063_学友との再会
今回は再びバンの街にモンスター素材の販売に行きます。
063_学友との再会
バクラの決断後、今日はその場で解散となりそれぞれの作業に戻った。
バクラはギルドマスターの業務引継ぎ及び引退の手続きの為、しばらく手が空かなくなるとのことだ。
フィオは列人達が持ってきた素材の販売先の確保及び素材価格の計算、書類の作成に追われる事となった。
販売先への素材の受け渡しはバンの街のギルドに依頼するが、販売先をあらかじめ決めていたほうが手数料が安く済み、売れ残りを防げるためである。
列人達は解体された素材の運搬の準備の為グレートサイクロン号の整備。
それからマリアやご近所に素材販売の為にバンの街に行く旨を連絡する事にした。
この時勿論、村に不足しているものがないかの確認も忘れない。
後は列人の折れた刀の打ち直しだが、これは列人自身が自分の炎を使って鍛え直す。
列人は地球にいた頃は捨て子でヒーローの施設で育てられたが、その時列人を引き取ったのが育ての親で刀職人の赤坂匠である。
列人は赤坂匠から刀鍛冶の手ほどきを受けている。
今回バンの街に行くメンバーは列人、百香、亜美、フィオの4人だ。
バクラは引継ぎ業務がある為、今回はパスである。
日時は解体作業が終わる2日後を予定。
その間にフィオが素材全ての買取先を確定させたことに一同は驚愕させられた。
フィオ曰く情報検索で国中のニーズを調べそこに売り込みをかけたらあっという間に捌けたそうだ。
サラッと言ってはいるが国内のニーズを全て調べ上がるなどたったの2日でできる作業ではない。
それに販売先の目星が付いたとしても連絡先の把握に苦労するはずだ。
フィオはそれを王都の役所の連絡先名簿を検索することで解決した。(立派に犯罪行為である)
そして2日後
4人はバンの街へと出発した。
今回も泊りがけの予定である。
移動手段はお馴染みグレートサイクロン号で素材を満杯に詰めており、やや過積載気味であるが動力源である列人の体調が回復した事により出力が上昇している為、特に問題なく移動できる。時速100キロで。
エレメンタルズメンバーはもう慣れたものでこの程度ではもう驚かない。
バンの街に到着後(やはり途中でモンスターをひき逃げしながら)
今回は素材を列人のインベントリリュックに入れた。
普段リュックにはあまり生ものを入れたくないのだが今回は仕方がない。
ギルドまでの道のりはフィオが前もって連絡や事務手続きをしていたのでとてもスムーズだった。
バンの街のギルドでの荷物の受け渡しも滞りなく終了。
素材の販売代金は受け渡しが終わり次第振込まれるとの事。
この後はそれぞれ買い出しを行い、観光をと思っていた矢先のことだ。
一同の背後から2人の男女の声が聞こえてきた。
「アメリア!アメリアだよね!」
「あ!本当だわ。アメリア!」
その声に列人達は振り返るとそこには灰色の髪と金の瞳の知的な美青年と水色の髪と瞳を持つ綺麗系美女が立っていた。
それを見た亜美は酷く驚いた様子で2人に話しかける。
「ジーニアス様、ミランダ様、どうしてこちらにいらっしゃるんですか。
『学園』はどうしたのですか。」
亜美が驚くのも無理はない。
今は『学園』は1学期が始まったばかりで目の前にいる男女、ジーニアスとミランダはここにはいないはずだからだ。
そんな亜美にジーニアスとミランダは少し興奮しながら返事をする。
「それはこっちのセリフだよ。どうして退学なんかしたんだよ。」
「そうよ。相談もなく、水臭いじゃない。」
「おっと、ごめん、亜美ちゃん。この人たちは?」
「あ、列人お兄さん。紹介するね。
この方達は私が『学園』でお世話になっていたジーニアス=ウォルト伯爵令息様とミランダ=コースト伯爵令嬢様です。
ジーニアス様、ミランダ様、こちらは私が今お世話になっているハンターチーム_エレメンタルズの列人お兄さんと百香お姉さんとフィオさんです。」
亜美がそれぞれの紹介をし終えると列人が続けて挨拶をする。
「お目にかかれて光栄です。
亜美ちゃんが『学園』でお世話になったとの事で、感謝の言葉もありません。
私はコル村でしがないハンターをやっております列人と申します。
こちらは同じチームの百香とギルド職員のフィオです。以後お見知りおきを。
あと百香はちょっと人見知りがありましてローブを外せない無礼をお許し下さい。」
列人は普段使わない様な礼儀に叶った言葉でジーニアス達に挨拶をする。
ここで列人と百香はアイコンタクトで話す。
(いいか、百香。今彼らに正体がバレると王子にも居場所がバレる可能性がある。
できればモニカがここにいる事は知られたくない。
人見知りで誤魔化すから顔と声はなるべく出すな。)
(了解、対応頼むわよ。)
ちなみに列人の中では王子は未だに容疑者の一人である。
「お目にかかれた事、光栄に存じます。
コル村でギルド職員をしているフィオと申します。
『学園』では友人のアミによくしていただいたようで、誠にありがとうございます。
積もる話もございましょう。もしよろしければ場所を変えてお話されませんか。」
フィオの言葉に今度はジーニアスとミランダがアイコンタクトをする。
(まずは相手の様子を確認する所からだ。
レットは極悪人との事だがあのナタル嬢の情報だ。
鵜呑みにせず、自分達で確かめよう。
ただし警戒は怠らない事。)
(わかっているわ。ここはお誘いに乗りましょう。
それにしてもお兄さんにお姉さんねぇ。
そういう趣味じゃない事を願うわ。)
「ありがとう、せっかくのお誘いだしここはお言葉に甘えさせてもらうとしようか。
ミランダ嬢も構わないよね。」
「ええ、是非。久しぶりにアメリアと話せて嬉しいわ。」
「じゃあ、アルくん。こないだ領主様に紹介してもらったお店に行こう。」
「フィオ、お前本当に好きだな。皆様は甘いものはお好きですか。
よければ奢らせて下さい。亜美ちゃんがお世話になったお礼がしたい。」
そう言ってジーニアス達の意見を確認する列人にジーニアスが答える。
「わぁ!それは嬉しいな。僕って頭脳派だからすぐに糖分が欲しくなるんだよね。
すぐ肉が欲しくなるトーマスと違って。」
「いない人間の陰口はよしなさい。みっともない。
ごめんなさい、ではご馳走になろうかしら。」
このやり取りにすぐ肉が欲しくなる列人は何とも言えない表情をしていた。
それから亜美とジーニアスとミランダの3人は近況報告等をしながら歩き、その間残りのメンバーは無言を貫きながら目的の店まで到着した。
店の中に入るとテーブル席に案内されたので、一同は席につき、フィオが早速注文を始める。
「えっと、この間はここからここまで食べたから今回は取り敢えずこのページを全部下さい。」
あろう事かページでの注文である。その数は10品、さすがに他の者はドン引きである。
「随分注文されるのね。まさか一人で?」
ミランダが驚きと共に疑問を投げかけると
「はい、ここのケーキとっても美味しいんですよ。」
「あんまりそういう事するとエヴァさんに報告するぞ。」
「アルくんの意地悪。こういう時くらい思いっきり食べてもいいじゃないですか。」
「はは、それじゃ僕達も注文させてもらっていいかな。」
「はい、お好きなものをどうぞ。フィオ以外は。」
「え~~~!アルくんひど~い。」
「うるせえ。そんだけあれば十分だろうが。」
極悪人_レットと対峙するつもりでいたジーニアスとミランダであったが、フィオと列人の何とも気が抜けるやり取りに毒気を抜かれるのであった。
『058_閑話_その頃『学園』では』にて登場したジーニアスとミランダの再登場です。
極悪人?列人と遭遇した彼らの運命は如何に。




