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086_人間卒業証書授与式

戦闘回です。


バクラが暴走します。

086_人間卒業証書授与式


列人達が乳論争をしていた頃

バクラ、百香、亜美の3人はコルト山脈の麓まで来ていた。

事の発端はバクラがあるモンスターの情報を手に入れたことにある。


「よし、今日はアースドラゴンを狩るぞ。」


「「バクラさん、今何って言いました?」」


今回の目的はアースドラゴンだ。

ドラゴンの中でも非常に大型で攻撃力、耐久力に優れた種である。

その代わり飛行能力が無い為、一定以上の攻撃力を持つハンターには狩り易いモンスターとも言える。

(狩り易いといってもSランク以上が複数いないと話にならないが。)

ここで百香と亜美はバクラの発言に疑問を持った。

いつも大物を狩りに行った列人をバクラは怒っていたのに、そのバクラがなぜ自主的に大物狩りをしようとしているのか。


それは先日、百香の尋問(拷問)により魔族ガウロンからもたらされた情報にある。

その情報によると狙われている者の中に公爵家の女子が含まれているからだ。

実はバクラの妻_メリッサの本名はメアリー=スチュワート、れっきとした公爵家のお嬢様なのである。

紆余曲折あり今はその公爵家は没落したが、その血は公爵家のもの、つまり『炎の勇者』の末裔のものである。

魔王復活は『炎の勇者』の末裔の血によって早められると考えられている為、魔族はこれを欲している。


これを知ったバクラはどうなるか。

もうお分かりだろう。絶対魔族殺すマンになるに決まっている。

バクラは単独で魔族を皆殺しにする力を得るために目下修業中なのである。


ここにくる途中、既にバクラはグレートボアの10体の群れを単独で撃破して、それを引きずりながらアースドラゴンの巣の前まで来ている。


アースドラゴンは起きるとその巨体で走り回り周囲に甚大な被害を与える危険なモンスターである。

一方で起きてる期間が非常に短くよっぽどのことがない限り、人里まで被害を与えるモンスターではない。

グレートボアを引きずってきたのは餌にしておびき出す為である。

この行動力には百香と亜美もドン引きしていた。


「バクラさん、本当に1人でやるんですか?」


「ああ、アミ。この中で一番弱いのは俺だからな。

チームの実力を底上げするにはまず俺が強くならないと。」


「報酬はどうするんですか!アースドラゴンってすごい金額で取引されるんですよね!」


「・・・亜美ちゃん。お金の事心配してたの?」


バクラの事ではなく、報酬の心配をする亜美に百香はドン引きしていた。

またしても亜美の目が¥マークになっている。


「俺がアースドラゴンと戦っている間、周りの安全を確保してもらうんだ。

当然報酬は山分けだ。あと周りのモンスターの分は俺はいらん。」


「はい!分かりました。バクラさん、頑張ってください。」


「・・・・」


報酬の話に満足したのか、亜美が華麗に手のひらクルーしたことにバクラの顔が引き攣る。

今も上空にいるワイバーンを弓矢で撃ち落としている。

ハンターギルドに帰った時、ギルド職員の皆さんに怒られる未来しか思い浮かばず、今度は百香が胃が痛くなる思いをしていた。

ごめん、バクラさん。ギルドマスターの時あなたにこんな思いさせていたのね。

そう思うと同時に今は胃痛の原因となっているバクラに恨めしい気持ちでいっぱいだった。


しかしそれでも今回のアースドラゴン討伐は必ずしなくてはならない為、百香はあえてバクラの思いつきに乗っかることにした。

なぜかというと『アナスト』のイベント、大暴走(スタンピード)に関わってくるからである。

忘れがちだがこの世界はゲーム『ザ・ストーリーオブアナシス』に似た異世界であり、ゲーム内で起きたイベントはほぼ起きるのである。

大暴走イベントとはコルト大森林のモンスターが大挙して王都に向かうのを、主人公パーティーが防衛戦を張り阻止するというものだ。

この時最終防衛線はバンの街なのだが、進路上にコル村がありほぼ全ルートでコル村は壊滅する。

唯一壊滅しないのがアルフレットルートなのだが、現在のアルフレットつまり列人はルートに全く絡まない。

その上、ヒロインであるアメリア、つまり亜美はもうルートの攻略を放棄している。

ルートをなぞった回避をしない以上、自力で大暴走の原因を叩くしかない。

大暴走のそもそもの発端は今回狩るアースドラゴンが目覚めて大暴れした為、大多数のモンスターが森に住めなくなる事にある。

よってアースドラゴンが暴れる前に始末しちゃおうというのが今回の趣旨である。

こんな事ギルドの皆さんに言っても頭のおかしい人扱いされるだけなので、怒られるしかないというのがなんとも切ない。


場面は変わってアースドラゴンの巣の中。

早速バクラが動き出す。引きずっていたグレートボアの1体をおもむろに持ち上げ、あろう事かアースドラゴンに投げつける。


「「ええええぇぇぇーーーーーーーーーー!!」」


さすがの百香と亜美もこれには非難の声を上げる。

だって餌にする為に取るって言ったじゃない。そんな気持ちがこの声に含まれていた。


「さあ、それを食って万全な状態で戦え。」


あ、餌にする気はあったんだ。

バクラにとってこれは討伐であると同時に訓練の一環なのである。

相手が万全の状態でないと話にならない。

だが普通食べ物を投げつけられて食うだろうか。


ガルルルルルゥゥ、ガツガツ、ムシャムシャ


「あ、食べてる。」


「このドラゴン、意外と図太いね。」


百香と亜美はアースドラゴンの図太さにある意味で関心する。


ガツガツ、ムシャムシャ、・・・・グゥ~~~~~~~、スヤスヤ・・・・



「「寝た~~~~~~。図太すぎでしょう、このドラゴン。」」


百香と亜美の声がハモった。これは驚いても仕方ないと万人がそう思うだろう。

だが驚かない者がいた、バクラである。

バクラはおもむろにもう1体グレートボアを持ち上げ投げつける。


ガルルル!!!グオオオオオォォオォォオォォォ!!!

さすがにお腹いっぱいで気持ちよく寝てたのに叩き起こされたらドラゴンだって怒る。

アースドラゴンはバクラに対して臨戦状態である。


「ふん、ようやくやる気になったか。手間を掛けさせる。」


手間を掛けて戦おうとするのはあなただけだ、等とツッこむものはいない。

本来の目的が戦うことなのだから仕方がない。


『ガルルルルルゥ!!!』

アースドラゴンがその巨体を活かして猛然と突進してくる。

アースドラゴンは体長10m以上あり脚力も非常に強い為、スピート、威力共にかなりのものだ。

土埃を巻き上げながら突進してくるアースドラゴンをバクラが迎え撃つ。


『スパイクシールド』

バクラは前方にトゲトゲたっぷりの巨大な盾を術で生み出しアースドラゴンの進行を阻む。

この盾は『アイアンウォール』より強度は若干劣るが刺による攻撃力が期待できる為、単調な動きの相手には持って来いの技である。


『スパイクシールド』の刺がモロに腹部に突き刺さりアースドラゴンは悶絶するが、バクラの方も突進の衝撃をモロに受けたことで吹き飛ぶ。

さすがはドラゴンと言ったところか、バクラも無傷ではすまず、折れてはいないが腕を痛めたようだ。

何発もくらえばそのうち腕が折れ攻撃を防ぎきれなくなる。そうなればバクラの負けだ。


先ほどの突進のダメージからアースドラゴンの方が僅かに早く復帰し、再びバクラに向かって突進攻撃を行う。


『アイアンウォール』

バクラもなんとか衝突前に復帰し、今度は防御力重視の『アイアンウォール』を展開する。

今度はしっかり衝撃を受け切れたが相手にもダメージを与えられない。両者膠着状態である。

それから幾ばくかに時間が流れ、先に痺れを切らしたのはドラゴンの方である。

アースドラゴンは睨み合った状態で地団駄を踏み地面を揺らす。

バクラは体勢が崩れそうになるのをなんとか堪えるがそこに追い打ちを掛けるように落石が襲ってくる。

おそらくこの地団駄は魔法だ。足に魔力を込めて周囲の岩を操っているのだろう。

バクラは慌てて落石のあった場所から飛び退く。しかしそこにアースドラゴンがすかさず突進してくる。


『アイアンウォール・ランサー』

『アイアンウォール』を巨大な槍状にしてアースドラゴンを迎え撃つ。

この技は『アイアンウォール』の強度と防御力を持った状態で『スパイクシールド』以上の攻撃力を出せるが、槍が巨大な分消耗が激しい。

そう何回も使える技ではない、言うならば切り札のひとつである。

だが、その消耗に相応の成果があったようだ。衝突の衝撃と共にアースドラゴンの肉に槍が突き刺さる感触を感じる。

アースドラゴンの前足を1本落とし、腹部にも大きな傷を作る事ができたようだ。

しかしまだ致命傷には至っていない。主要な血管や臓器は無傷のようだ。


足を奪われ機動力を失ったアースドラゴンは先ほどとは打って変わって魔法中心の攻撃をしていく。

先ほどと同じ落石の魔法がメインだが、今度は手数重視のようだ。

そのため先ほどの落石よりは威力は小さいが隙が少ない為、バクラはなかなかアースドラゴンに近づけない。


『アイアンウォール』

バクラは現状を打開すべく、『アイアンウォール』を展開しながら突進、アースドラゴンの懐に潜り込む。


『破岩掌』

岩をも砕くバクラの掌底がアースドラゴンの顔面を捉える。

しかしわずかにダメージがあるものの決定打とはならない。


『ガルルゥ!!』

アースドラゴンは反撃とばかりに残った前足の爪でバクラを切り裂こうとする。


『アイアンウォール』『破岩掌』

アースドラゴンの爪を受け取め、再び攻撃、


『アイアンウォール』『破岩掌』『アイアンウォール』『破岩掌』『アイアンウォール』『破岩掌』・・・


アースドラゴンとバクラが殴り合いする事数合。

徐々にお互いの体力が削られていくが、バクラの方が劣勢である。

やはり体格差によるダメージの蓄積が大きい。このままではバクラが破れる事は明白である。


ここでバクラは最後の攻撃に出ることにした。

バクラは少し後ろに飛び、アースドラゴンとの距離を取る。

アースドラゴンはバクラの迎撃の為、身を低くして構える。

バクラが助走をつけてアースドラゴンの頭に向かって突撃、アースドラゴンが落石魔法で迎撃を試みる。

それをバクラは前方へ勢いよくジャンプして躱し、そのままアースドラゴンの頭に向かって飛びつく。


「くらえーーーーーー!!」

グルァァァァアアアア!!!


アースドラゴンが空中のバクラを前足で迎撃する。

空中で自由が利かない為、あわや直撃と思ったその時、


「甘い!!!」


なんとバクラが空中2段ジャンプ。先日の列人の動きを見てイメージは掴めていたのだろう。

霊力で足場を作り、それを踏み台にアースドラゴンの迎撃を躱しそのまま攻撃に転じる。


破城鎚落(はじょうついらく)

バクラは両の手を自らの頭上で組み、それをハンマーの要領でアースドラゴンの頭に振り落とす。

組んだ手には高密度、高硬度の霊力が込められており、まさに城を破壊する威力である。

アースドラゴンは頭蓋骨陥没、そのまま地へと落ちていった。


アースドラゴン、単独撃破に成功。

これはこの世界のSランクハンターでもまず不可能なことである。

この瞬間、バクラは晴れて人間を卒業したのであった。

最近バクラが本当に自重しなくなりました。

かつての常識人、胃痛枠だったバクラはどこに。

これは新たな胃痛枠を投入するしかなさそうですかね。

ミランダが常識人枠から抜け出さない事を願うだけです。

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