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051_新生エレメンタルズ結成

この回で物語の下準備もようやく一区切りです。

051_新生エレメンタルズ結成


3人が泣き続けてから幾ばくかの時間が流れた。

漸く落ち着いた3人は今後のことについて話し合う。


「とりあえず、盗賊討伐の報告からだな。」


「また、あの大八車に乗るんだね。あれってかなり恥ずかしいよ。」


「ストームワンだ。盗品に関しては俺のインベントリリュックに入れれば問題ないしな。」


「お願いだから、盗賊の首をリュックに入れるのだけはやめてよね。」


「さすがに俺だって生もの入れるのは嫌だよ。」


「そういえば、報酬の配分はどうするの。列人お兄さん。」


「三等分でいいと思うが、百香はどう思う。」


「異議なし。それと亜美ちゃん。口調、昔と同じに戻したんだね。」


「うん。お姉さん達と話すのはこの口調が一番しっくりくるから。」


「いいね。昔を思い出すよ。なあ、婆さんや。」


「それ、私に言ってんの。列人どうやら死にたいようね。」


「列人お兄さん。私はリアルにおばあさんだったんだけど。」


列人と百香のいつもの調子につい笑みがこぼれる亜美である。


ストームワンを走らせる事30分、コル村に到着した。(時速100キロ)

今回の件は複数の国から賞金を掛けられている大物犯罪集団だった為、口座振込であればどこのハンターギルドでも行える。

列人はいつも通りフィオの受付に向かう。

今のフィオは仕事モードである為、キリッとした雰囲気になっている。


「こんにちは、レットさん。『砂漠の荒鷲』の討伐、完了したんですか?」


「ああ、無事完了したからその報告。」


「では、カードの提示と証拠品をお願いします。

カードの提示は依頼参加者全員でお願いします。」


「おう。」

「はい。」

「お願いします。」


列人、百香、亜美がギルドカードを提示する。

フィオはギルドカードを見ながら列人達に少し呆れた風に質問する。


「今回の参加者はレットさん、モモカさん、アミさんの3人で宜しいでしょうか?」


「ああ、それでいい。」


「あのですね。アルくん。盗賊500人相手を3人でするとか普通は有り得ないんですよ。

そんな非常識に一般のハンターさんを巻き込んじゃダメじゃないですか。

モモカさんもアルくんに引っ張られて常識を置き去りにしないでください。」


「フィオ、仕事モード剥がれてるぞ。それにしても酷い言われようだな。」


「フィオちゃん、こいつを一緒にしないでくれる。これでも常識は弁えているつもりよ。」


「ええと、やっぱり列人お兄さんも百香お姉さんもそういう扱いなんだね。」


亜美の発言を聞いてフィオが一瞬目を見開き、すぐに笑顔で亜美に質問をする。


「アミさん、アルくんとモモカさんと随分親しいようですが、どういったご関係ですか。

もちろんギルド職員としてこういった詮索は不適切である事はわかっています。

しかし、アルくんのお嫁さんとして、是非とも知っておかなければなりません。」


「え!列人お兄さん、結婚してたの。水臭いよ、それなら言ってくれれば良かったのに。」


「アルくん、まさかお嫁さんの私がいる事を内緒で女の子に手を出そうとしてたんですか。

アルくんが何人お嫁さんを作っても私は構いませんが、ちゃんと私に相談してからにして欲しいです。

それに私がいることをちゃんと言っておかないと、相手の女性に不誠実です。」


「わあ、列人ってサイテー、列人の色情魔、列人のスケベ。」


「おい、そこの女子二人。そろそろやめないとマジで名誉毀損で訴えるぞ。」


「百香お姉さん、絶対面白がってるよね。」


亜美が加わった事でいつもより更に騒がしくなるエレメンタルズの面々に少し頭を抱えたくなる列人と、その光景を少し懐かしそうに眺める亜美である。

ただ、頭を抱えるのが総司ではない事に僅かな寂しさも憶えた。


そんなカオスな状況を打ち払う為に列人は話を切り替える。


「亜美ちゃんについては、奥の部屋で話がしたい。赤坂列人関連だ。」


赤坂列人の単語を聞いた瞬間、フィオの表情が真面目なものに変化する。


「分かりました。レットさん。至急準備をします。

マスターも呼んできますので、少々お待ちください。」


「ああ、頼む。」


しばらく待つと準備を終えたフィオが戻ってきて、奥の部屋へと案内された。

そこにはバクラが待っており、出会い頭に話を始めた。


「よお、アル。まあ、座ってくれ。今回はアカサカ=レット関連の話だそうじゃないか。

フィオ、長くなるだろうし全員の飲み物を用意してくれ。」


「はい、わかりました。マスター。」


「それから、ここからはプライベートだ。話しやすいように喋ってくれ。」


「わかった。バクラ。それじゃ説明を。」


「待て、アル。質問はこちらからだ。」


「・・・わかった。バクラ、頼む。」


バクラの表情が途端に鋭くなり、思わず列人が押し黙る。

バクラはそんな列人に構う事なく話を続ける。


「王都所属のBランクハンター、アメリア。

呼び名はアミ、特技は回復術と弓、複数の高難易度依頼をこなしており、その中には貴族の依頼も含まれている。

現在は王都の『学園』に在籍、成績は優秀、ギルバート第一王子他数名の上級貴族と懇意にしている。

そして、モニカ=ローゼスベルクの修道院送りの一因となった人物。

以上が俺が調べたお前さんの情報だが、間違いないか、アミ。」


「・・・はい、間違いありません。」


それを聞いたバクラは普段しないような悪い笑みを浮かべ、


「困るんだよな。

アルはうちの稼ぎ頭だし、モニカは何か利用できるかもと手元に置いているが、お前みたいなのが近くにいるとどんなトラブルがあるかわかったもんじゃない。」


これを聞いた瞬間、亜美の表情が抜け落ちる。

それを見たバクラが悪い表情を更に深くする。


「ああ、誤解するな。何も悪い話じゃない。そこにいるモニカが目的だろう。

お前さん貴族様とコネがあるんだろう。

俺にうまい汁吸わせてくれるならそこのモニカは好きにして「ふざけないで!!!!」」


バクラの言葉に耐え切れなくなった亜美が叫ぶ。


「あんたみたいな悪党に百香お姉さんを好きにはさせない。

列人お兄さんもなんで黙ってるの?こんな奴いつもみたいにやっつけようよ。」


それを聞いたバクラの表情が緩む。

列人と百香も心なしか笑っているように見える。


「ふ、ははは、すまんすまん。今のは自分でも少し悪趣味だったと思う。

アルが連れて来たんだから大丈夫だとは思っていたが一応確かめておきたくてな。」


「ふふふ、亜美ちゃん。ありがとう。私の事守ってくれるのね。」


「しかし心外だ。これじゃ俺が権力に屈した腰抜けみたいじゃないか。」


この時、亜美は自分が嵌められた事に気づき顔を真っ赤にした。


「ひどい!列人お兄さんも百香お姉さんも知ってたの。」


「ああ、別に打ち合わせしたわけじゃないけど、バクラの演技が下手くそすぎてすぐにわかった。」


「ほんと、可笑しい。全然バクラさんのキャラじゃないもの。

笑いを堪えるのが大変だったわ。」


「まあ、知らない人が見たら、マスターって悪人面ですから。

アミさんの反応が自然だと思いますよ。ふふ。」


「お前ら、随分ないいようだな。

まあ、これでわかっただろう。

ここにいる人間は全員アルとモモカの味方だ。

事情を説明してくれるか?」


3人はバクラとフィオに今までの経緯を説明した。


「つまりアル。簡単に言えば、アミは別の記憶の世界におけるお前達の後輩と言う事でいいんだな。」


「ああ、その認識で問題ない。」


「そしてお前達とは同類、あの馬鹿みたいな力も使えると。」


「馬鹿みたいってのは心外だがその通りだ。」


「それでアミ、お前はどうしたいんだ。」


バクラが亜美に水を向ける。

亜美は少し考え込んだ後に返事をする。


「・・・もし、お兄さんとお姉さんが許可してくれるなら、私はエレメンタルズに入りたいです。」


「『学園』はどうする。エレメンタルズの本拠地はこのコル村だ。

王都にある『学園』に通いながらコル村での活動は不可能だ。」


「『学園』は退学しようと思います。

理由は『モニカ=ローゼスベルク様を修道院送りにした事に責任を感じた』とでもしておきます。

元々とある目的があって入学したんですけど、もう必要なくなりましたから。」


「とある目的というのは?」


「・・・魔王を止める為の戦力確保です。」


「魔王だと!!」


「はい。おそらくですが近いうち、1~2年くらいの間に魔王が復活します。」


亜美の口から発せられた爆弾発言、魔王復活の可能性、それを告げられた一同は驚愕した。

驚きから立ち直ったバクラが亜美に質問を続ける。


「魔王が復活するという根拠は?」


「別の世界の記憶を元にした推測としか言えません。

はっきり言ってしまうと、根拠を示す方法はありません。」


「その記憶を元に考えていた、魔王に対抗する手段は?」


「伝説に出てくる『炎の勇者』、現状その可能性が最も高かったのが『学園』に在籍する第一王子ギルバート=フラム=ルージュ殿下。」


「今、魔王が復活したとして、現状で対応可能か?」


「第一王子では対応は不可能と推測します。」


「第一王子以外では?」


「列人お兄さんの炎の刀であれば、おそらく対応可能かと。

確実を喫するならヒーロー時代の水準にまで力を取り戻したいです。

もちろんサポートは不可欠ですので、私達が全力でバックアップします。」


「わかった、ありがとう。

・・・くそ、結局アル便りかよ。情けねぇ。」


「・・・・」


バクラは亜美との問答を終え、悔しそうに呟く。

フィオも俯き、無言で悔しさを漂わせる。


そこへ場違いに明るい声がする。列人である。


「なるほど、つまり俺達全員で魔王をぶちのめせばいいんだな。」


「あのな、アル。俺達はお前だけを魔王なんぞと戦わせる事になることをだな。」


「いや、戦いって何も実際に相手を倒す事だけじゃないだろう。

物資の補給、情報収集、武装の整備、衣食住の管理、所謂兵站だな。

今、俺が思い浮かべただけでもこれだけあって、俺1人じゃとてもできない。

これに関してはみんなが頼りなんだ。」


「そういうことね。列人が言いたいのはこういうことでしょう。

実際に戦うのはきっと私達エレメンタルズなんだろうけど、それを支えてくれる人達がいて、初めて万全に事を成せる。」


「『ヒーローは市民の命を守り、市民はヒーローの心を守る。

ヒーローは守ると共に守られている。それを忘れたらヒーローはヒーローじゃなくなる。

自分達だけが戦っているんじゃない。みんな戦っているんだ。』

だったかな。ヒーロー研修でみんなが習うやつ。

私も総司師匠と百合先生によく復唱させられてたっけな。」


「そういう事、バクラ、フィオ、これからも頼りにしてるぜ。」


「・・・アル、お前。」


「アルくん、うぅ、私、わたし。」


列人の言葉にバクラは照れくさそうに頭を掻き、フィオは感極まって涙ぐんでいた。

この時列人はいい事を思いついたとばかりに笑みを深くしながら、


「おいおい、フィオ。大げさだな。うん、決めた。

この5人で『新生エレメンタルズ』を結成する。」


そう宣言すると全員を見渡す。


「百香、異存はないか?」


「異議なし。」


「亜美ちゃん、異存はないか?」


「異議なし。」


「バクラ、異存はないか?」


「・・・異議なし。」


「フィオ、異存はないか?」


「はい、異議なし、です。」


「よし、満場一致で新生エレメンタルズ結成をここに表明する。

目的はコル村の平和、ついでに世界平和。」


なんとも列人らしい締りのない表明である。

こうして異世界にヒーローチーム_エレメンタルズが結成された。

これでようやく物語が動き出せそうです。

新生エレメンタルズの活躍に乞うご期待。


まだまだ続きますからね。

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