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027_赤色は心配性

この回では列人の危うい部分が見え隠れします。

027_赤色は心配性


「確かにフィオちゃんの言う通り、騎士団が村で探し物をしているわね。」


百香は植物を自分の目とする術を使って見た村の様子を語りだす。


「騎士達が村のみんなに聞き込みをしているわね。

『金髪、青目の17歳くらいの少女を見なかったか?』

ですって、これ完全に私を探しているわ。」


「村のみんなの対応は?

あと騎士団の態度は?」


「村の人達は知らぬ存ぜぬで通してくれているわ。

騎士団も今のところは紳士的。

特に問題になる事はないわね。」


「他に気になる点は?」


「人数が多いわね。50人はいるわ。

でも食料が少ない。にも関わらず狩りや調理の道具が見当たらない。

まさかとは思うけど村から接収する気じゃないかしら。

それから『学園』での知人がいるわ。

トーマス=ゼクス、侯爵家のドラ息子ね。

どうやら奴が今回の隊長みたい。」


「どんな奴だ?」


「典型的な門閥主義者ね。

人の価値は家柄で決まると思ってるような嫌な奴。」


この百香の発言にフィオが思わず疑問を口にする。


「でもモモカさんって公爵家のお嬢様ですよね?

その人から何かされたわけじゃないですよね?

どうしてそんなに嫌うんですか?」


「あいつね。私が公爵令嬢だった時は愛想良くしてたけど、勘当された瞬間に手の平クル~ってしてくれたのよ。

そもそも『学園』にいた時も自分より下の家柄の人間に偉そうだったのが気に食わなかったわ。

人の価値なんて本人がどれだけ必死に生きているかで決まると思うんだけど。」


百香の愚痴とも取れるトーマスへの感想に対してフィオは不思議そうな顔をし、列人は納得したように頷く。


「モモカさんってお嬢様の割にどこか庶民的というか。

身分の高い家の人が偉そうな事ってよくあるのに。」


「まあ、百香ならそう思うだろうな。

身分や家柄を盾に偉そうにする奴の事が嫌いだからな。」


「それはアルくんもでしょう。

お願いだから今回は騎士さん達と喧嘩は無しですからね。」


「ああ、わかってる。一方的にボコボコにするから喧嘩にはならないよ。」


「もう、わかってません!!アルくん、モンスターじゃないんだから暴力はメッですよ。」


「・・・フィオちゃんも苦労しているのね。」


「ええ、でも一番苦労しているのは、マスターだと思います。」


「ああ、バクラさんねぇ。今度胃薬差し入れしてあげようかしら。」


「おい、そこの2人。人を問題児扱いしない。俺は至って普通だ。」


「「普通の人は騎士をボコボコにするとか、言わないわ(言いません)。」」


それから、百香は偵察を継続しながら今後について話し合う事を提案した。


「じゃあ、今後の予定だけど、最初に決めた通り私と列人は表に出ないようにするから、フィオちゃんは連絡係お願いね。」


「ひとまず、俺達は森に隠れるから何かあったら連絡頼む。」


「わかった。連絡方法はどうしようか?」


「ちょっと待ってね、フィオちゃん。渡しておく物があるから。

『メッセージアイリス』」


百香は術を使い、その場に紫の花を二輪出した。

『メッセージアイリス』

植物版の携帯電話の様な物を作成。

ちなみにアイリスの花言葉には「伝言(メッセージ)」等がある。


百香は二輪のうちの片方をフィオに渡すと、フィオは不思議そうな顔で百香に尋ねる。


「ありがとうございます?これってなんですか?」


「ちょっと、それを顔に近づけてみて。

ああ、テストテスト、聞こえるフィオちゃん?」


「わあ!お花から声が聞こえます。」


「そういう魔法なの。これで連絡しあえるから何かあったらよろしくね。」


「わかりました。モモカさんもアルくんの最新の情報の提供をお願いします。」


「おい、フィオ。これってそういう為の道具じゃないからな。」


「それからアルくん。

しばらくモモカさんと2人きりになるからって、いやらしい事しちゃダメですよ。

そういう気分になったら私がご奉仕しますから。」


「しねぇよ!お前の頭は万年お花畑か!!」


「そんな事わかりません。男はみんな狼だってお母さんが言ってました。」


「エヴァさん・・・あの人が元凶か。」


フィオの言葉に列人はげんなりした様にうなだれる。



緊張感がない会話を終え次の行動に移ろうとした矢先、

村に戻ろうとするフィオに列人は思い出した様に慌てて声を掛ける。


「そうだ、フィオ。母さんにしばらく帰れないこと伝えてくれるか。」


「うん、もちろんです。」


「それから、もし何かあったらすぐに連絡をくれ。」


「わかってますって。」


「もし騎士団の奴らが何かしそうになったら、すぐ助けを呼べ。

騎士団の連中を皆殺しにしてやるからな。」


「!!」


「アルくん、皆殺しはやめてね。」


「それから、それからオークキングはここに置いとくから、食べ物が足りなくなりそうなら自由に使ってくれ。」


「もう!アルくん!心配しすぎです。私行きますからね。」


「ああ、すまない。気をつけてな。」


「うん、また後でね。」


百香は狼狽えている様子の列人を見て、かなり不思議に思った。


「ねぇ、列人。どうしたの、落ち着きなさい。らしくないわよ。」


「ああ、わかっているつもりだが、どうも権力者が相手だと落ち着かない。

あいつら自分が一番強いと思っているから何しでかすかわからんからな?

もし、村のみんなに何かあったら、この国滅ぼす自信がある。」


「!!」


百香は列人のこの発言にひどく驚いた。

列人は人類を守るヒーローだったのだ。

先ほども騎士団を皆殺しにする様な発言をしていた。

(いつもの軽口ならいいのだけど。)


「ねえ、列人。

あなたにとって村がとても大切な物だってのはわかったけど、短慮だけは起こさないでね。

それが村に危険を呼び込む事だってあるんだから。」


「ああ、すまない。やっていい事と悪い事の区別はつくつもりだ。」


「・・・それならいいのだけど。」


(今の列人は大切な何かを失う事を極端に恐れている気がする。

一度死んだ事が影響しているのかもしれない。

死んだ時の記憶が曖昧な私との違いかしら。)


百香は死んだ瞬間の記憶が朧げだったのに対して、列人ははっきりと記憶していた。

また百香は転生して覚醒したばかりなのに対して、列人は覚醒して10年間こちらで過ごしている。

村への思い入れも百香とは比べ物にならないだろう。

この思いの違いが決定的なすれ違いにならないだろうか。

そう百香は危惧していた。


それから半日もたたないうちに、騎士団の馬鹿隊長は問題を起こすのだった。

ちなみにこの騎士隊長も『アナスト』の攻略対象です。

所謂ダメ人間枠でしょうか?

そんな枠があるかは知りませんが。

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