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036_俺は風になる

今回は移動回です。


筆者イチオシの頭がおかしい乗り物、グレートサイクロン号初登場です。

036_俺は風になる


フィオと合流した列人達はグレートサイクロン号とギルドの荷物の受け取りに向かった。


グレートサイクロン号は村の広場の一角に布を被せた状態でおいてあるだけなのですぐ回収する事ができた。

グレートサイクロン号は全長10m、幅2m、バスとほぼ同じサイズで金属フレームに鉄板を貼り付けたいかにも頑丈な大八車である。

しかも列人がサスペンションにこだわったのか、乗り心地もやたらといい。

しかもふかふかのクッション付きの座席までついている。

これを見た時に百香が、


「これ作った奴、絶対馬鹿だよね。あ、馬鹿はっけ~ん。」


等と列人を煽っていた事以外は特に問題なかった。


ギルドでの荷物の受け取りも特に問題なかった。

あらかじめ職員が荷物を準備しており、積み込みも複数人で行った為ほとんど時間をかけずに行う事ができた。

ただし載っているものが少しばかり、ド田舎で扱うには場違いなものばかりだ。

グレートボアの毛皮(高級衣料品の素材)    ×10

キラーホークの羽毛(高級衣料品及び布団の素材)×30

ヘルスネークの皮(高級革製品の素材)     ×15

ワイバーンの鱗(上級武具の素材)       ×5

ワイバーンの翼(上級武具の素材)       ×5

中身を知られたら、盗賊に襲われる事間違いなしの代物ばかりである。

これらをバンの街のギルドで売り払う事が今回の大きな目的である。


そしていよいよ、村から街へ出発の時。

バンの街までの距離は約50キロ、列人は普段これを1時間かけて走る。

つまり、バス並みの大きさの金属製の大八車を荷物満載して平均時速50キロで走っているのである。

この地点で頭がおかしいのだが、列人は百香にある事を呟いた。


「なあ、百香。悪いんだけど道中のモンスターは全部任せていいか?」


「構わないけど、どうして?」


「今日、俺は自分の限界に挑戦したいんだ。」


「それってどういう意味?」


「目標20分切り。」


「え、アルくん、何言っているんですか。街まで50キロあるんですよ。」


「へ、列人それってつまり、時速150キロ越え。」


「シートベルトしっかり閉めろよ。発車カウントダウン、10 9 8 7・・・・・・」


「フィオちゃん、シートベルト!こいつマジよ!」


「3 2 1」


「わー、ちょっと待って、アルくん!」


「0 発車。」


ズキューーーーーーーン!!!!!!!!


「わ~~~~~~!!!」


「前方にゴブリン発見、百香対応頼む。」


「え!なんですって!『オークバレット』」


ズドドドドドーーーーーーーン!!!!


「アルくん!ストップ!ストップ!」


ドドドドドドド!!!!!


「百香、右前方にウルフの群れ。」


「ああ!分かってるわよ!!『エボニーシールド』」


ズドーーーン!!ズドーーーーン!!!!


「いやーーーー!止めてーーーー!」


「百香、上空にワイバーン、数2」


「ええい!鬱陶しい!!『オークランス』×2』


ドサッ、ドサッ!!


「目的地到着まで残り1分、停車の衝撃に備えろ。」


「え!え!」


「フィオちゃん、シートベルトしっかり掴んで。」


「残り10 9 8・・・・・・3 2 1 0 停車!」


「・・・・・」


「列人、あなたって奴は!」


「えっと、タイムは・・・よっしゃ~19分と5秒!」


記録更新により歓喜の声をあげる列人。

しかしその喜びもつかの間、振り返るとそこには鬼の形相の百香とフラフラになったフィオがいた。

列人は即座に正座をさせられ、フィオが復活するまでの30分間百香のお説教を受ける事となった。



ちなみに列人の暴走の裏側ではこんなことがあった。


コル村から約5キロ離れた草原、

1台の馬車がコル村へ向かっている途中のこと

ゴブリンの群れに見つかり今追われている。


くそ、この荷馬車にはコル村に届ける為の小麦が大量に入っているというのに。

騎士団長殿の依頼で失敗するわけにはいかない。

そんな事になれば、小麦の賠償で大損の上に信用問題で商売ができなくなる。

間違いなく破産する。

なんとしても逃げ切らねば。くそ、追いつかれる。


ズキューーーーーーーン!!!!!!!!


「わ~~~~~~!!!」


「前方にゴブリン発見、百香対応頼む。」


「え!なんですって!『オークバレット』」


ズドドドドドーーーーーーーン!!!!


え!今のはなんだったんだ。

何か巨大な鉄の塊が通り過ぎたかと思ったらゴブリン達を蹴散らしていった。

何はともあれ、無事依頼を果たせそうだ。



コル村から約20キロ離れたとある集落の近く


ウルフの群れが我が集落を襲ってきた。

数は約100体なのに対して集落の戦士は10人

とてもじゃないがこのままでは歯が経たない。

女子供には逃げる準備をさせているが、いかほど持ちこたえられるか。

だが戦士長たる私が逃げるわけにはいかない。

死ぬにしても1人でも多くの村人を逃がさなくては。

よし覚悟は決まった。いざ、出陣・・・・


「アルくん!ストップ!ストップ!」


ドドドドドドド!!!!!


「百香、右前方にウルフの群れ。」


「ああ!分かってるわよ!!『エボニーシールド』」


ズドーーーン!!ズドーーーーン!!!!


・・・何か黒い塊がウルフたちを跳ね飛ばしていった。

ウルフ達は無残にも吹き飛ばされ、数も大きく減らしている。

今は20にも満たない数でしかも先ほどの衝撃から立ち直れていない。

今が好機だ。


「総員突撃!今が好機!我に続け!」

戦士長の指揮により、集落は被害を出す事なく、無事にウルフを撃退する事ができた。



コル村より約40キロ離れた200人規模の集落


訪れた集落で流行り病が発生した。

私は医者となって30年。この病についても治療した事がある。

薬の調合はわかっている。だが材料がない。

龍族の肝などこの集落にはないし、それを手に入れられるハンターもいない。

時間的猶予は後1週間ほどだろうか。

治し方はわかっているのに、このまま何も出来ず指を咥えて見ている事しかできないのか。

悔しい、歯がゆい、私は何の為に医学を学んだのか。涙が止まらない。


「いやーーーー!止めてーーーー!」


「百香、上空にワイバーン数2」


「ええい!鬱陶しい!!『オークランス』×2』


ドサッ、ドサッ!!


え、ワイバーンが空から降ってきた。

しかも頭を打ち抜かれている。

肝は・・・無事だ。しかも2体、量も十分。

これは神がこの村を救えと言っているのか。

私に医者としての責務を全うしろと言っているのか。

こうしてはいられない。早急に調合を始めなくては。

ここからは時間との勝負だ。

こうして1人の医者により、200名の尊い命が救われることとなる。

なんか後から見返すと擬音だらけですけど、

大丈夫ですかね、これ?

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