074_バクラの霊力修行(講習編)
これからしばらく修行回が続きます。
まずは霊力についての説明回です。
074_バクラの霊力修行(講習編)
列人達がジーニアスとミランダを連れてコル村に戻った次の日、
今日からバクラのヒーローとしての特訓が始まる。
村の広場には、列人、百香、亜美、バクラの4人がおり、ジーニアスとミランダは野次馬である。
ちなみフィオは今日は仕事の為いない。
「じゃあ、始めるとするか。本日の教官は亜美先生です。
講義の科目は霊力操作、では亜美先生お願いします。」
「ちょっと、列人お兄さん。恥ずかしいよ。」
「亜美ちゃん。恥ずがしがってちゃだめよ。
先生なんだからふざける生徒には顔面ワンパンしなくっちゃ。」
「それやるの百香お姉さんだけだよ。」
「習う身で申し訳ないのだが、話を進めてくれるか。」
ふざけて一向に話が進まない事に焦れたバクラが講義を進める様に先を促す。
「はい、では今回は霊力操作です。
バクラさんは初めてですので説明しますね。
まずは身体の中の霊力を感じることから始めます。
体の中に意識を集中して、エネルギーの流れを感じてください。
バクラさんは魔力を扱えますので、まず魔力を探すところから始めてください。
せっかくですので野次馬の皆様も一緒にやっていきましょう。」
亜美は先生らしく丁寧な口調で説明を始める。満更でもないらしい。
「ああ、わかった。
・・・よし魔力を確認した。」
「では次に魔力とは別にエネルギーの流れはないか確認してください。
魔力はイメージで言うと透明な感じなのに対して霊力はなにかしら色がついていると思います。
私の場合は白とほんの少し黒が混じっています。
きっと列人お兄さんは赤で百香お姉さんはピンクだと思います。」
「そうだな、俺の霊力は真っ赤だな。」
「私はピンクに緑が混じってる感じね。植物使いだからかしら。」
「・・・・あ、あったぞ。
色は灰色、いや鈍色だな。」
「僕も試してみたけど魔力とは違うエネルギーってのはよくわからないな。」
「私もよ。つまり私達には霊力はないってことかしら。」
亜美に言われた通り全員が試した結果、どうやら霊力がないと亜美が言ったエネルギーは見えないようだ。
元々身体にないのだから当然と言えば当然である。
「次に霊力の操作です。
列人お兄さん、『火球』を使う時の霊力の流れのイメージをできるだけ細かく言ってもらっていいですか?」
「ああ、まず霊力を感じて霊力全体を意識下におく。
それから火球に必要な霊力を集めて手のひらに移動させる。
そして放ちたい炎をイメージして手から放つ。
以上です、亜美先生。」
「ありがとうございます。
霊力の操作は大きく『感知』『移動』『増減』『変化』『放出』に分かれます。
まずは感知つまり霊力を意識下に置くことから始めてください。
これは魔力の練習でも同じです。魔法の練習をする方もご一緒にお願いします。」
「アミ、霊力の色の違いっていうのはどういう意味があるんだ。」
「はい、霊力の色は変化に関わってきます。
霊力を術として使う上でイメージ通りに性質を変化させる必要があるのですが、色によって得意、不得意が大きく分かれます。
列人お兄さんの赤は熱を加える性質が強く、冷ます性質はほぼ絶望的みたいな感じです。
だから炎使いはほぼそれしか使えません。
魔力は元々透明ですので、得手不得手はあっても使えないと言う事はありません。
その代わり元々色がついていないので色が薄い、つまり威力が霊力に比べて弱くなる傾向があります。」
「なるほど、魔力は汎用で霊力は特化といったところか。
ちなみに鈍色の特性はなにかわかるか?」
「はい、鈍色は金属、つまり霊力に硬さを持たせる性質に特化してます。
拳を固くして鈍器のように扱ったり、霊力の盾を作ったりするのに優れています。」
「つまり、今のメンバーで不足している壁役に最適ということだな。」
「その通りです。まだ少し先ですが変化の練習の時はそのイメージでお願いします。」
亜美の説明を交えながら練習する事1時間
「よし、感知、移動、増減は問題なくできるようになったな。」
「バクラさん、すごい早いですね。普通どんなに早い人でも感知だけで丸1日かかりますよ。」
「おそらく長年魔力を使っていたせいだろう。魔力を霊力に置き換えるだけだったからな。
それに講師が優秀だ。魔力と霊力の違いが非常にわかりやすかった。」
「恐縮です、バクラさん。ここまでできれば霊力による肉体強化はもうできます。
やり方は『全身に霊力を行き渡らせて増幅させてそれを留める』です。
一部だけ強くしたいならその部分の霊力を増幅してください。」
バクラに褒められて心なしか嬉しそうに次の課題を説明する亜美。
バクラは亜美に言われた通り肉体強化の練習をする。
「おめでとう、バクラ君。これで君もこちら側の仲間入り。
手始めにグレートサイクロン号でバンの街まで往復してみようか。」
「うるせえ。まだ練習中だ、アル。お前も黙って練習しろ。」
「しかしすごいわね。この習得速度は『神崎蒼太』並よね。」
「ああ、『ブルーゲイル』か。あれは魔法使えないでその速さだからある意味化物だよな。」
「なんだ、そのカンザキ=ソウタてのは?」
「ああ、俺達が前の世界にいた時の同期でヒーローの中で№4
つまり4番目くらいに強いって言われていた天才児にして化物だ。」
「お前に化物って言われるってよっぽどだな。」
「なにそれ、僕も気になるな。」
珍しく百香と列人が前世での話をしたことにバクラとジーニアスが興味を示す。
尚、ミランダは真面目に魔力操作の練習中だ。
「ああ、はっきり言って次元が違いすぎた。
俺はあいつに勝つどころか一度もダメージを与える事が出来なかったな。」
「それは私もよ。でもあいつさっさと飛び級してヒーローになったからほとんど接点がないのよね。」
「へぇ、そうなんだ。ちなみにどんな所が凄かったんだい?」
「あいつの凄い所は、霊力の変化と放出の速さと量だな。
一瞬で万を超える氷の武器を生成してそれを放ったり、村一つを覆う規模の吹雪を起こしていた。」
「変化と放出についてはイメージ力と霊力操作の正確さなのよね。
これは本来長年の経験が必要なんだけどあいつはそこをすっ飛ばしたわね。」
「こら、話すのは結構ですが、きちんと練習してください。」
列人と百香が昔話を語っていると亜美から注意が入る。
「見てください。ミラは真面目に魔法のイメージを改善したおかげで、先程より肉体強化魔法が強くなってますよ。」
「え、本当かい。アミ。」
「本当です、ジーニー。さっき練習用のカカシを棒で粉砕しました。」
「・・・・・」
ミランダは自分や仲間の肉体を強化したりする事が得意な補助魔法師である。
ちなみにこの時ミランダが行なったのは肉体強化に加え、武器である棒に魔力をまとわせる事で行う武器強化である。
ミランダは今までより強化に使う魔力の密度を高め、そこに留まる力を強く持たせるイメージをする事で魔法を強化していた。
亜美が如何に講師として優秀か皆が思い知らされた瞬間である。
「さあ、わかったら練習を続けてください。」
「「「「・・・・はい。」」」」
この後さらに5時間ほど練習した結果、バクラは変化と放出のやり方まで習得し、術も発動できるようになった。
ジーニアスは魔法のイメージ改善と魔力操作の向上のおかげで各属性の魔法の威力が一段階強くなり、無詠唱での魔法の発動が当たり前の様にできるようになった。
明日はバクラの術を実際に使っての訓練を行う予定だったが、ジーニアスとミランダからも参加希望があったので一緒にやることになった。
どうやら今日の講習で強くなったのが嬉しかったらしい。
これが地獄の一丁目への入口だとも知らずに。
ネタバレ
これからの戦いに備えてエレメンタルズにはインフレしてもらう予定です。
ようやくエレメンタルズも人数が揃い、本格的に修行ができる環境になって参りました。




