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067_最重要危険人物

本日2話目です。


今回は列人がちょっとだけ戦闘します。

一般人 (ジーニアスとミランダ)から見た列人の実力について書いています。

067_最重要危険人物


列人達の買い出しが終わったのは夕方の事だ。

これから襲撃者をおびき出すため帰り道へと向かうのだが、この時当然グレートサイクロン号も持っていくことになる。


「さあ、みんな乗ってくれ。我が愛車グレートサイクロン号だ。」


「ねえ、列人。あなた恥ずかしくないの、そんなダッサイ名前つけて。」


「確かに、いつ聞いてもこの名前はないよね。」


「え、そうですか。私は結構ありと思いますよ。」


「「・・・・・・」」


「ん、どうしたのお二人さん。ぼーっとして。」


「ごめんなさい、レットさん。この普通とはだいぶ違う大八車はなんですか。」


「グレートサイクロン号だよ。」


「いえ、そうではなく。」


「グレートサイクロン号だよ。」


「すごいですね。なんですか、この巨大な大八車は。

この鉄同士の接合部とか鉄を溶かし合わせているんだろうか。

どれだけの熱量を出せばここまで見事に接着されるんだろう。

それからタイヤの近くに螺旋状の金属は何のためについてるんだろう。

それからこれだけの巨大な車を動かすための動力は一体何だろう。」


「ああ、鉄同士がくっついているのは俺の炎の術で溶接したから。

タイヤの近くの金属はサスペンションって言ってそれで荷台への衝撃を緩和するんだ。

それから動力は俺だ。」


「なるほど、実に興味深い。」


「興味深い、じゃないわよ。動力がレットさんってどういう事よ。」


「ああ、懐かしいな。私も最初はこんな反応していたなぁ。」


「アミさんもいい具合に常識無くしましたよね。」


「できれば常識とは墓まで添い遂げたかったよ。」


グレートサイクロン号を見たジーニアスはその構造や製造方法に興味を持ち興奮する。

それをミランダが常識的にツッコミを入れる。

その光景を見た亜美が自分が無くしたもの(常識)に思いを馳せるのであった。


「じゃあ、みんな乗ったかな。今日は馬鹿共(襲撃者)をおびき寄せるため、どん亀走行で行くからな。」


「ちなみに何キロよ。」


「時速10キロ。」


「なるほど、見事にどん亀ね。」


「えっと、レットさん。普段はどのくらいの速度で走っているのかしら。」


「平均時速100キロくらいかな、慣れない人がいる場合は半分に抑えるけど。」


「・・・・・」


「なるほど、その時の速度も是非体験してみたいな。」


「ちょっと、ジーニアス、あんた正気。」


「いや、研究者心がくすぐられるだろう。」


「私にそんなものはないわよ。あんたここに来て人格変わった。」


「多分、素が出ているだけだよ。」


「よし、じゃあまずは目的地を目指しつつ手頃なモンスターを狩ろうか。」


「じゃあ、私達夕食の準備してるから。」


「あ、モモカさん。私も手伝います。」


「百香お姉さん。包丁どこだったっけ?」


相変わらずグレートサイクロン号に興味津々のジーニアスと常識がある故に今目の前にある非常識に頭痛がするミランダ。

それをまるっと無視して、夕食の準備を始める百香達と列人が目的地へと向かう。

少し進むとウルフの群れに遭遇した。数にして50体。

いつもならグレートサイクロン号でひき逃げするが、時速10キロではさすがに無理だ。列人は車を止め前へ出る。


「よし、手頃な数だね。じゃあ今回は俺1人で行くから。」


「うん、わかったわ。それ終わったら夕御飯ね。」


「今日はシチューですよ。」


「列人お兄さん。行く前に火を起こしてくれる。」


「ちょっと皆さん、ウルフ50体だよ。なんでそんなに落ち着いているの。」


「そうよ、みんな。戦闘準備よ。」


「ジーニアス様、ミランダ様、列人がやるから問題ないですよ。」


「それよりご飯です。アルくんのお嫁さんとして美味しいものを作らないと。」


「列人お兄さん。もうちょっと火強くして。」


「あいよ、亜美ちゃん。こんなもんかな。じゃあ行ってくるよ。」


「こうしちゃいられない。僕らも行くよ。ミランダ嬢。」


「ええ、ジーニアス。レットさんもうあんなとこまで行ってる。」


先にウルフの元に向かった列人を慌てて追いかけるジーニアスとミランダ。

ウルフの手前30mほどの地点で待機している列人に合流。

追いかけてきた2人に列人が声を掛ける。


「やっぱり来たね、2人とも。今回は取り敢えず俺の実力を見せるから2人は待機で頼むね。

もし俺がウルフを後ろに逸らしたら百香達の方に行かない様に牽制してくれると助かる。」


「「わかりました。」」


勿論列人はウルフを逃がすつもりは欠片もない。

だが2人にちゃんと仕事を与えて置かないといけないとも思った。

2人とも基本的にいい子だし、戦闘能力もそれなりにあるらしい。

そんな子がただ守られているだけというのは、本人達にとってなかなか堪えるというのが出発前のやり取りでわかったからだ。

列人は少しずつ2人の性格を把握していた。


「じゃあ、いってくるよ。『炎槍』」


列人の手元に巨大な炎の槍が出現し、勢いよくウルフの群れに飛来する。

ウルフの群れの先頭の10匹ほどが炎に飲まれ行動不能になる。

群れの動きが乱れたのを確認して列人がウルフの群れに突入する。

列人は目にも止まらぬ速さでウルフに近づき次々を首を跳ねていく。

そして1分もかからないうちにウルフの群れは全滅した。

それをミランダは呆然と、ジーニアスは目を輝かせながら眺めていた。


「・・・・・」


「ねえ、ミランダ嬢。なに、あの炎の槍。ギルバートでもあの威力は出ないよね。」


「・・・ええ。」


「それから突入の時の速度、君の身体能力強化であの速度出せる?」


「・・・無理ね。」


「それからあの剣さばき。変わった形の剣だけどおそらく斬撃に特化してるんだろう。

それを活かして首を見事に一太刀、すごい、身体能力も技術も超一流だ。

これじゃ、僕らが子供扱いされるわけだ。」


「・・・ジーニアス、私はあなたもすごいと思うわよ。」


「ミランダ嬢?なんのことかな。あ、レットさん戻ってきた。」


「・・・・」


ミランダは列人の力を見てすごいと思う反面、怖いと思った。

ジーニアスの様に純粋にその力を分析し賞賛する気にはなれなかった。

最重要危険人物、盗賊ギルドを一夜で壊滅させた男、ジーニアスが話していた都市伝説が本当であった事に震えが止まらないミランダであった。

ジーニアスとミランダでは列人に対する見方が異なります。

ジーニアスは単純に凄いものは凄いと考えられます。

ミランダは常識から逸脱した力やそれが自分達に向いた時の事を考えて恐れを抱くタイプです。


普通はミランダの様に自分より遥かに大きな力には無条件で恐怖を抱くと思います。

どちらかといえばジーニアスの反応が非常識と言えます。

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