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071_そして赤色は空を舞う

説明回です。

前回百香が手に入れた情報についてです。


※今回、他作品ネタが入っております。

苦手な方は注意してください。

071_そして赤色は空を舞う


百香がテントに戻ると列人が土下座待機の状態だったので百香は思わず引いてしまった。


「百香さん、この度は誠に申し訳ありませんでした。」


「え、どうしたの。いきなり、気持ち悪い。」


「他の皆様が百香さんの実力に懐疑的だったもので、私は百香さんが如何にゴリラであるかと説明したのですが、それが百香さんを怒らせる結果になってしまったようです。

私は正論を言っただけで何も悪くないと思うのですが、他の皆様が謝った方がいいと言うのでいやいや謝っております。」


全く謝る気のない謝罪である。しかも口調だけは丁寧である為逆に腹が立つ。

他の面々はこのあまりに誠意のない謝罪にドン引き。

百香は当然の事ながらブチ切れる。この時百香は満面の笑みで列人に語り掛ける。


「列人、顔を上げてくれる。」


「はい、百香さん。」


「死ね!列人!」


顔を上げた列人の顎下に見事なアッパーカット、いやジェッ○アッパーが決まる。

列人はそのままテントを突き破り上空10mまで車○飛びし、頭から落下する。

普通なら死んでいるが列人はケロッとした顔で起き上がる。この男も大概タフである。


「テメー!百香!こんなの普通死んでるぞ!

だいたい誤ったじゃねえか!どこが不満なんだ!」


「全部に決まってるじゃない。あなた馬鹿なの。

それにその『あやまった』だけど間違えるの意味よね。」


そう、これは断じて誤字ではない。列人はちゃんと間違えている事を自覚している。

では何故わざわざ火に油を注ぐような真似をしたのか。

列人は百香が拷問を行なった事を知っているからである。

列人と百香の事しか知らない人にはわからないだろうが、ヒーローでも拷問に慣れているもの等、ごく一部である。

性格を考えると亜美はやった事がないだろうし、残りの一般人は言わずもがな。

列人は他の者が必要以上に百香に恐怖心を抱かなくてもいいようにわざと騒いだのである。

列人は恋愛関係以外では気遣いのできる男なのである。


「もう、皆さん。なに騒いでるんですか?もう夜なんだから寝ましょう。」


ここに来て爆睡していたフィオが起きて緊張感の欠片もない事をぼやく。

この女はこの中で一番大物かもしれない。


「うん、そうね。皆寝ましょう。ごめんねフィオちゃん起こして。」


「おい、どうすんだよ。あのテントの穴。」


「うっさいわね、ほとんどあなたのせいでしょう。」


「まあまあ、お兄さん、お姉さん。今日は雨降らないし多分大丈夫だよ。」


「ミランダ嬢、僕らも寝るとしようか。」


「そうね、お休みなさい。」


この後、亜美が見張りを勤め、他の物は眠りについた。

朝となり昨日の宣言通り、フィオ、ジーニアス、ミランダに朝ごはんを任せたのだが、貴族2人は全く戦力にならず、フィオが1人で作る事になった。

朝ごはんはウルフの肉を焼き、野菜と一緒にパンで挟んだサンドイッチである。

この時、ジーニアスとミランダは少し肩身の狭い思いをしながら食べていた。


「じゃあ、昨日の暗殺者から聞き出した情報を纏めるわよ。」

情報は以下の通りである。

Q、あなた達は何者

A、暗殺ギルド『影の誘い』


Q、隊長さん自身は何者

A、魔王軍、軍師直属ガウロン


Q、今回の依頼人は、

A、『反第一王子派の筆頭ジギスムント公爵』


Q、依頼人の目的は、

A、王子を排し、自分の一族を王に据えること


Q、ではあなたの目的は

A、『炎の勇者』の血筋の女子を殺害し、その血を魔王様に捧げること。


Q、その行為が意味するものは、

A、魔王様の力を高め、封印の解除を早める為


Q、依頼人はその件とは関係あるのか

A、無関係、お互い利用し合うだけの関係


Q、魔王の目的は、

A、人の世を滅ぼすこと、まず手始めに自分を封印した『炎の勇者』の末裔の始末


Q、あなたと同じような存在は他にもいるのか

A、この国の裏に数多く存在するが、お互いに把握できないようにしている


Q、あなたは魔族ではどの位の地位と実力をもっているのか

A、地位は人間で言う管理職程度、実力は上の下くらい


Q、あなたの上司の軍師の実力は

A、魔王軍四天王の1人で私とは比較にならないほど強い

 特に魔人化した時は桁外れ


Q、私以外のあなた達のターゲットは、

A、ギルバート第一王子とその関係者、トーマス、ジーニアス、ミランダ、アメリア

 現国王アズイール=フラム=オランジェとその関係者並びに王族、公爵家の女子


Q、ターゲットを『学園』で襲ったことは

A、モニカの殺人未遂事件のきっかけになったモンスターの出現は魔族の手によるもの

 あれは『学園』に侵入する為のコストがかかりすぎる為、これ以降はやらないと思われる


Q、ターゲットにコル村は含まれていないか

A、戦力が揃うまで絶対に手を出すなとの厳命あり

 理由はアルフレットにより膨大な被害を受けているため

 魔王軍の被害の8~9割はアルフレットによるもの


Q、戦力が揃うまでとはいつ頃のこと

A、少なくとも魔王様と四天王が全て揃ってから

 最低でも1年、下手すれば5年以上かかるだろう

 あれは貴様と同様かそれ以上の化物だ


Q、少し震えているけど大丈夫

A、あれにはトラウマがある

 せっかく集めたワイバーンの群れやレッドドラゴンを見つけ次第狩り尽くされてしまう

 その上、うちより上位の魔族組織をしょうもない理由で潰す

 一番有名なのが盗賊ギルド『夜の帳』だ


ここからは非公開の質問

Q、アルフレットの能力はどの程度把握している

A、『炎の勇者』の血筋でもないのに関わらず、

 炎の剣を使用、上位種のドラゴンも相手にならない力の持ち主

 魔族側では『炎の勇者』の再来として位置づけている


Q、ヒーロー、怪人という単語に聞き覚えはあるか

A、ない、初めて聞く単語だ


ありがとう、質問は以上よ。じゃあさようなら。


以上の話が百香が魔族の隊長ことガウロンから聞き出した情報だ。

実際は百香が拷問を行いながらのやり取りなので、泣き声や血しぶきや打撃音が混じっているが、表現すると鬱になるのでカット。


「だいたい、こんな感じね。」


「かなり根深いわね。それに私達もターゲットみたいだし。」


「でも今の話だと少なくとも『学園』内では安全そうだよね。」


「まあね、国内最強の結界が貼ってあるし、セキュリティレベルも高いし、物理、魔術、情報の面から言っても国一番安全なところだものね。」


「それ修正な。情報に関してだがここにいるフィオはそのセキュリティを散歩気分で突破するぞ。」


「物理に関してはここの3人なら確実に破壊できるだろうし、あんまり安全とは言い難いわね。」


「列人お兄さん、百香お姉さん、2人を不安にさせる様なこと言わないの。まあ、本当のことだけど。」


「アメリア、なにげに君も酷いよね。」


「そもそもそんな物騒な事が出来るのはあなた達だけです。」


ジーニアス、ミランダは自分達が狙われているという事実に対して、少しでも安心できる材料を探し『学園』の存在を話に出したのだが、エレメンタルズ4人の手によって、その安全神話が足元から崩れ去るのを感じた。


「それより、今の話だとアメリアもターゲットじゃないの。

守りについてはなにか考えがあるのかしら。」


ミランダが亜美の身の安全を気に掛け、全員に問いかけるが、そこに列人の呆れた返事が返ってくる。


「えっとね、言っとくけど亜美ちゃんって俺達並みに強いよ。」


「そうね、ぶっちゃけ守られる側じゃなくて守る側なのよね。」


「そうだね。列人お兄さんのプリンセスはフィオさんにお任せするね。」


「え、私プリンセスですか。と言う事はアルくんは白馬の王子様ですか。」


「白馬の王子様は巨大な大八車を引っ張って時速100キロ超で疾走したりしないけどね。」


「ねえ、なんで誰もアメリアの心配しないの、僕らがおかしいの。」


「ジーニアス君、君は報酬に目が眩んでレッドドラゴン2匹、約4トンを運搬する女を心配するのかい?」


「・・・・・」


「ちょっと、アメリア。あなた何やっているのよ。

あなた女の子なんだからもう少し行動に気をつけた方がいいわよ。」


「反省している。でも後悔はしていない。」


「亜美ちゃん、目が¥マークになってるわよ。」


ターゲットにされているにも関わらず、全く心配されていない亜美とその理由を聞いて呆れるジーニアスとミランダ。

亜美は自分が心配されていない事を全く気にしていない模様。


「それと気になったんだけど、魔王軍って事はそれなりの数がいるってことだろう。

しかも軍師までいるそうだ。つまり組織でそれもかなりでかい。

俺はそんな組織に手を出した覚えなんてないんだけどな。」


「多分、無意識でやってるわね。しかも肩がぶつかったとかそんな理由で潰したんじゃない。」


「俺をなんだと思ってやがる。さすがにそんな理由で潰したりはしない。」


「えっとアルくん、『夜の帳』が潰された理由って、お土産をスられそうになったからですよね。」


「ああ、連帯責任だな。まあ世間的にも潰して問題ない組織だったし。」


「潰される理由が哀れすぎる。そりゃ魔族も警戒するよ。」


「本当にね。迂闊に手を出したら潰されるのが目に見えてるもの。」


裏の大物組織をしょうもない理由で潰す列人に対して呆れる2人。

本来潰されても哀れまれる様な組織ではないのだが、それでも哀れまずにはいられないジーニアスとミランダである。


「それと気になったのが百香が狙われる理由だけど、『炎の勇者』の末裔の血が必要なんだよな。

モニカの家ってそういう血筋なのか?」


「ああ、そうだよ、レットさん。

元々この国は『炎の勇者』が建てたとされている。

公爵家っていうのは元々王家の者で王になれなかった者が貴族にさせらてたり、王女が貴族に降嫁される際の嫁ぎ先となる為にできたんだ。

つまり王家の次に『炎の勇者』の血が濃いとされるわけだよ。

それで王家及び公爵家が狙われたわけだと思う。」


「つまり、今後も百香は狙われる可能性があると。」


「レットさん、心配なの?」


「ああ、狙ってくる敵と巻き込まれる俺達がな。」


「「「「「・・・・・」」」」」


こちらも全く心配されていないが、百香については昨日1人で魔族を殲滅したという実績がある為、列人の暴言について何も言い返せない面々である。


「最後にジーニアス君とミランダさんに確認したいんだが。」


「なんですか、レットさん。」


「君達の今後の行動についてだ。

君達はターゲットになっているし、馬鹿騎士と二股王子もターゲットらしい。

その上、現国王も狙われている。

さすがに君達が知らんぷりできる事態ではないと思うんだけど、情報のソースが田舎の怪しげなハンターでは信用性に欠けるだろう。

しかも犯人の証言だけでなんの裏付けもしていない。

それに君達を守る手段も必要だ。」


この列人の発言にジーニアスとミランダの顔が引き攣る。


「馬鹿騎士と二股王子って、不敬罪待ったなしだね。」


「悲しいけどそう言われても仕方がない事をしているわ。あの二人。」


「君達の安全を考えるなら『学園』に戻るのが一番だと思うが、帰り道にまた暗殺者に狙われる可能性がある。

安全だけ考えるならコル村に来ると言う選択肢もあるけど、貴族で学生の君達には難しい。

できれば他のターゲットにも警戒を呼びかけたいが、情報のソースが怪しすぎて報告できない。」


「「・・・・」」


列人の懸念に対してしばらく考え込む2人。

先に口を開いたのはジーニアスである。


「僕はコル村に行きたいかな。

『学園』については卒業までの単位はとってあるし、こっちの方が研究材料が多そうで楽しそうだ。

なにより、ここにはモモカさんとアメリアがいる。

僕はもう二度と友達を無くしたくないからね。」


「私は『学園』かな。

やっぱりギルバートやトーマスには危険を知らせておきたいの。

それに私まだ卒業までの単位とか取れてないし、ちゃんと卒業はしておきたいから。

あとはあなた達にも王都での伝手があった方がいいでしょう。

私とジーニアスがそれぞれ王都とコル村にいれば連絡も取りやすいだろうし。」


ジーニアスは研究と友人の為、ミランダは皆の安全と将来の為と実に2人らしい動機であった。

こうして2人の若者の新たな道が決まった。

ジェッ○アッパーや車○飛びは昔あった某有名ボクシング漫画のネタです。

これだけで筆者の世代がわかると思います。

ちなみにこの漫画を書いた漫画家様の作品の中で筆者が一番好きなのは小宇宙を燃やしながら戦う少年達の話です。

筆者は好きな作品しかネタにしませんが、こういうの事の加減が分かっておりませんので、もしかしたら不快に思う方もいるかもしれません。

不快に思ったり、著作権的に問題がある場合は報告頂ければと思います。

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