048_ヒロインの正体
本日6話目です。
今回ヒロインことアメリアとエレメンタルズが出会います。
048_ヒロインの正体
バンの街から帰ってきて3日程が経過した。
コルト病対策の材料は全て集まり、あとはゲオルグ医師の発見を待つばかりである。
「百香、ハンターギルドからの情報なんだが、ここいらに有名な賞金首が現れたって。」
「へえ、なんて名前なの。」
「『砂漠の荒鷲』、デザートイーグルだとよ。」
「何か大昔の拳銃みたいな名前ね。」
「500人規模の大盗賊集団で、そこらじゅうの集落を荒らしてる非常に迷惑な連中だ。」
「なにそれ、コル村の人口より多いんですけど。」
「なあ、こいつら潰しに行かないか?」
「賛成。こんなの近くに彷徨かれたら安心して昼寝もできないわ。」
「じゃあ行くか。『ストームワン』取ってくる。」
「え!あれで行くの。
そりゃあなたが走ったほうが早いけど、あれちょっと恥ずかしいのよね。
私ちょっとローブ取ってくる。」
『ストームワン』というのは、小型のグレートサイクロン号。
つまりただ頑丈な鉄製の大八車である。確かにこれに乗るのは恥ずかしい。
ちなみに百香がローブを取りに行ったのは、先日ナタル令嬢に絡まれた教訓から、エレメンタルズで村の外に出る時はなるべくモニカの姿は隠す事にしたのである。
決してストームワンに乗るのが恥ずかしいからではない。
「では出発だ。目撃情報によるとバンの街手前10~15キロの位置にいるそうだ。」
「スタンバイできたわよ。ああ、知り合いにこの姿は見られたくない。」
「じゃあ、歌っていこう。・・・・ドナドナド~ナド~ナ~」
「私売られるの、しかも牛扱い。」
「今度、黒ブチのローブ作ってやるよ。」
「誰がホルスタインですって!殺すわよ。」
とてもこれから500人の盗賊とたった2人で戦いに行くとは思えない緊張感のない光景である。
そんなゆる~い感じで平野を爆走していると、目的地10キロ手前、30人程度の盗賊とそれに襲われる乗合馬車を発見した。
「ヒャッハー、そこの馬車止まれ~」
「金目の物と女を置いてけ。」
「男はストレス解消のサンドバックだ。」
「ジジ、ババ、ガキはいらねえ。その場で処分だ。」
これを見た列人達は思わず2度見した。
「何か世紀末のモヒカンっぽい連中がヒャッハーしてるんだけど。
こっちに転生してここまで見事なモヒカン見たの初めてだよ。」
「やっぱりあれって珍しいのね。確かに嫌よね。
救世主にひでぶーされそうな盗賊とか。」
この元ヒーロー2人は22世紀の人間なのにやたら20世紀の文化に詳しかった。
「よし、救世主ではないけど、奴らをひでぶーさせに行くか。」
「そうね、でもひでぶーって多分動詞じゃないと思うのよね。」
列人がストームワンでモヒカン共の先頭に突っ込み2~3人跳ね飛ばす。
跳ね飛ばされた側はその場で即死である。
時速100キロ越えの鉄の塊に跳ねられればそうもなる。
「こんにちは、モヒカン諸君。
我々はハンターチーム_エレメンタルズだ。
早速で悪いけど、お前らここで死んでください。」
「コラ、列人。そんな言い方だとモヒカンはともかくあちらの善良な市民の皆様が怖がるでしょう。
ごめんなさい。エレメンタルズが来たからにはもう大丈夫ですよ。」
「ああ、ワリイ、百香。じゃあ市民の護衛は頼んだ。
俺はこいつら全員始末するから。」
「ええ、頼んだわよ。」
戦闘は列人の独壇場だった。
近くのものは刀で切り、逃げようとしたり遠距離から攻撃しようとするものは『火球』で焼く。
5分程度で勝負はつき、今は残党狩りの最中だ。
列人が戦っている間、百香は襲われた市民安否を確認する。
幸い怪我人はいないようだが、百香ある1人の少女の正体に気づいてしまった。
ピンクのゆるふわヘアー、ピンクゴールドの瞳、
身長は低めのスレンダーボデー(貧乳)の可愛らしい少女。
(アメリア、ヒロインがどうしてここにいるのよ。
そういえば今ってゲオルグ医師のイベント時期だ。
それでヒロインも来たってことなの。)
百香が思考の坩堝に落ちているとアメリアが声を掛けて来た。
「ありがとうございます。エレメンタルズさん。
おかげで怪我人も出ることなく助かりました。
見たところ私と同じくらいの年なのに凄いですね。」
「どういたしまして。お名前を聞いてもいいかしら。」
「はい、アメリアといいます。えっと・・・」
「あ、ごめんなさい。うっかりしてたわ。私は百香よ。」
(そうだ。ローブをかぶっているし、彼女は私がモニカだとわからないわ。
このまま百香で押し切りましょう。)
「・・・百香さん、ですか。」
(え!どうしてなのかしら。酷く驚いているみたいだけど。)
「百香、とりあえず盗賊30人抹殺してきたぞ。」
「こら、列人。私だけならともかく他の人が怖がるでしょう。
ごめんなさい、皆さん。こいつは私の仲間だから安全です。」
「・・・列人さん、ですか。」
(え!また驚いている。私達の事を知っている。)
「とりあえず安全圏まで護衛します。
列人もそれでいいかしら。」
「ああ、賛成だ。ヒーローとして市民の安全が第一だ。」
「・・・・ヒーロー・・・・」
何やら唖然としているアメリアの様子に疑問を感じながらも今は市民の安全を確保すべく百香は行動した。
(どうしたのかしら。アメリアの様子が少しおかしいわ。
学園にいたときはあんなにぼーっとする子じゃなかったんだけど。
何か悩みかしら。)
百香にはモニカの記憶があり、アメリアの為人をある程度分かっている。
その為、今のアメリアに百香は違和感を覚えるのであった。
考え事をしながら歩いてはいたが、特に何事もなく近くの村まで馬車を送ることができた。
そこで馬車の一団は一旦解散となったが、その時にアメリアが列人達に話しかけてきた。
「・・・あの、列人さん、百香さん。
助けてもらって大変失礼なのですが、質問をしてもよろしいですか。」
「ええ、私は構わないけど。列人、いいかしら。」
「ああ、俺達に答えられる事ならな。」
「ではお言葉に甘えて、最近バンの街でどなたかと揉めた覚えはありますか?」
「バンの街・・・ああ、乞食令嬢か。」
「こら、列人。それだけ聞いたら誤解するでしょう。」
「乞食令嬢?ですか。」
「ああ、ナタルだったかな。
いきなり百香が誰かに似てるとか言って突っかかってきたんだ。
その時に俺達と友人が着ているものを馬鹿にされてな。
思わずぶち切れちまって言ってやったんだ。
自分で稼ぐこともできない乞食風情が偉そうにするな、てな。」
「へ!貴族の方に対してですか?」
「ああ、そこの百香も頭にきてたみたいで、
『友人を馬鹿にされては黙っておけない。
その喧嘩、コル村のハンターチーム_エレメンタルズ
赤坂列人と桃梨百香が受けてたつ。』
てな事を言ったわけだ。」
「・・・それは凄いですね。・・・ふふふ、ははは。」
「どうしたの?アメリアさん?」
「え、何この子。いきなり笑いだしたんですけど。」
アメリアはおかしくて堪らなくなり笑い出してしまった。
それを見た、列人と百香は引き気味だった。
「なんだ、やっぱりあの脳みそお花畑なお嬢様の逆恨みだったんじゃない。
心配して損した。それにしても可笑しい。乞食令嬢。ぷぷ!」
一頻り笑い終えた後、アメリアが今の自分の行動の理由を説明する。
「すみません。私、乞食とちょっと知り合いでして、あの人が言うにはエレメンタルズの皆さんに一方的に恫喝されたって事だったんです。
でも聞いてみると自分が突っかかっておいて、返り討ちでしょう。
だから可笑しくって、私あの子があまり好きじゃないから少しいい気味だと思ってしまいました。
だって、私が平民だからって小馬鹿にして来るんですよ。
直接怒るほど子供じゃないですけど、やっぱりイライラはしますから。」
「・・・へえ、そうだったの。」
「だから助けてくれたエレメンタルズの方が悪い人じゃなくてホッとしたといいますか、ヒーローを名乗る人達が悪い人なはずがないですよね。」
「そっか。何かわからんが納得したならそれでいいや。」
(・・・この人達はきっと列人お兄さんと百香お姉さんだ。
この人達にならお願いできるかも。)
「列人さん、百香さん、実は私ハンターをしていまして、もしよろしければ私の依頼を協力していただけませんか?」
「まあ、盗賊団を潰したあとでいいなら、なあ百香。」
「ええ、列人。アメリアさんそれでいいなら。」
「ありがとうございます。依頼の内容はゲオルグ医師の捜索です。」
「あ、ゲオルグ医師なら俺達も探しているところだ。協力できるなら好都合だ。」
「では契約成立ですね。改めて自己紹介します。
私の名前は『鈴代亜美』です。列人お兄さん、百香お姉さん。」
「「え!・・・えええええええ!!!」」
アメリアこと鈴代亜美の自己紹介に絶叫する列人と百香であった。
実はアメリアこと鈴代亜美はプロローグで名前だけ出ています。
気になる方はもう一度どうぞ。




