磔にされたツァオガウは思わず呻き声をあげる。
そこにゆっくりと百香が近づいてくる。
『貴様の相手は後よ。しばらく寝ててもらえるかしら?』
「ふん、何を訳のわからない事を言っておる。こんな杭すぐにでも!」
『エンジェルスカーテン』
ラッパの形をした、白、黄色、ピンク等の色とりどりの美しい花々がカーテンの様にツァオガウの頭上に咲き誇る。
エンジェルストランペット、別名は木立朝鮮朝顔。睡眠、幻覚作用の成分を持った花である。
その毒性を百香の霊力で濃縮し、対象の体内に侵入させる事で自由を奪う術。
怪人であるツァオガウには毒への耐性もあるが、百香の霊力の方が上である為、効果に逆らえず意識を手放す。
「うっ・・・・・」
『ソーンバインド』
その上で茨による拘束術を使用し、完全にツァオガウの動きを封じる徹底ぶり。
尚、茨にも毒が仕込まれており、意識を取り戻したとしてもまともに動ける状態ではない。
百香はツァオガウの拘束を終えるとジーニアスの方へ走って向かう。
『ジーニー!大丈夫!今治療するから!』
「・・・・・」
『ジーニー!よかった、息がある。』
外傷はあるものの命に関わる傷はない。
ホッとした百香に亜美が恐る恐る話しかける。
「百香お姉さん、日本語になってる。こっちの言葉喋れないの。」
『亜美ちゃん、ごめん。今意識が飛びそうなの。後にしてくれる。
亜美ちゃんの治療もするから。』
『ソーマヒーリング』
ソーマとは、とある神話に登場する架空の植物で不死の霊薬とされている。
実際に不死になる訳ではないがこの術の回復力は凄まじく、死んでない限り大抵の傷は治療可能。
百香の手から溢れ出す輝く神秘的な霊薬がジーニアスの傷を治し、亜美の体調を立ち所に良くしていく。
『さあ、治療も終わったところで今度は尋問と行きましょう。
亜美ちゃん、通訳お願い。』
百香は亜美に通訳をお願いしながらツァオガウの茨の拘束だけを解き、
ゴン!!
その頭を蹴飛ばしながら叩き起す。
『さあ、起きなさい。貴様の持っている情報を洗いざらい吐いてもらうわよ。』
「ふん、何を言っているのかわからんわい!」
冷たく言い放つ百香に対して、ツァオガウはあくまでも反抗的な態度で返す。
実際にツァオガウは百香が話している言語(日本語)が理解できない。
バキ!!
「ぐ!!!」
百香はツァオガウの左手の小指の骨をへし折る。
これにツァオガウは呻き声をあげる。今まで強者だっただけにツァオガウに拷問に対する耐性はない。
『亜美ちゃん、通訳。こちらの質問に答えるように、あと口答えをしないように言って。』
「・・・・うん、わかった。」
亜美は青い顔をしながら、百香の指示通りに通訳する。
亜美が通訳を終えると今度は右手の小指の骨を折りながら呟く。
バキッ!!
「ひぃ!」
『いい、嘘を言ったり余計な事を言ったり呻き声を上げたり私が少しでも不快だと思うことをやったらあなたの骨を一本ずつへし折っていくわ。
わかったかしら?』
「・・・・」
バキッ!!!
今度は左足の親指を踏みつけてへし折る。
『返事は?』
「ぐぅぅぅぅ!!」
「う!」
『亜美ちゃん、通訳。』
「・・・うん。」
百香の拷問にツァオガウは苦痛の声を上げ、亜美は呻き声をあげながら顔を青くする。
それでも亜美はなんとか通訳を全うする。早く終わって、こんなお姉さん見たくない、そう祈りながら。
『では、貴様のお仲間の所在からね。』
「・・・王都のとある屋敷じゃ。」
バキ!!
「ぐぁあ!」
『とある屋敷じゃわからないでしょう。詳細に話しなさい。』
「ジギスムントに用意させた貴族街中心部の大きな屋敷。」
バキ!!!
『今のは嘘ね、私を騙せると思ったの?馬鹿なの?』
「王都郊外の一番立派な屋敷。」
バキ!!!!!
『今度は本当みたいだけど、さっき嘘をついたペナルティよ。』
「もうやめてよ。百香お姉さん。」
『ごめんね、亜美ちゃん。でも必要な事なの。辛いだろうけどもう少し頑張ってくれる。』
百香は亜美に優しい声で語りかける。
それがこの悪夢を生み出している人物といつもの優しいお姉さんが同一人物だといやでも思い知らされる。
バキバキ!!!
「・・・・・」
『なに、変な期待しているのよ。亜美ちゃんが止めてくれるとでも思った?
そんな訳ないでしょう。貴様が死ぬのはもう決定事項なの。せめて私に不快な思いをさせない事だけを考えなさい。』
先ほど亜美に話掛けた優しい声とはまるで別人の冷たく残酷な声が百香の口から響く。
その後しばらく拷問は続き、いくつかの情報を聞き出した時とうとう亜美が耐えられなくなった。
「もうやだよ。百香お姉さん、もうやめてよ。そんなお姉さん見たくないよ。」
『ごめんね、亜美ちゃん。でもこれが私なの。こんな事しかできないろくでなしでごめんね。』
「そんな事言わないでよ!!」
亜美と百香が言い争っていると一つの足音が近づいてきた。
『ロックランス』
「う!!!!」
岩の槍がツァオガウの首を貫きその命を刈り取る。ジーニアスである。
拷問を行っている最中に目覚めたようだ。
「モカ、お疲れ様。情報としてはもう十分だろう。
その格好もうやめた方がいいよ。それって疲れるだろう。」
笑顔で語りかけるジーニアスの顔に亜美が見せた様な恐怖は全くなく、ただただ労う様な口調だった。
その言葉を受け百香は『変身』を解いた。百香の顔色はとても酷く痛々しかった。
「モカ、言ったよね。無理しないようにって。
君はどうして自分をもっと大切にしないのかね。」
「ジーニー、あなた、私のことが怖くないの。」
「なんで?このくらい平気って前に話したよね。
それより顔色悪いよ。少し休んだほうがいい。」
「ええ、そうさせてもらうわね。肩貸してくれるかしら。」
「なんだったらお姫様だっこしようか?
ったく、それにしても酷い顔だね。今度こういう事をする時は僕も呼ぶんだよ、いいね。」
「・・・・」
ジーニアスのあまりにいつもと同じ様子に亜美は押し黙る。
「ちょっとジーニー、本当にお姫様だっこしないでよ。重いでしょう。」
「人に200キロの重りを括りつけた人間がそんな事言うのかい。
それに比べたら全然軽いよ。」
「・・・全然嬉しくないんだけど。」
「はは、それに実はちょっと役得なんだよ。
こうやって抱えると君のおっぱいが当たって。」
「はぁ!ジーニー。離しなさい。ぶち殺すわよ!!」
「こらこら、暴れない。そんな力今の君にはないだろう。
それに君に殴られたら僕は本当に死ぬからね。レットと同じ基準で扱わないでね。」
「もぅ!後で覚えておきなさい!」
「はいはい。そうだ、寝てるふりをしている時にレットに連絡いれてゲオルグ先生呼んでもらったから。
君はすぐに診察を受けるんだよ。いいね。」
「・・・・わかったわよ。」
いつもの調子でジーニアスと百香が悪ふざけをしている中、亜美だけは暗い顔をして2人の後をついて俯きながら歩いていた。
(どうして、私はただ怖くて泣き言を漏らして百香お姉さんを責める事しかできなかったんだろう。
ジーニーはあっという間に百香お姉さんをいつものお姉さんに戻したのに。)
大好きなお姉さんを支えられなかった自分を責める亜美と、それに気づかないでいつもの調子で騒ぐ百香とジーニアス。
村に向かって同じ方向に歩いているにも関わらず、両者の距離は酷く離れているようだった。
今回の話の顛末
百香が変身して、ジーニアスと亜美を治療して、怪人_ツァオガウを倒して、拷問して情報を吐かせます。
その時、百香が日本語しか喋れなくなったので亜美に通訳を依頼。
百香の冷酷な言動に亜美がショックを受け、言い争いになります。
言い争っている内にジーニアスが目を覚まし、情報は十分だと判断しツァオガウに止めをさします。
そしてジーニアスが百香を労い、普段と同じ様に接することで百香も普段の状態に戻ります。
その事に亜美がショックと無力感を感じた所で今回は終わりです。
一応、残酷な描写無しで書いてみましたけど、凄く味気ないですね。
今後も表現がきついと判断した場合はこういう感じにしようと思いますがご意見、感想等ありましたらよろしくお願いします。
できるだけ皆様が見れるような描写で書いて参りたいと思いますので、
「このくらい大丈夫。」「いや、これはきつい。」等の意見があると非常に有難いです。
周りに内緒で執筆活動をしているボッチの筆者に貴重な意見をよろしくお願いします。
ブックマークして下さっている方、誠にありがとうございます。
読んでくれている方がいると言うのが一番励みになります。
拙作ではありますが、より良くなるように今後も精進して参りますので、これからもよろしくお願い致します。




