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030_騎士隊長との決闘

本日2話目です。

今回は騎士隊長との決闘

030_騎士隊長との決闘


「平民が調子乗るなよ。貴様に決闘を要求する。」


「うん、まあいいけど。」


列人はトーマスの決闘の要求に戸惑っていた。

列人としては嘘偽りなく説明をしているバクラに対して、初めから嘘つき呼ばわりしたのだから、謝るべきだと言っただけのつもりであったが、何故か相手は怒っている。

自分の非を認められないとは騎士の質は低下しているのだろうかと的外れな事を考えていた。


決闘の条件は以下の通りである。

・獲物の形状は基本的に自由

 ただし刃のあるものや重量物等の命に危険があるものは使用禁止

・場所はコル村の広場の中心から四方30mの範囲で行う

・罠等の設置することで相手に危害を与えるものの使用を禁止

・魔法は使用可、ただし決闘範囲の外に影響を与えるものと相手の命を奪うほどのものは禁止

・列人とトーマス以外に戦闘の参加は認めない

・相手を死に至らしめる以外はどんな怪我を負っても当人の責任

・勝敗は本人が降参するか、審判が勝負あったと判断した場合にのみ決する

・列人が勝った場合、トーマスはバクラに謝罪し、速やかにコル村から退去する

・トーマスが勝った場合、列人はトーマスに謝罪し、トーマスの探索任務に全面的に協力する


決闘の準備を済ませ、2人は広場までやってきた。

トーマスの獲物は刃を潰して先端を丸くした訓練用の槍、列人の獲物はいつもの木刀である。

審判はバクラ、立会人は騎士全員と村人の一部(ハンター、自警団員)である。

ちなみに百香は森で隠れているが、植物の探知能力でしっかり状況は把握している。

そのことを知らないバクラは状況説明のため、フィオを百香の所へ送っていた。


「ふん、決闘を受けた事、後悔するなよ。

殺す気はないが骨の2、3本は持って行くからな。」


「死なない戦いで決闘とか笑えるな。

まあこっちも殺す気はないけど。」


「無駄話はそこまでだ。では両者構え。」


バクラの合図でお互いの立ち位置まで移動。


トーマスは半身になり中段に槍を構え、今にも突撃してきそうな気迫を放っている。

それに対して列人は片手に木刀をぶら下げ、いわゆる自然体に構える。


「始め!!」


トーマスは一気に距離を詰め、槍の間合いまで前進、そこから強烈な突きを繰り出す。

列人は腹部に向かってきた槍撃を半身になって躱す。

躱した所にまた突きが来るがそれも体の位置をずらして躱す。


(まずは小手調べといったところか。随分と余裕だな。)


間合いの取り方は悪くない。槍は届くが剣は届かないといった距離をしっかり保っている。

突きも十分に威力が乗っている。普通の相手ならこれで決まったかもしれない。

しかし実戦経験者であり、元ヒーローである列人にしてみれば遅すぎるし隙だらけだ。

それに突きを躱されたならなぎ払う等して次の攻撃を行うか、一旦間合いをとって反撃に備えるべきだ。

突きの後にまた突きでは槍を引く時に隙だらけだ。

その後も突きを繰り返すトーマスの攻撃をかわしつつ、列人は様子を伺う。


「どうした平民、手も足も出ないか。」


「・・・・・」

(その上無駄口を叩いて、無駄に体力を消耗する。)


列人はトーマスの槍術について、基本はしっかりしているし形も綺麗だが、お上品で本当の戦いを知らない試合の為の技術だという感想を持った。


(こいつ完全に戦闘を舐めてるだろう。

もういいか、動きも鈍ってるし軽く反撃するとしますかね。)


トーマスが列人の胸に向かって突きをして来たのに合わせて横に躱し、

槍を引くと共に前進、懐に飛び込み木刀の柄で軽くトーマスの鳩尾を触れるように叩く。


「勝負あり、勝者アルフレット。」


会場の全員がぽかんとしていた。

バクラの勝利者宣言の意味がわからなかったからだ。

傍から見たら、列人はトーマスの横をすり抜けただけだ。

だが、元Aランクハンターのバクラには列人が行ったのが本物の武器ならば必殺の一撃だとわかったからだ。

腹部を触られる、つまり重要な臓器に刃物を突き立てられるという事、即ち致命傷を意味する。

当然、触られたトーマスにもわかる。

ここで負けを受け入れればこれで終わり。

列人の最後の温情である。


「訳のわからない事を言うな!私はまだ戦えるぞ。

貴様ら、さてはグルだな!」


どうやら列人の温情は届かなかったようだ。

その上バクラを侮辱した。

この時、トーマスが地獄を見る事が決定した。


トーマスが怒りを顕に列人に向かって槍を突き出してくる。


『ライトニングチャージ』


トーマスの槍が雷撃を帯びて列人を襲う。

しかし槍術は相変わらずお粗末だ。

列人は難なく槍を躱し続ける。

雷を帯びている為、多少大きめに躱す必要があるがそれだけだ。

先ほど同様懐に飛び込み今度は拳で殴る。


ドスっ


そしてさっきと同様にトーマスの横を擦りぬける。

この時、観客も何故バクラが勝負ありとしたのかがわかった。


「さあ、立て。お前はまだ戦えるんだろう。」


列人の底冷えがする様な声にその場の全員が戦慄する。


「言われるまでもない。平民如きが勝った気になるな。

『サンダージャベリン』」


トーマスは三叉の槍の形をした雷撃を生み出し、列人に向かってそれを投げつける。

列人はまたしても槍を横に避けて懐に飛び込み今度は鳩尾に膝をいれる。


ドン!


「ぐはっ!!ううぅ!!」


強かに腹を打ち付けられたトーマスは胃液を逆流させて、嘔吐する。


「さあ、立て。お前はまだ戦えるだろう。」


さすがにこれにはバクラが待ったをかける。


「おい!アル!もう勝負はついている。これ以上は無意味だ。」


「いいや、ついていない。こいつは散々バクラを嘘つき呼ばわりしたんだ。

その上最初に決めた審判が勝敗を判定するという部分も無視した。

『つまりこいつにとってバクラの判定なんて無視していいってことだろう。』

俺はこいつが負けを認めるまで、殴るのをやめない。

な~に、ルール上殺せないから心配するな。」


列人が無表情で言ってのけた事にバクラさえ冷や汗が吹き出してきた。


「さあ、立て。勝負はついていない。」


「・・・・」


トーマスから返事がない。


「最後の忠告だ。動けないなら喋れるうちに降参しろ。

俺は喋れなくなっても殴り続けるぞ。」


「・・・・」


列人はトーマスの頭を掴み無理やり上体を起こすと鳩尾の同じ箇所に拳を打ち込む。


「がはぁ」


観客の中に普通の村人がいたらまた違ったかもしれない。

一般人それも非戦闘員にこんな酷い光景を見せたりはしない。

だが観客は全てハンターか自警団、残りは騎士団である。

戦う覚悟をしているであろう者達に列人は遠慮などしない。

また観客達は皆、列人が木刀を一切使っていない事に気づいていた。

剣士であるはずの列人が獲物なしで騎士隊長を圧倒しているのだ。

自分達では止める事ができない。あのバクラですら止める事ができないのだから。


列人がトーマスの頭を掴みながら鳩尾を殴る事数回。

トーマスは胃液を吐くこともできず、ただ呻き声を上げるだけだ。


そんなトーマスの鳩尾に無慈悲に拳を追加しようとした列人の後ろから木の棒が飛んできて、それが後頭部に当たった。


「これでトーマス以外のものがお前を攻撃した事になる。

よって、トーマスの反則負けだ。」


木の棒が飛んできた方向に1人の男が立っていた。

金の短髪に緑の眼、鎧姿の騎士

騎士団長_ヴィルヘルムである。

列人は切れるとガチでやばいことを平然とやります。

ただし自分の為に切れることはほぼないです。


ヴィルヘルムは列人が騎士団関係で暴走しそうになると

洒落にならない事になる前にこうやって止めに入ります。

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