085_赤色の逆鱗
おっぱい回です。
サブタイとの格差が酷い。
085_赤色の逆鱗
地獄の合宿が終わり休みが明けた次の日の事、
この日、列人はジーニアスとミランダにコル村案内をする事になった。
百香、亜美、バクラは訓練と狩りの為、山の方まで行っており、フィオはギルドの仕事である。
バクラもハンターに復帰した為、稼がなくてはならない。
まずは近所への挨拶である。
最初に食べ物の事でお世話になるスコットさん夫妻の牧場に向かう。
そこで牧場で牛の世話をしているスコットさんとアンナさんに挨拶をする。
「おはようございます。スコットさん、アンナさん。」
「おはよう、アル坊。なんか久しぶりじゃのう。
最近は食材の受け取りはモモカちゃんがしてたからのう。」
「おはよう、アル君。そうよ、たまにはちゃんと顔を出しなさい。」
「ああ、ごめん。これからはちゃんと顔出すから。
今日は俺の友人を紹介したいと思ってきたんだ。
こちらジーニアスとミランダだ。」
「初めまして、これからお世話になるジーニアスです。よろしくお願いします。」
「初めまして、ミランダです。
私は少ししたら一旦故郷に戻るんですけど、こちらにもちょくちょく来るつもりです。
今後共よろしくお願いします。」
「ほぉ、これは礼儀正しい子じゃの、こちらこそよろしくのう。」
「これからよろしくね。何か困った事があったらいつでも相談してね。」
その後、近所の数件と商店、自警団とハンターギルドを紹介して回った。
「ジーニー、ミラどうだった。ここの住民は。」
「うん、みんないい人そうだね。こちらに住む事になる身としては嬉しい限りだよ。」
「そうね、私もこっちに住みたくなったわ。まあ現状厳しいけど。」
「そうか、それは何よりだ。」
ジーニアスとミランダの村人に対する反応に概ね満足の列人である。
「ただ、私はいきなりナンパされるとは思わなかったわ。」
「そうだね、田舎の人って思ったより積極的だよね。」
「・・・・ち!」
この時ある事を思い出し列人は思わず舌打ちをする。
「なあ、レット。いい加減機嫌直せよ。」
「うるせえ。幼馴染に裏切られた俺の気持ちの何がわかるって言うんだ。」
「もう、大袈裟ね。ただの好みの問題でしょう。」
珍しく不機嫌になっている列人をジーニアスとミランダが宥める。
列人の不機嫌の原因は少し前に行った自警団の詰所でのやり取りにある。
以下がその様子である。
「おはよう、ヨーゼフ、ロバート、レベッカ。
今日は俺の友人を紹介する。ジーニアスとミランダだ。」
「初めまして、俺、ヨーゼフです。
アルとは家が隣同士でマブダチです。よろしくお願いします。ミランダさん。
よかったら俺と付き合ってください。」
「はじめまして~。レベッカです。
ジーニアス君、よろしくね。ところでお付き合いしている人とかいるの~。
あ、わたしはフリーだよ~。」
「こら!2人ともいきなり失礼ですよ。
ジーニアスさん、ミランダさん、馬鹿共が大変失礼しました。
私はロバートです。以後お見知りおきを。」
「初めまして、ジーニアスです。みんなよろしくね。
ちなみに彼女とかはいないかな。」
「ミランダです。よろしくね。
ところでロバートさん、あなたも苦労されてるんですね。」
「・・・ええ、それはもう。」
それぞれに挨拶していたがいきなりヨーゼフとレベッカがナンパをしているのに列人がドン引きしていた。
頭を抱えたくなるロバートの気持ちがよく分かる。
ヨーゼフとレベッカは顔を少し赤くしながら、それぞれミランダとジーニアスを見ている。
これは一目惚れか。考えてみれば別に不思議な事ではない。
ミランダはスタイル抜群の綺麗系の美女、ジーニアスは知的な美青年。
どちらもこのコル村にはいないタイプである。
思春期の彼らが興味を持つのも当然のことである。
そんな事を列人が考えているとヨーゼフが列人に話しかけてきた。
「おい、アル。どこで知り合ったんだよ。
モモカさんといい、どうやったらこんな美人と知り合えるんだ。
しかも巨乳だ。なんて素晴らしい人なんだ。」
「ち!いっぺん死んで来い。」
列人は思わず舌打ちをする。
注意深く観察するとヨーゼフの視線がミランダの胸にいっているのがわかる。
つい最近までコル村には巨乳と呼ばれるものが存在しなかった。百香 (モニカ)が現れるまでは。
思春期の男子にとって巨乳は一種の憧れなのだろう。
勿論列人も知識では知っているし、それを否定する気はない。
だが得てしてこういう輩は持たざる者(貧乳)を蔑み、後ろ指を指す傾向がある。
列人はその理不尽な差別(通称胸囲の格差社会)を嫌うのである。
ヨーゼフはミランダを見た時、百香(現在巨乳)の名前は出したが亜美(現在も貧乳自称B)の名前は出さなかった。
思えば、今までも百香の胸をチラチラ見ていた。
しかし今日の様な露骨な差別発言をした事は今までなかった。
今日この時を持ってこいつは差別主義者(巨乳派)であると確定した。これは粛清案件である。
等と列人が物騒な事を考えているとジーニアスも話に入ってくる。
「どうしたんだい。レット、ヨーゼフ。ミラの方をじっと見て。」
「ああ、ジーニー。今、俺は幼馴染が差別主義者であった事に失望しているんだ。」
「おい、アル。なんだよ、いきなり。差別主義者ってなんだよ。」
「ジーニー、こいつのミラを見る視線の方向を観察しろ。俺の言ってる意味が分かるぞ。」
「ヨーゼフの視線。・・・・ああ、君は巨乳好きか?」
「ちょっとジーニアス。そんなはっきり言うなよ。男なら誰だってそうだろう。」
この発言に列人がカチンと来た。
「あ!テメー、自分の趣味嗜好をさも一般論みたいに言ってんじゃねえよ!
男の全てがテメーみたいな差別主義者と思うなよ。」
この発言にヨーゼフとジーニアスが困惑する。
コル村には今まで巨乳がいなかった。つまり乳論争は起こりようがなかったのである。
胸囲の格差社会の廃止を目指す革命家_列人の顔を見るのは初めてなのである。
列人をなんとか宥めるべくジーニアスは事情を確認する事にした。
「どうしたんだい、レット。君らしくないな。
君は人の趣味嗜好に口出しする人じゃなかったはずだ。」
「すまん、ジーニー。少し熱くなっていたようだ。そうだな。
別に巨乳好きだからって差別主義者とは限らないよな。」
ジーニアスの言葉に列人はなんとか落ち着こうとしていたところにヨーゼフが火に油を注ぐ発言をする。
「わかった、アル。お前ロリコンだろう。だからフィオみたいなペッタンコが好きなんだ。」
この発言に列人は完全にキレた。
そう、ヨーゼフ(差別主義者)は超えてはいけない一線を超えたのである。
列人から禍々しいオーラが立ち上るのをこの場にいる全員が感じた。
「おい、レット。少し落ち着いて。ヨーゼフ早く謝って。」
「どうしたのよ、レット。」
「ヨーゼフ、よっく耳をかっぽじって訊け。
貴様は今許されざる発言をした。貴様が如何に罪深いか今から説明してやる。
いいか!そもそも女性の胸囲は生まれついての体質や環境に左右されるもので、本人の意思でどうにかできるものじゃないんだ。
それを貴様ら差別主義者(巨乳好き)は巨乳は正義、貧乳は悪と言い差別を繰り返し、世界の女性の半数以上、つまり全人口の4分の1以上を悪意なく傷つける。
そのくせ自分が言っている事が正しいと信じて疑わない。
貴様!さっき『男なら誰でもそう思う』といったな。テメーと一緒にすんな!
控えめな方が好きなやつだっているんだよ。フィオは勿論、亜美ちゃんだって、うちの母さんだって、『大天使』メリッサさんだって控えめだろうが!
おまえさっきの発言バクラに聞かれたら殺されるぞ。
大体ロリコンってなんだよ。40歳Aカップの人が好きな20歳男性はロリコンなのか、それとも熟女好きなのか、今すぐ答えてみやがれ。
そして貴様の軽はずみは発言が巨乳好きの中にも一定数存在する良識ある巨乳好き(非差別的巨乳派、通称オールラウンダー、別名見境無し)にも迷惑を掛けてる事を知れ。
彼らは『自分は確かに巨乳好きだが貧乳もいいと思う。むしろそっちの方がいいって日もあるよ』っていうとても懐の深い人達なんだぞ。
貴様の素粒子より小くて狭い見識でどれだけの人を傷つけたか思い知れ!」
しょうもない事でブチ切れている列人を見て、一同ドン引きしていた。
しかも列人はこの発言で一部の人達(亜美、マリア、メリッサ)を敵に回した事に気づいていない。
世の中には小さい事を気にしている女子もいるのである。
ここで自警団最後の良心、実は現ギルドマスター、ネスの弟、ロバートが動き出す。
「団長、落ち着きましょう。第一女性の前で女性の体型の話をするのはセクハラですよ。」
「は!すまん。だいぶ熱くなっていたみたいだ。・・・少し頭冷やしてくる。」
ロバートの言葉で我に帰った列人は項垂れながら詰所を後にする。
それを見送った残りの者達がポツポツと話始める。
「取り敢えず、団長の前では女性の体型の話は禁止です。
よろしいですか、皆さん。」
「そうだな、あそこまでキレたアル見たの初めてだわ俺。」
「そうですね~。わたしもあれにはさすがにドン引きですね~。」
「でもなんでそんな話になったのかしら?」
「ヨーゼフが君の胸を見てたからだよ。」
「おい!ジーニアス!なんて事言うんだ!」
「・・・・ヨーゼフさん、正座。」
「はい。」
それから列人が戻ってくるまでの30分間
ヨーゼフは正座のまま、初対面の女子に説教をされるのだった。
その間、ジーニアスはレベッカの猛攻にタジタジだった。
それはロバートの胃に穴が空かないか不安になる、なんとものどかな光景だった。
久しぶりに列人が暴走しました。
仲間と信じていた幼馴染が実は裏切り者だった事に列人の悲しみは留まる事を知りません。
こういう回は気楽に書けていいですね。
ちなみにこの回のサブタイ凄く悩みました。
・裏切りのヨーゼフ
・赤色の革命家
・テメーと一緒にすんな!
・レジスタンス(格差に抗う者)
他にも色々と案があったのですが、まあ今回はこれに落ち着きました。
そして最後に
列人が話したオールラウンダーは実は一番人としてはダメな部類です。




