080_ミランダの願い
今回は列人に勝ったご褒美をミランダが受け取ります。
さて、どんなお願い事でしょうか。
080_ミランダの願い
落ち込むバクラを置いておき、列人がミランダに話しかける。
「改めておめでとう。今回の勝者はミラさんだが、俺への願い事はどうする?」
列人の言葉に全員が色めき立つ。
「あらかじめ言っておくけど、俺が聞くのはミラさんの願いだからな。
相談はいいけど、最終決定権はミラさんにある事を忘れるなよ。
特に目が¥マークになっている亜美ちゃん。」
そう指摘された亜美はというと列人の言う通り、目を¥マークにしながらミランダに熱い視線を送っていた。
この子本気で人の貯金狙ってやがった、と列人は亜美にドン引きしていた。
「アミ、やたらレットさんの貯金を気にしてたけどどういう事なの。」
「ミラ、列人お兄さんの貯金って100億クレト以上あるんだよ。」
「はぁ!!100億だって(ですって)!!」
この事実にミランダ、ジーニアスは驚愕する。
「その上、お兄さん一回の狩りで1000万以上稼ぐし、正直貯金取られた所で痛くも痒くもないんだよ。」
「だから、自分の願いを人に叶えさせるのは無しだよ。」
列人は再び亜美に釘を刺す。この子どんだけ金が欲しいんだよ。
これがさっきまで死力を尽くして戦っていた子と同一人物である事に驚きを隠せない。
「じゃあ、こういうのはどうかしら。
紙に書いたセリフをある場所で読み上げてもらうの。」
「具体的にはどんな内容だ。」
百香が良からぬ事を考えている顔をしているので嫌な予感がしながら列人が問いかける。
「そうね、『俺は実はむっつりスケベでお前とエロい事がしたくてたまらないんだ。』
と言うセリフをフィオちゃんの前で言うってのはどうかしら?」
「どうかしら、じゃねーよ!それ既成事実作ろうとしてるだろう。
他人が関わるのはNGだって言っただろうが!」
「レットさん、最低です。」
「ミラさん、ガチトーンで言うのやめてくれるかな。」
「気にするな、レット。男ならみんな思うことだよ。」
「ジーニー、テメーと一緒にするんじゃねーよ。」
「エッチな事は結婚してからだよ。列人お兄さん。」
「亜美ちゃん、真面目に忠告するのやめてくれるかな。しないからね、俺。」
「・・・・・」
「バクラ、黙ってないで助けろよ。どう考えても俺が被害者だろう。」
「すまない。無理だ。」
このままじゃ埒があかないので列人は話を変える事にした。
「ミラさん、別に今思いつかないなら後でも構わないよ。
ただしこいつらとの相談は禁止だ。さっきから碌なこと言いやがらない。」
「じゃあ、世界平和の為に身を粉にして働け、は?」
「う~ん、ちょっと壮大すぎて俺には無理かな。」
「ふふ、冗談よ。実はもう決めてるの。」
ミランダは屈託のない笑顔でそう言い放つ。
百香や亜美の様な汚れた笑みではない。
「うん、どんな願いだ。言ってみてくれ。」
「私と友達になってください。」
この時、ここにいる者全ての時が止まった。
ある者は感動に打ち震え、ある者はほっこりと優しい笑みを浮かべ、ある者は自分の汚れた心に打ちひしがれた。
「そんな事でいいのか?」
「ええ、だって今まで私とレットさんの関係って、アミとの友達同士だったじゃない。
私はあなた自身と友達になりたいの。」
「俺、君に隠し事してるけど構わないか?」
「友達だからって内緒事を全くしてはいけないと言う事はないでしょう。
そういうこともひっくるめて友達になりたいの。」
ミランダの笑みに列人は照れくさそうに頭を掻く。
「参ったな。殺し文句としては最高だ。
わかった。俺からもお願いとひとつ誓いを立てよう。」
列人は普段決してしない様な真剣な顔でミランダを見据える。
その強い眼差しにミランダは思わず居住まいを正す。
「ミランダ=コースト、俺は君の友になることを願う。
そして、友である君が困難に直面したとき、全力を持って助ける事を誓う。
受けてくれるかな?ミラ。」
「はい、喜んで。これからよろしくね、レット。」
二人から思わず笑みがこぼれる。そこに茶々を入れる者達がいた。
「麗しきかな、友情。レットは僕とも友達だよね。なんかあったら助けてよね。」
「・・・うるせえよ。テメーの事はテメーでなんとかしろ。俺は助けんぞ。」
「ツレないね。レットは照れ屋さんなのかな?」
「列人、ツンデレが許されるのは美少女だけよ。あなたがやっても萌えないから。」
「狙ってねーよ。大体ツン100%なんだよ。どこにデレ要素があった。」
「なるほど、つまり列人お兄さんはフィオさんにも照れ隠しであの態度を取っていると。
やっぱり列人お兄さんってそういう所残念だよね。」
「ねえ、亜美ちゃん。どうしてここでフィオが出てくるのかな。どうやらOHANASHIが必要そうだね。」
「ふふ。ほんとに飽きないわね。この人達は。
そう思いませんか、バクラさん。」
「俺としてはもう少しおとなしくして欲しいがな。」
皆でしばらく騒いだ後、お昼が近づいてきたので村に戻る事にした。
帰り道は当然重りを背負わされる。
バクラが3トン、ジーニアスとミランダが100キロ、
この地点で既にジーニアスとミランダも人外なのだが、バクラの重りがあんまりすぎるので特に文句は出なかった。
彼ら3人が息を上げながら走っている少し後方で列人と亜美が並んで走っていた。
「亜美ちゃん、ちょっといいかな。」
「なにかな?列人お兄さん。」
列人が少し畏まった表情で亜美に声を掛ける。
「『神風』、凄くいい技だったよ。今回俺が躱せたのはほとんど運だ。
・・・強くなったね。」
列人の声に亜美は僅かに瞳を潤ませるが、すぐに列人を見返しこう答える。
「当然です。私は青葉総司と青葉百合の一番弟子、鈴代亜美です。」
その笑顔は列人が今まで見た中で一番輝いていた。
前方で百香に追い立てられて、息絶え絶えとなっている3人とは、なんとも対照的な穏やかな風景だった。
しかし、本当に百香と亜美が勝たなくてよかった。
この2人が勝っていたら絶対にカオスになっていたと思います。




