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050_三色の涙

今回は列人達が死んだ後の事について書いていきます。

シリアス成分多めです。

050_三色の涙


「列人お兄さん、百香お姉さん、ぼーっとしない。

今は作戦中ですよ。」


「あ、すまない。突撃する。」


「・・・ええ、援護するわ。」


亜美の声に列人と百香は気持ちを切り替え、ひとまず作戦に集中する事にした。

盗賊団については数が多く、それなりに統率は取れていたが所詮は傭兵に毛が生えた程度の実力。

元ヒーロー3人の前に為すすべもなく蹂躙されていった。

その様子を今からご覧に入れよう。


「なんだ、今のは、全員周囲を警戒。」


「遅い!『火流双破斬』」


亜美の『烈風』により統制乱れた盗賊に列人が突貫する。

列人は強烈な炎を刀に纏わせ、怒涛の斬撃を持って盗賊達を蹴散らしていく。


「なんだと、炎の剣!まさか『炎の勇者』か。」


「まさか、王族か!ありえない。」


「よそ見している暇はないわよ。『オークランス』」


炎の刀を見て怯んだ一部の盗賊目掛けて、百香がすかさず樫の木の巨槍を叩き込む。

直撃したものは即死、そうでないものも余波で大きく吹き飛んだ。


「とにかく炎使いから殺れ!あいつを放っておいたらすぐに皆殺しにされるぞ。」


盗賊達は列人に向かって一斉に殺到する。


「列人お兄さんばかり構っていていいんですか。『疾風しっぷう』」


列人に襲いかかった盗賊に対して、亜美は弓から無数の風の矢を放つ。

亜美の放った矢は寸分違わず盗賊達の脳天に吸い込まれていき確実に息の根を止める。


「やばいぞ、こいつら。お前ら、逃げるぞ。全員散れ。」


「逃がさないわよ。『アイビーバインド』」


百香が得意とする蔦植物の拘束術で逃げようとする盗賊を次々に捕まえていく。

この時の百香の表情はどこか冷めた、一言で言うと冷酷な表情をしており、逃げようとする者への侮蔑が含まれていた。


「まとめて片付けます。列人お兄さん、百香お姉さん、カウント10で退避してください。

10,9・・・・・・」


「百香、退避するぞ。」「列人、了解。」


「・・1,0『晴嵐せいらん』」


亜美が盗賊達の中心に矢を打ち込むとそこから巨大な竜巻が発生する。

竜巻は周囲の物を次々に飲み込んでいき辺りを更地に変えていく。

そして飲み込まれた者は100m程の上空へと巻き上げられていき、あとは落下するだけ。

竜巻に飲み込まれた者の中に生存者は皆無である。

巻き込もれなかった者も落下物によりダメージを受けたり等して無事ではいない。

あとに残ったのは一方的な虐殺である。

彼らはヒーローであるが故、市民に害をなすクズ共に対して容赦がない。

こうして盗賊達は皆殺しとなった。



盗賊の討伐が終わり、今は盗難にあった物品の取りまとめをしている所である。

これと盗賊団の首領の首を持って行くことで依頼完了である。

取りまとめをしながら列人が亜美に質問する。


「いくつか聞きたい事があるのだけど構わないか?亜美ちゃん。」


「まあ、当然ですよね。なんでも聞いてください。

スリーサイズ以外ならお答えしますよ。」


「ああ、亜美ちゃんもそういう冗談をいう歳になったのね。」


「じゃあ、一番大切な事から、総司と百合ちゃんって結婚したの?」


「・・・え!そこですか。」


「亜美ちゃん、列人の言う通りこれはとても重要なことよ。

あの2人相思相愛だったくせになかなかくっつかなかったから。

そうかやっとか。感慨深いわね。」


「そうだね、母さんや、父さんは嬉しいよ。」


「誰が母さんよ!それにあなたが父さん。冗談も大概にしとかないと殺すわよ。」


「・・・そういえばいつもこんなノリでしたね。

はい、列人お兄さんと百香お姉さんが亡くなって、少したった頃に結婚しました。

ちなみに決め手は百合先生が総司師匠を巨乳で誘惑したことです。」


「わぁあああああ!!やめろ!!俺の中の百合ちゃんのイメージが汚れる。」


「百合ちゃああん。そんな子に育てた覚えはお姉さんないわよ。」


「ちなみに百合先生は結構汚れています。

それから総司師匠はむっつりスケベです。」


「「亜美ちゃん!!やめて~~~!!」」


未来の仲間の様子を亜美から聞いた2人はそのあんまりな内容に絶叫する。

そんな2人を見てわずかに笑いながら亜美は話を続ける。


「お兄さん達が亡くなった時は本当に大変だったんですよ。

師匠と先生は荒れちゃって、光太郎さんが怒鳴って、大喧嘩になって。

2人が結婚した時はようやく立ち直ったのかなって少し安心しました。」


「「!!」」


亜美の言葉に列人と百香は絶句する。

総司と百合が荒れて、それを光太郎が怒鳴りつける光景など想像もつかない。

亜美は少し俯き、少し肩を震わせながら話を続ける。


「それからみんな頑張って前を向いて、強くなって、

一人でも多くの人を守る為に闘って、お兄さんとお姉さんの分も守るんだって。

私もヒーローとしての適性があるって後からわかって、」


「「・・・・・」」


列人と百香はひたすら黙って亜美の話に耳を傾ける。

亜美は今にも泣きそうな顔をしながら、列人と百香の方を向く。


「褒めてくれますか。私、すっごく頑張ったんだよ。

列人お兄さんも百香お姉さんも旦那もみんな死んじゃって、辛いことや悲しいこともたくさんあっただよ。

それでもヒーローとして一生懸命みんなを守る為に闘って、私が寿命で死ぬ時にはだいぶ平和な世界になってたんだよ。」


「ああ、亜美・・ちゃん。よく・・・頑張ったな。・・・偉いぞ。」


「ええ、・・亜美ちゃん。とっても・・・頑張ったわね。みんな・・・感謝しているわ。

もちろん・・・私達もね・・・。」


列人と百香が優しく返事をすると、亜美はとうとう耐え切れなくなって、泣きながら百香に向かって抱きついた。


「おにーさん、おねーさん。なんで死んじゃったの。

もっと一緒にいたかった。もっと遊んで欲しかった。

私の旦那にも会って欲しかった。師匠たちの子供の瑞希くんとも会って欲しかった。

どうして勝手にどっか行っちゃったの。

みんな凄く寂しかったんだよ。悲しかったんだよ。」


「・・・ごめんな、亜美ちゃん、・・・戻って・・・やれなくて・・・・。」


「・・・・ごめんね、亜美ちゃん、私・・・も・・・もっと・・・・・遊んで・・あげたかった。」


百香に抱きつく亜美の頭を列人が優しく撫で、百香が亜美の背中をさする。


「うわあああああんん。おねーさん。おにーさん。わあああああん。」


亜美は子供の様に泣きじゃくった。

列人と百香も残して来た者達への悲しみに涙を堪える事ができず、顔をぐしゃぐしゃにしていた。

それからしばらく3人の泣き声が止むことはなかった。

誰かを残して逝くのも、残される方もきっと辛いと思います。

その辺をうまく表現できたか、今ひとつ自信がない筆者です。

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