表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

34/321

033_漢達の決意

本日5話目です。


今回起きた騎士団関係の顛末です。

033_漢達の決意


「モモカさん、私は昔コル村に赴任した事があるのですが、レットと私はその時からの縁なんです。」


ヴィルヘルムは自分と列人の関係を百香に簡単に説明する。


「・・・はあ、そうなんですか。」


それに対して呆気に取られた様子でヴィルヘルムに答える。


「ヴィルヘルムさん、お久しぶりです。」


「あ、フィオちゃん。挨拶が遅れてごめん。久しぶりだね。」


笑顔のフィオにヴィルヘルムが朗らかに答える。

フィオからすればこの状況を打開してくれたヴィルヘルムはまさに救世主である。

尚、列人はまだ正座中だ。


「ところでモモカさん、そろそろレットの奴を許してやってくれないかな。

今回の件は騎士団の方にも責任がある。

トーマスには何らかの処分をするし、村の皆様にもお詫びをさせてもらうから。」


「分かりました。団長閣下がそう仰るのでしたら。」


「すまないね。モモカさん。

それからバクラ、今回は本当にすまなかった。

おそらく君に一番迷惑をかけただろう。

部下に変わってお詫び申し上げる。」


「ああ、その侘び、確かに受け取った。」


「列人、正座やめていいわよ。」


「ふぅ、助かった~。」


その後、列人達は今後の処理についてその場で話し合った。

・ヴィルヘルムはこのまま騎士団を引き上げる事

(隊長のトーマスは列人の腹パンによりしばらく使い物にならない)

・その際オークキングの肉を帰りの食料として買い上げる事

(今ハンターギルドにオークキングを買うお金がない)

・帰る前にヴィルヘルムが迷惑をかけた村人に謝罪したいとの事

(騎士達は一応紳士的に対応していたが、聞き込みなどで一部時間を取られ迷惑した村人もいる)

・モニカ=ローゼスベルクは行方不明として処理する事

(暗殺者から身を隠す為の処置として)

・列人がトーマスを殴った件に関しては、トーマス側に非があった事に加え、決闘中だった為不問とする事

(列人は年に数回この手の問題を起こしており、ヴィルヘルムは処理に慣れている)

・百香だけは騎士団が完全に引き上げるまで身を隠す事

(行方不明なのに姿を現したら身も蓋もない)


以上がこの話し合いで決まった。


百香の事を国に隠すにあたり、騎士団長が協力してくれると言うのは、実に大きな収穫だったと言える。

また、ヴィルヘルムにとっても列人の暴走を止められる百香という存在は非常に大きなものだった。

今後共、百香とは良い関係でありたいと思うヴィルヘルムである。


ちなみにヴィルヘルムは百香=モニカである事を到着前から知っていたのは、定期的に補佐官のジルをコル村に使いに出しているからである。

ジルはもうすっかり村の常連でその溶け込み方は見事の一言である。

ジルが情報を手に入れた時の様子だが、


「すみません、カルラさん。あの金髪の女性は誰ですか?

(あれは確か、モニカ=ローゼスベルク公爵令嬢)」


「ああ、ジルさんは会った事がなかったわね。モモカちゃんよ。」


「はあ、モモカさんですか?村には最近来たんですか?」


「ここだけの話だけど、あの子実は貴族の娘さんなんだけど・・・・・」


「なるほど、つまり親元にバレたくないから昔からこの村にいた事にしている。

そして、あのレットさんと仲がいい。」


「そうなのよ。マリアさんが嬉しそうに話すの。

あの子が来てアルくんが楽しそうだって・・・・」


「そうなんですか。そうするとフィオちゃんは大変ですね。」


「そうよね・・・・・」


とあまりにナチュラルに村人の一員として噂話をするほどである。

この情報を手に入れたジルにとっては百香=モニカより、百香と列人の仲がいいの方が遥かに比重が大きかった。

こういう考えに至る辺り、彼女も上司同様、列人に相当振り回されていると言える。


その後速やかに諸々の処理をしたヴィルヘルムが王都に引き上げる時、それをバクラとフィオが見送る。


「それではバクラ、今回は迷惑を掛けたな。」


「ああ、その事はもういい。

それよりもすまないが時間を少しくれるか。話がしたい。

幸いここには俺とフィオだけだ。」


「わかった。総員先に撤収せよ。私は後で追いつく。」


ヴィルヘルムは残りの騎士団員に先に引き上げる様に指示。

引き上げたのを確認してからバクラは話始める。


「ヴィルヘルム、アカサカ=レットについてどのくらい知っている。」


「あの、マスターそのアカサカ=レットってなんですか?」


「フィオ、今後アルと付き合って行くなら知っておいた方がいいことだ。」


「知ってることは話すが、フィオちゃんは直接レットに聞いた方がいいだろう。

人の秘密を風潮するのは好かん。」


「そうだな。フィオ、詳しくはアルに聞くといい。お前になら教えてくれるだろう。」


そう言ってバクラ達はフィオを列人の元へと向かわせた。


「さて、俺がアカサカ=レットについて知ったのは、あいつと2人でモンスター討伐に行った時だ。

我々は強敵と出会ってそれまでレットが使っていた『火球』や『炎槍』では対処しきれなくなり、奥の手である炎の刀を使ったんだ。

その時に『炎の勇者の伝説』を思い出して問い詰めた。

そうしたらレットがこう言ったんだ。

自分には前世と呼べる別世界での記憶があり、その時の知識や能力の一部を使用する事ができる。

この力は村を守る為だけに使いたい、とな。」


「で、その時の名前がアカサカ=レットだったと。

概ねモモカから聞いた情報と一致するな。」


「モモカさんもなのか?」


「ああ、身体こそモニカ=ローゼスベルクだが、中身はトウリ=モモカになっている。

馬車の事故の時に記憶を手に入れたらしい。

アカサカ=レットとは戦友だったらしい。」


「と言うことはモモカさんもレットと同等の力があるのか。」


「ああ、奴らの模擬戦を見たが、互角にやりあっていた。

戦闘のタイプこそ違うが、同じ領域にいるのは間違いない。」


「ちなみに違いというのは。」


「アルは近接攻撃型の炎使いに対して、モモカは万能型の植物使いだ。」


「・・・そうか、だがそんな彼らにも弱点がある。」


「ああ、特にアルの奴は権力への対処が壊滅的だ。

モモカはまだマシだろうが、追われている以上表だっての対処はできない。」


「つまり、大人である程度の立場がある我々が踏ん張るしかないと。」


「そういうことになるな。今まで通りだ。頼りにしているぜ、騎士団長殿。」


「ああ、ギルドマスター。お互い微力を尽くそう。」


「そうだな、ヴィルヘルム。それとは別に共有しておきたい情報がある。

・・・・・」


この時バクラはヴィルヘルムにも百香=モニカの裁判の情報を共有する。

自分達の敵が思ったより遥かに強大である事、下手したら国が敵になる可能性がある事を認識する。

ギルドマスターと騎士団長の立場としてはどうかと思うがそんなことは関係ない。

2人の漢は守るべき子供達と民の為に戦う事を改めて決意するのだった。

バクラとヴィルヘルムは2人とも義に厚い漢です。

かっこいい大人の漢を書いてみたいのですが、なかなか難しいですね。

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ