052_『アナスト』イベントについて
今回は『アナスト』の説明回です。
物語を進める前に情報の整理が必要だと感じました。
052_『アナスト』イベントについて
列人達は新生エレメンタルズの結成に伴い今までの情報をまとめてみる事にした。
それに伴い、前世の事、ヒーローの事、『アナスト』の事、列人達が知りうる情報を全てフィオとバクラに共有した。
その際バクラからこんな質問が出た。
「お前らの大体の事情はわかった。ところでその『アナスト』だったか。
具体的にこれから何が起こるのかは分かっているのか?」
「そうですね。私も知っておきたいです。」
「ああ、そういえば俺もイベントに関しては全然知らなかったな。
悪いが百香、亜美ちゃん、説明を頼めるか。」
『アナスト』に関してバクラ、フィオ、列人が百香と亜美に質問する。
確かにイベントの事を共有しておけば、今後の予定が立てやすい。
「じゃあ、まず私から説明するわね。亜美ちゃんもなにか気になった点があったら指摘してね。」
「うん、わかった。百香お姉さんお願い。」
「まずイベントの流れね。
最初は攻略対象、えっと仲間との交流を1年間掛けて深めていくの。
この期間は去年から私がコル村に来た辺りの期間ね。
そこで細々したイベントをこなしながら仲間や自分を強くしたり絆を深めたりするの。」
「舞台はこの国の『学園』で一応私ことアメリアがヒロインと言う事になっているね。
なんか自分で言うとすごく恥ずかしいんだけど。」
「まぁ、確かに自分でヒロインとか言ってる子ってかなり痛いよな。」
「ちょっと、列人お兄さん、ひどいよ!私だって別になりたくてなったわけじゃないのに!
大体子供にしか見えない子とどうやって恋愛しろって言うの!」
「あ、ごめん。そう考えると確かに亜美ちゃんにとっては苦行だよな。」
拗ねる亜美に対して列人は平謝りする。
亜美はこう見えて前世では80年生きて天寿を全うしている。
『学園』の子供どころか下手したらバクラすら子供に見えるのである。
「こほん、話が逸れたね。私が目指したのはノーマルエンドの魔王撃破。
つまり恋愛一切なし、仲間とはあくまでも友達同士の関係っていうルートなの。
その時できれば、モニカ=ローゼスベルクとも友人関係になって悪堕ちを防ぎたかったんだけど。
あの子、良い子だったし。」
「まあ、あの裁判は正直どうにもならないだろうな。
元々有罪ありきで進んでいたし、唯一引っくり返せる可能性のあった馬鹿王子は使えないし。」
咳払いをして説明をする亜美に対して、どこか刺のある言い方で列人がコメントをする。
それを少し不思議に思ったフィオがこそこそと百香に話しかける。
「ねぇ、モモカさん。なんでアルくんあんなにきつい言い方するかわかりますか?」
「あぁ、あいつね、二股とか大っ嫌いなのよ。
普段ふざけた態度とっているからわかりづらいでしょうけど、基本は真面目なの。」
「じゃあ、なんでいろんな女の子に優しくしてるんですか?
アルくんはハーレムを作る気だと思ってたんですけど。」
「フィオちゃん、それ列人の前で言わない方がいいわよ。
あいつ冗談でそういう事言うのはセーフだけど本気で言うと機嫌悪くするから。
ちなみにあいつ、別に意識して優しくしてないからね。あれが自然なのよ。」
「天然ジゴロって奴ですか。私の旦那様は罪作りです。」
「おい、テメーら。丸聞こえなんだよ。噂話は本人がいないとこでやりやがれ。」
「でも安心して、フィオちゃん。列人が好意的に思っているのはフィオちゃんだけだから。」
「え、そうなんですか。アルくんはほんとに照れ屋さんですね。」
「よそでやれって言ってんだろうが!人の話聞けや!」
「こら!脱線しないでよ。話続けるよ。」
「・・・・」
本人の前で堂々と噂話をする百香とフィオに対してツッコミを入れる列人。
それに業を煮やす亜美が3人を叱りながら話を続ける。
ちなみにバクラは我関せずで黙っている。まさしく君子危うきに近寄らずである。
「えっと、どこからでしたっけ。」
「ノーマルエンドを目指していたってところからだ。」
「そうでしたね。ノーマルエンドに関しては私が『学園』を退学するから実行はほぼ不可能になるんだけど、戦力だけ見れば列人お兄さんと百香お姉さんの方が圧倒的に強いから魔王攻略だけ考えれば実はこっちの方が効率が良かったりするんだよね。
ただ『学園』にも友人はいたので心配ではあるかな。」
「その『学園』でなんか危険なことがあったりするのか?」
「うん、『学園襲撃イベント』っていうのがあるよ。
春休み明けてしばらく経ってからだから5月くらいかな。
その時はできれば『学園』にも顔を出したいかな。」
「じゃあ、一旦今後のイベントの流れを説明しましょうか。大まかな流れを書いていくから。」
そう言って百香は紙とペンを取り出しイベントを書き出していく。
大まかなイベントは以下の通りだ。
・『コルト病イベント』
現在発生中、現状としては『放浪の医師ゲオルグ』の捜索中。
・『学園襲撃イベント』
5月頃発生、課外授業で『学園』から離れたヒロイン一行が魔王の部下である『魔族』の手によって多数のモンスターに襲われる。
・『国王暗殺イベント』
6月頃発生、魔族の手引きにより王城に多数のモンスターが襲撃、このイベントで国王が死ぬルートもある。
・『暗殺者アルフレット襲撃イベント』
7月初頭に発生、悪役令嬢モニカの依頼を受けた暗殺者アルフレットによる『学園』が襲撃されるイベント。
アルフレットルートに入っていれば発生しないが代わりにヒロインは王子一行と戦う事になる。
アルフレットは敵の時でも味方の時でもゲーム屈指の強さである為、このイベントはゲーム中盤の最難関イベントとなっている。
逆にアルフレットルートだと超ヌルゲーである。
今回はアルフレット=列人である為、対策不要。
・『スタンピードイベント』
『学園』の夏休みに入ってしばらく経った頃に発生、コルト大森林から無数のモンスターが王都に向かって押し寄せてくる。
アルフレットルートではコル村が最終防衛ラインとなるが他のルートだとバンの街が最終防衛ラインになっている。
その際、コル村はモンスターの攻撃より全滅する。
ちなみに亜美はノーマルルートでも皆を説得してコル村を最終防衛ラインにするつもりだった。
・『悪役令嬢モニカ復活イベント』
『学園』の夏休み明けの9月頃に発生、魔王の封印を解き魔族として『学園』に戻ったモニカが復讐を宣言するイベント。
この時の魔族モニカと一戦交えるのだが、アルフレット程ではないが非常に強力で難関イベントの一つとして挙げられる。
この時魔族モニカを完全に倒すことはできない。
なおこれに関してもモニカ=百香である為、対策不要。
・『魔族四天王イベント』
11月頃に発生、完全復活した魔王がフラム王国を滅ぼす為に手始めとして四天王と無数のモンスターを王都に送り込む。
アルフレット、モニカイベントでストレスが溜まったプレイヤーにサンドバッグを提供する為のイベント。
ゲームの難易度は比較的低めだが、うまく立ち回らないと王都に被害がでてしまう。
完全クリアを目指すプレイヤーにとっては逆にストレスが溜まるイベントでもある。
・『魔王最終決戦イベント』
12月終わり頃に発生、魔王を倒す為には炎の力が必要なのでまずその準備をしてそれから魔王に挑むイベント。
ルートによって準備する物が変わって来るし、魔王との最終決戦場所も変わってくる。
その為、魔王捜索についてもゲオルグ同様自力で行わないといけない。
ここで悪役令嬢モニカと魔王を倒せば晴れてエンディングとなる。
「みんな、大まかな流れはこんなところだけどいいかしら。
あと細々したイベントもあったと思うんだけど流石にそこまでは覚えていないわ。」
「いや、これだけわかれば十分だろう。
取り敢えずやばそうなのは今やっている『コルト病イベント』と『スタンピードイベント』だな。」
「なんか列人お兄さんって、コル村最優先だよね。
普通は魔王復活とかに目が行くのに。」
「ああ、それも気になってるよ。亜美ちゃん、さっきは魔王の復活は1~2年って言ってたけど、予定通りだと後7ヶ月ほどしかないよな。
なんか遅くなる根拠とかあるの?」
「あ、それは魔王を復活させるモニカがいないからもうちょっと掛かるかなって。」
「それより、なんですか!この暗殺者アルフレットって!アルくんはこんな事しません!」
「それにモモカもだ、全く馬鹿げている。」
「・・・なるほどね。列人お兄さんがコル村を守りたいわけだ。」
イベントの内容を見た感想を各々が口にする。
特にフィオとバクラの憤慨ぶりが凄まじい。
フィオは鼻息を荒くして怒りを顕にし、バクラは怒りを押し殺す様に低く唸りをあげる。
このやりとりだけで亜美は列人達と村の皆の絆が如何に深いかを感じ取ることができた。
そんな様子の皆に対して百香が話を元に戻す。
「一応言っておくけど、これはあくまでも私達が前にいた世界での物語の話よ。
必ずしも起こるとは限らないし、別の厄介事が起こる可能性だってある。
だからあくまでも可能性の一つとして対策を考えると言う事でお願いしたいの。」
百香はこの世界を『アナスト』そっくりな異世界と考えている。
その証拠に列人によって『アナスト』のフラグはバキバキに叩き折られている。
『起きる可能性はあるけども絶対ではない』というスタンスでいかないと危険だというのが百香の考えだ。
それについては列人と亜美も同意している事であり、新生エレメンタルズの今後の活動指針でもある。
「では、『アナスト』については以上でいいかしら。」
「ああ、問題ないな。まずは『コルト病』についてだな。
これがコル村で発生したらマジで洒落にならないからな。」
「そうだな、じゃあ一旦休憩して今後の活動計画を話し合うとしよう。」
「では、私はお茶とお菓子の準備しますね。
こないだ買ってきた焼き菓子どの棚に入れましたっけ。」
「フィオ、なんで来客用の菓子の事把握しているんだ。アル、フィオに言ったか。」
「いや、言ってない。あいつが自力で調べたんだろう。」
「ふふふん、ふふふん、お菓子、お菓子。」
「フィオちゃん、食べ過ぎちゃダメだからね。」
「ふふ、これがお兄さんとお姉さんの日常か。」
列人達はいつも通り、魔王復活に対する気負いも緊張感も恐れもなくただ能天気に日常を送っていた。
この図太さがある意味彼らエレメンタルズの力なのかもしれない。
ネタバレ
一応、『アナスト』のイベントについて書いては見ましたがこの予定通りにはいかないと筆者は思っています。列人達が度々暴走して予定を破壊するからです。それに任せる筆者もどうかと思いますが。




